2025年9月のゲストは長野県坂城町の坂城(さかき)葡萄酒醸造株式会社、成澤篤人さんです。
生まれも育ちも坂城町の成澤さん。でも当時はどうしてもここを出たくて・・・高校卒業後まずは東京へ。
(全4回 1回目)
辰巳:暑い夏はまだまだ続いておりますが、9月です。今月のお客様は長野県から坂城葡萄酒醸造の成澤篤人代表です。
成澤:よろしくお願いします!
辰巳:「さかきブドウ酒」、ラジオをお聴きの皆さんはピンと来ないかもしれませんが漢字は坂道の”坂”にお城の”城”です。
坂城市ってのがあるんですか?
成澤:坂城町(さかきまち)です。
辰巳:人口はどれぐらいの町?
成澤:13000人ぐらいです。
辰巳:そこで生まれ育って、そこにワイナリーを始めた7年前。
成澤:はい、2018年です。
辰巳:最初の醸造の時にお邪魔した覚えがあります。もうあれから7年も経つんですね。早いねぇ、こんなふうに月日が流れて歳をとってあっという間に死んじゃうのかなと、最近ちょっと思います。
成澤:そう考えると(辰巳さん)ぜんぜん変わってないですね。
辰巳:それが変わってるんだよね笑。だってあの時(2018年)が還暦になった歳、かつ、日本ワインを国税庁がきちんと認めて、表示ルールができあがった記念すべき年だし。その年にワイナリーを始めたと?今年はどうですか?
成澤:今年は暑いですけど、雨が少ないので今のところは順調ですね。(←収録は8月27日でした)
辰巳:成澤さんは知り合ってもう15年ぐらい経ちますよね。昔は長野県の「ワイン王子」と呼ばれてましたが今も?
成澤:『元ワイン王子(笑)』ぐらいの扱い笑笑。
辰巳:”元”か。でもさっき名刺いただいたら「*信州ワインヴァレー構想推進協議会」の会長!?
(*信州ワインバレー構想推進協議会 関連記事:https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20240613/19595/)
成澤:そうなんですよ、2023年から。
辰巳:王子じゃなくワインの”王様”じゃないですか笑。
成澤:いやいや。
辰巳:きちんと把握してなくてすいません。今月はよろしくお願いします!そしていつも通り井村貢シェフです。
これまで、ここまで日本ワインに特化してお料理を作ってきた人はいないんじゃないかと思うシェフです。
井村:よろしくお願いします!!!
辰巳:大阪出身、野球はどちらが好きなんでしたっけ?普通に阪神ファンだと思ってたら?
井村:、でも阪神好きですよ。
辰巳:’でも’でしょ?笑。
井村:周りに(阪神の)熱狂すぎるファンがいっぱいいたんで「そこの輪にはあまり入りたくないな、ちょっとアレに入ったらヤバいな」笑笑。
辰巳:こちらの成澤さんは長野県に住みながら、なんと!熱狂的なタイガースファンで。
井村:あーそうっすか、ありがとうございます!
辰巳:生まれた時から?
成澤:1985年からです、小学校3年生の時から。野球をちょうどわかり出した頃観てたら(阪神)優勝で。
辰巳:それよりちょっと前だったらジャイアンツ好きになってかもしれませんね笑。
成澤:それはないです笑。(←それはないんですね)
辰巳:っということで、まずは乾杯したいと思います。
全員:カンパ〜イ🎶

【ニャンブルスコ 2024】
https://sakakiwine.myshopify.com/products/ニャンブルスコ2024
辰巳:今日はロゼのスパークリングワインですね。
井村:グラスから香りが立ち込めてるんです。口元にグラス近づけると香りがブヮ〜っと。
辰巳:確かに香りいいですね。巨峰?
成澤:品種はいろんなのが入ってるんです。カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、サンジョベーゼ・・・
辰巳:そんなに?西洋品種なんですか。
井村:フルーツを丸齧りしたような香りがありますね。
成澤:これは「ニャンブルスコ」というワインです。
辰巳:はい、来ましたね〜笑。名前だけは聞いてましたけど「これはゼッタイ赤だ」と思ってました。イタリアのエミリア・ロマーニャの有名なランブルスコ(赤いスパークリング、のもじり)。日本では都農ワイナリーのキャンベル・アーリーから造った「キャンブルスコ」、八戸の澤内醸造の「南部ルスコ」ね(←こちらもキャンベル・アーリー)。で、こちらは猫。猫好きなんですよね?
成澤:はい、猫好きなんでワインの名前も全部猫。
辰巳:さっき聞いたら2009年から長野駅の近くにレストランを起業したのが最初と?
成澤:そうです。そのレストランの名前が「オステリアガット」。
辰巳:ガットって猫ですよね。イタリア語?
成澤:はい、イタリア語です。フランス語は?
井村:シャ、ですね。
辰巳:だから最初から猫って名前つけられてたんですね。それが33歳ぐらいの時で、それまでは?
成澤:えっと、まぁ・・・どこから話せば😅
辰巳:そしたら食事をいただいてからにしましょうか。シェフ、今日のお料理はなんでしょうか?

【玉ねぎのヴルーテ コンソメジュレを浮かべて】
井村:玉ねぎのヴルーテです。それにコンソメジュレを添えて。
辰巳:玉ねぎの皮の中に入ってまして、お花がチラッチラっと乗ってます。わぁ甘い、玉ねぎってほんと美味しいですよねぇ。
井村:これも水しか入れてないんです。
辰巳:玉ねぎって実は糖度高いんですよね。
成澤:美味しい♡。やっぱりこの甘味が・・・。
辰巳:なんか今日声ちいちゃい気がするんですけど、体調悪いんですか?
成澤:笑、そんなことないですよ。
辰巳:もっと喋って大丈夫ですからね。ぁ、お酒飲んでないからか笑。ゲストの皆さん最初はどんなふうに喋ろうかとか探り探り。

辰巳:このワイン、甘くはないのに香りが甘いんですよ。
成澤:これ実はジュースリザーブという製法で作ってるんですよ。ブドウ果汁を凍らせといて、(1次)発酵したワインの後に、(その凍ってるブドウを)加えてそのジュースの甘みで2次発酵させる。うちの醸造家はハワードかおりといって、まぁ日本人なんですけどね。
カリフォルニアで12年ぐらいワイン造りやってて。カリフォルニアだとこのジュースリザーブっていう製法でスパークリング造ってるとこ多いみたいです。日本ではあんまり聞かないですけど。
辰巳:その冷凍ジュースは濃縮させて?
成澤:いえ、濃縮はさせないです。ジュースはただ保存のために凍らすだけなんで。
辰巳:凍らせて甘い部分だけ使う?
成澤:じゃないです。全部使います。
辰巳:で、2次発酵してオリ引きもせずに詰めるんですね。こういうのって瓶差は出ないもんなんですか?
成澤:あんまり出ないですね。
辰巳:これはおいくらですか?
成澤:375mlのハーフボトルで税込2200円です。
辰巳:ちょっと高いですね笑。フルサイズだと4400円ですからね。そのフルボトルはないんですか?
成澤:これはハーフだけなんです。
辰巳:パーティとかで1人1本瓶からグビグビ飲めそう。ラベルはピンク色で青いタキシードを着た猫がいる。
この猫のデザインはそれぞれが違うんですか?
成澤:ラベルを描いてくれてる人は3人。小松美羽さんという世界的なアーティストと、山口佳祐くんも長野市の画家。このワインは等々力稜くんっていうデザイナーが描いてくれてます。
辰巳:このワインは初めて見ましたよ。
成澤:2024年が初リリースなので。
辰巳:ハーフでどれぐらい造ってるんですか?
成澤:1000本ぐらいですね。
辰巳:以前イヴェントに使ったワインありましたよね?なんだったっけ?
成澤:あれは巨峰でした。巨峰やナガノパープルやシャインマスカットの食用ブドウで造ってるワインは「(*ペティにゃん」という名前笑。こっちは「ニャンブルスコ」と笑。
(*ペティにゃん:https://sakakiwine.myshopify.com/products/坂城巨峰葡萄酒2020)
辰巳:徹底的に猫!さ、リクエスト曲も猫なんでしょうか笑。ぁ、違うんすか?どんな猫が来るかと思ってたのに笑。
成澤:じゃぁ最初はヘレン・メリルのYou’d be so・・・あれ、ちょっと待ってください、なんだったっけな笑、
辰巳:ナニジン?日本人じゃないでしょ?(←アメリカ人です)
成澤:ジャズの人なんですよ。
辰巳:はいわかりました!じゃぁ、それを聴きましょう。

Helen Merrill「You’d be so nice to come home to」(1955年)
https://www.youtube.com/watch?v=YM0PhsP7ulk&list=RDYM0PhsP7ulk&start_radio=1
辰巳:「You’d be so nice to come home to」という曲でしたね。
成澤:そうですそうですそれです笑。
辰巳:なんとなく聞いたことのある曲ですよね。
井村:そうですね、なんかどっかムーディな場所で笑。
辰巳:今月のゲスト、成澤篤人さん、昔はよくナルちゃんナルちゃんって呼んでましたけど、どんどん箔が付いてきて最近は呼びにくくなってます笑。
成澤:そんなことないですよ。もうそれで呼んでください笑。
辰巳:じゃ、ナルちゃん笑。ナルちゃんは昔からワインが好きだったんですか?
成澤:そうですね。僕、お酒のキャリアのスタートはバーテンダーなんです。
辰巳:長野市内で?
成澤:いえ、東京です。高校卒業してすぐは地元の製造業で働いてたんですよ。でもまだ若かったんで、坂城町だけで終わらすのは楽しくないだろなって思って、なんのアテもなく東京に。
辰巳:それ幾つの時?
成澤:19です。
辰巳:その坂城町の製造業は1年でやめて?大学進学とかほかの選択肢はなかったんですか?
成澤:勉強ぜんぜん出来ないんで😅
辰巳:出来ないことないでしょう、素晴らしい経営者ですし。世の中勉強ができなくても大学行く人いっぱいいるでしょ。「早く社会に出たい!」っと反旗翻したとか?
成澤:んーーーーー、勉強が嫌いだったから大学で勉強するのヤダなー。
辰巳:真面目なんですね。僕は「学校行って時間もらって好きなことをしよう」の方だったから。
成澤:へぇぇそういうものなんですね?
辰巳:大学にもよりますけど。我々の時代は「大学行って遊ぼう!そしてやりたいこと見つけよう!」だった気がします。
シェフも大学じゃなく調理師学校ですもんね。
井村:僕は、辿ればもう小さい時から料理やりたかったんでもう一本道です。
辰巳:高校出てすぐ辻調?
井村:そうです。ほんとは高校卒業してすぐに就職しようと思ってたんです。鉄板で肉焼きたかったんでステーキハウスに行きたかったんですけどね。でもまぁひとまずは調理師学校行きました。

辰巳:成澤さんのほうは東京に出てバーテンダー?とりあえず東京に出ることが大事と?
成澤:そうです。何にも考えてなくて「東京に行けばなんか見つかるだろう」笑。
辰巳:逆に地元にはいたくなかった?
成澤:そうですね。とにかく出たかった。
辰巳:なぜ?
成澤:若かったんでしょうね。小中は地元の坂城で、高校は長野市だったし、自分の家から出たことがなかったから。
自分の人生坂城町だけで終わるのが、怖い、というかもっと他にあるんじゃないの?とか、あの頃は考えてたんでしょうねぇ。
辰巳:やっぱり出るなら東京?
成澤:はい。っていうのはうちのお姉ちゃんが東京で就職してたんで、そこに転がり込んだんです。
辰巳:じゃ、住むところはあったんだ?お姉ちゃん迷惑だったでしょうねぇ笑笑。
成澤:でしょうねぇ😅ロフトの部屋だったから、そのロフトの方にオレを住まわせてくれって押しかけた。
辰巳:ほんとに「東京に行くだけ行く」って感じだったんですね。
成澤:いくつかバイトをした中でも、飲食業ってまかないあるじゃないですか笑。とりあえずゴハンだけ食べられれば生きていけるから。特にお料理もしないんですけど。
辰巳:シェフも肉食べたくてステーキハウス志望だったんでしょ笑。
井村:笑、カッコよかったんですよ。
辰巳:今日ね、もう放送終わりなんですよ。ようやく東京に出たところなのに笑笑。この先どうなるのか?
また来週以降の放送をお楽しみに!
全員:ありがとうございました!!!


News Data
- 日本のワインを愛する会提供 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2025年9月4日放送回
- ワイナリー
坂城葡萄酒醸造
https://sakaki.wine- 収録会場
収録会場【アネーリ大宮】
https://anelli-omiya.smtk.jp