
2025年8月のゲストは山梨県甲州市、勝沼のシャトーメルシャン事業本部ゼネラルマネージャー、小林弘憲(ひろのり)さんです。
最初は甲州種の革命児、「きいろ香」のスペシャルキュヴェで乾杯!
この業界では’コウケン(弘憲)さん’と呼ばれてその名が知られている小林さん。今月は軽妙な早口とちょっとハードロック多めでお送りします。お楽しみに!(全4回 1回目)
辰巳:8月になりました。今月のお客様は、メルシャンのゼネラルマネージャー、小林弘憲(ひろのり)さんです。
僕らはいつもコウケンさんコウケンさんと言っていて、今日改めて名刺いただいて「ぁ、ひろのりさんって言うんだ」と笑。
で、この「Ph.D」ってなんですか?
小林:僕一応博士号持ってるもんですから・・・
辰巳:ぁ、プロフェッサーですね。Dは?
小林:ドクターですかね。
辰巳:大学院出て博士?
小林:そうなんですよ。
辰巳:何の博士?
小林:工学です。最後は甲州ブドウの研究で博士号取らせていただきました。
山梨大学を一度卒業した後入社して、そのあともう一度社会人コースっていうDr.コースにまた入学したんですよ。
辰巳:へぇぇ、このあたり後ほど整理したいと思います。そしていつも通り井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:この番組6年目に突入したんですけど、その間ずーーーっと日本ワインに合うお料理を、毎回違うお料理を作り続けてくださっています。
小林:サイコーでございます!
辰巳:メルシャンといえば。安蔵光弘さんも4年前に出ていただいて(←2020年10月、コロナ真っ只中のご出演でした)。
その安蔵さんが以前いらしたポジションに現在小林さんが就かれたと?
小林:勝沼と桔梗が原(塩尻)、そして上田の3箇所にワイナリーがありますので、今はそれを取りまとめる感じで。
辰巳:日本ワインだけですよね?
小林:はい、輸入ワインはまた別の部署がありますんで。
辰巳:安蔵さんは今どこの部署に?
小林:エグゼクティブワインメーカーになってメルシャン全体のワインを見てます。「日本ワイン」だけでなく国内製造ワイン(海外輸入の果汁含む)も。
辰巳:仲はいいんですか?
小林:もっちろんいいですよ笑笑。週に1回は勝沼の方にも来てくれまして、私たちがボトリングしたものはしっかり見ていただいて、改善点も含め安蔵さんからサゼスチョンいただいてるんです。
辰巳:安蔵さんはいくつぐらい先輩なんですか?
小林:おそらく6つくらい(上)。僕は1974年(昭和49年)生まれ。
井村:僕昭和47年です。
辰巳:そうか、2人は同世代なんですね。なんかすいません、きのう別の番組で大阪出身のゲストとずーーーーーっとしゃべってまして、今日は大阪弁が抜けてない笑。実はシェフも大阪出身なので。でもコウケンさん最初に会ぅたとき「ゼッタイ吉本の人や!」って思ったんですよ爆。
小林:よく言われます、「事務所どこですか」って爆。
辰巳:顔もそうですし爆。(←ぇw)
小林:でもしっかりサラリーマンしてるんです笑笑。
辰巳:そして今改めて聞きましたら出身は山梨県だと?
小林:そ〜ぅなんです。
辰巳:ご両親が関西とか?(←まだ疑ってますね笑)
小林:いえいえとんでもない。生粋の山梨人です笑。
辰巳:では乾杯しましょう!!!今日は白ワインです。
全員:カンパ〜イ🎶
【甲州きいろ香 アン・オマージュ・ア・タカ 2024】
https://chateaumercian.jp/view/item/000000000827
辰巳:いい香りしますね。ラベルには漫画?似顔絵が描いてありますね。これは最近?
小林:いやいや、この甲州は私が(当時ボルドー大学で教えていらっしゃった)*富永先生に捧げる「オマージュ・ア・タカ」という・・・。
辰巳:亡くなられたんですよね。
小林:もうずいぶん前です。(←*富永敬俊(とみながたかとし)氏:2008年に心臓発作で53歳で亡くなられました)
辰巳:そうでしたか。
小林:私たちが2004年に「甲州きいろ香」を発売して今年はもう20年越えですね。
辰巳:いわゆる”ノンボルドー”にして、
小林:はい、収穫時期をちょっと検討し直して(←当初よりは早摘みにして)、
辰巳:きいろい香りを出そうという(プロジェクト)。このきいろ香は通常のキュヴェとは違うんですか?
小林:はい、甲州きいろ香の発祥の地は”岩出甲州”というところで、当時の工場長だった上野昇さんの山梨市の(実家の)畑からスタートしたんですけど、そのうちボルドー液の見直しなんかをしながら、山梨県内のいろんな産地で仕込むようになって、「玉諸甲州きいろ香」と「岩出甲州きいろ香」と2つ出来ました。
最初は、その玉諸と岩出のいいとこ取りのアッサンブラージュだったんですけど、今はこの”2つの畑の違いを楽しむ”という2種類。
辰巳:今日お持ちいただいたのは?
小林:「オマージュ・ア・タカ」は富永先生と一緒にやっていた時のことを私なりにしっかり読み直して、この2つを新ためてアッサンブラージュしてみようと。きいろ香は基本的にスクリューキャップなんですけど、これはコルクなんですよ。
富永先生が「熟成する白ワインを造ることが大切なんだよ」って言ってたんです。甲州は一緒に研究させていただいてすごくいいものが出来たんですけど、(その先の)「熟成する白ワインを」、ということで。
辰巳:ホンマしゃべり上手ですね笑。我々が取材に行ってもコウケンさんが全部対応してくれるんで(メルシャンの)スタッフはラクしてて笑笑。なかなか質問も挟みにくい。(←実際現地ワイナリーに取材に行くと、とたんにベテランジャーナリストに囲まれて、乗り遅れるとスカくらいます)ある種のスポークスマン?広報の人かなぁとも思いますが、でも、顔も腕も(日に)焼けてて。真っ黒い人ってゴルフやってる人が多いんですけど、ゴルフの人は手袋してる部分だけは白いんです。
小林:僕ね、手袋しないでゴルフやるんですよ爆。
井村:このワイン、今の時期にふさわしいすっきりした味わいで、タッチは軽いのに香りがしっかり残ります。
辰巳:ですね〜。補糖は?
小林:すこ〜し。
辰巳:シェフ、このワインいくらなら買いますか?
井村:3800円(上代)・・・なら買います。
小林:4000ナンボだった気がします笑💦
辰巳:コロナ禍を機に各メーカー便乗値上げしてまして笑、もちろん円安で資材の値上げで大変なんですけど、メルシャンさんサントリーさんの値上げがね・・・
小林:あちゃちゃちゃちゃ、申し訳ございません💦かなり高くなってはいるなぁ、とは思います。
辰巳:出始めの時は2000円ちょっとぐらいだった気がしますけど。
小林:今でも甲州きいろ香の玉諸は2900円ぐらい。岩出は4600円ぐらいでちょっと高い、で、このオマージュ・ア・タカは
4200−4300円ぐらいです。
辰巳:ま、仕方ないですかね。さ、このきいろ香に合わせたお料理はなんでしょうか?
【茄子とトマトのヴルーテ】
井村:はい、ナスとトマトのヴルーテです。
辰巳:色はトマト色なのか、ちょっとオレンジ色。
井村:そこにパイナップルとバジルでアクセントを。このワインがちょっとパイナップルとかパッションフルーツのような感じがしたんで合うんじゃないかなーと。
小林:さすがでございます。
全員:いただきます🥄🥄🥄
辰巳:ドロドロ、だけど口の中で解けていきますよね。
小林:最後の柑橘(の風味)が、ほんとにこのきいろ香とマリアージュしてるなぁと。
辰巳:(ワインの)柑橘が最初飲んだ時より丸くなってふわぁっと上に立ち昇ってくる感じとお料理のマリアージュが素晴らしい。
今では日本ワインとのマリアージュでは本当に信用してるシェフなんです。最初は日本ワインなんて飲んだこともない、っというシェフでしたが、5年かけてようやくここまでワタクシが教育いたしました、ぁ、ウソです笑笑。
井村:勉強させていただきました。
辰巳:野菜料理が中心、「やっぱり日本ワインにはこういうのがいいな」と僕は信じています。
ちょっとここでリクエスト曲を。今日はなんにしましょうか?
小林:ボンジョヴィのジーズデイズを聴きたいな。
辰巳:シェフは同世代ですけど?
井村:ボンジョヴィはあんま聴いてなかったー笑。
Bon Jovi「These Days」(1995年)
https://www.youtube.com/watch?v=vzQRTn77Crk&list=RDvzQRTn77Crk&start_radio=1
辰巳:80年代ですね。こういう曲がお好き?
小林:僕はねぇ、こういうハードロックとかヘビーメタル、パンクロックが大好きなんですよね😲大学の頃よく聴いてたんですけど。
今回のきいろ香、実は研究をいっぱいやってたんですけど、そんな時にこういう曲を聴いてたという。。。
辰巳:ぁ、そういうことなんですね。きいろ香とハードロック・・・
小林:近いすよ爆。(研究って)待ち時間も多いじゃないですか。そういう時に音楽聴いたりしてるんです。
辰巳:その待ち時間に聴いてるうちに頭の中が活性化する、とか?
小林:かもしれないです。
辰巳:イージーリスニングやクラシックなんか聴いてると眠たくなったりするかもしれないからね。
小林:夜中ですからね、もうガンガン聴いて⚡️⚡️⚡️
辰巳:覚醒してアドレナリン出して研究してたんですね笑。
辰巳:大学卒業してメルシャンに入られて、当時は味の素(傘下)だったんですよね?
小林:そうなんです。最初は”薬”やりなさいって言われてたんですよ。
その薬の開発を1年ぐらいやってたんですけど、ワインやりたくて、研究所の中で(部署を)移らせてもらいました。
辰巳:元々ワインをやりたくてメルシャンに入ったのか、それとも就職活動の中で、先輩に誘われて青田買いで引っ張られたのか?
小林:うちの大学(山梨大学)がワイン関係に就職する方が多いんで、周り見たらみんなワイナリーに入ってる。だから(自分は)ちょっとムリかなーと笑。
辰巳:大学4年で卒業して?
小林:あと2年は大学院。
辰巳:で就職してそのあと会社のお金で笑、さらに博士までと?
小林:笑。ま、あの、補助していただいて💦
辰巳:今の話の流れでは、大学卒業してワインメーカーになってる友達もいたと?
小林:いましたいました。大学院出てからの人だと、例えばマンズワインの宇佐美(孝)くんとか北海道ワインの河西(由喜)くん。
辰巳:いずれこの番組にも来てもらわなくちゃと思ってる人たちです。この2人は大学院出てそれぞれの職場に就職?
小林:そうです。
辰巳:宇佐美さんは(辰巳さんがプロデュースするスパークリング)”今様”を造ってくれてました。
小林:山梨に「レストランボルドー」ってのがあるんですけど、そこの久保寺(慎史)くんは僕の同級生で「ドメーヌQ」というワイナリーをやってます。
辰巳:彼ともしばらく会ってませんが、そういう優秀な同級生がいたんですね。
小林:ですから僕もそういうところに行けたらいいなーなんて思いながら。。。
じつは卒業旅行は河西くんと宇佐美くんと3人で行ったんですよ。まだ(フランスの通貨が)Fr.の頃。
当時河西くんの妹さんがちょうどフランスに住んでたもんで、「フランスグルグル回ってみよう!」なんてみんなで盛り上がって。
辰巳:とにかくワインをやりたかったと?
小林:そうですね、「ガンバロウ!」と。学校では発酵が主でしたのでワインはもちろん、清酒、お味噌、いろいろやりました。
辰巳:このきいろ香はコウケンさんが担当ってことですか?
小林:ま、僕1人ではないんですけどね、当時は研究所にいましたから。勝沼の皆さんと勝沼醸造さんとやり始めました。やっぱりこれまでの甲州って香りも味も中庸で、「何か特徴がないと」と。
勝沼醸造のイセハラの甲州がすごくいい香りがしたんで、「こういうのを甲州で見つけたい!」っと思って始めたんですよ。
辰巳:それが2002年か3年。ちょっと遅れてメルシャンが続いて、それから各メーカーがどんどん出てきました。
小林:今、収穫や栽培や収穫の時期なんかも考えていただけるようになったし、すごくいい甲州が次から次から出てくるようになりました。
辰巳:「きいろ香」はひとつのジャンルとして確立しましたよね。
小林:ありがとうございます!
辰巳:とういうわけで、きょうは時間がいっぱいになってしまいました。あと3回、でもコウケンさんは話すスピードが早いので情報量の多い月になりそうです笑笑。来週もよろしくお願いします。
全員:ありがとうございました!!!
News Data
- プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2025年8月7日放送回
- ワイナリー
シャトーメルシャン 勝沼ワイナリー
https://chateaumercian.com/winery/katsunuma/- 収録会場
エネコ東京
https://eneko.tokyo/