
2025年4月のゲストは山梨県山梨市、牧丘町の「三養醸造株式会社」代表取締役、山田啓二さんです。
今回は渾身の畑からできた甲州2024年で乾杯!リクエスト曲は牧丘町民の誰もが知るローカル昭和歌謡。四恩さんもヒロさんも防災無線から毎日聴いているとか(全4回 2回目)
辰巳:4月のお客様は山梨県山梨市牧丘の「三養醸造株式会社」の山田啓二さんです。あらためてよろしくお願いします!
そしてプリオホールディングス総料理長、井村貢シェフです。今月も「エネコ東京」からお送りしています。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:今回も白ワイン。まずは乾杯したいと思います。
全員:カンパ〜イ🎶
【甲州2024】https://sanyowine.com/product/wh0007
辰巳:これも猫ちゃんの可愛らしいイラストが描かれた、山田さんのイメージにはそぐわない、、、ぁ、申し訳ない😅
井村:甲州らしさ、’ほんのり甘みがくる’’独特の苦味’、は料理には合わせやすいし、飲みやすいワインだなと思いました。
山田:見た目にすごい澱があるんで、ワタシは「金魚が泳いでいます」って言ってるんですけどね笑。
辰巳:金魚には見えない、金魚のフンには見えるけど笑笑。ぁ、失礼しました😅
山田:夏になるとそれがなくなっちゃいます。20℃ぐらいになると消えちゃう。それはそれで寂しいな笑。
辰巳:これは自社畑?
山田:そうです。これは自分たちの畑の中でもいちばん力の入った畑の甲州で、ノンボルドー(ボルドー液不使用)で亜硫酸も最後にちょっとだけ。だからこれが皆さんにいちばん飲んで欲しいワイン。棚栽培の、でも終了制限はして、ざっとではあるんですけどそれはちゃんと守ってやってます。
辰巳:それは一文字短梢?
山田:いや、X仕立てで2000〜2500本ぐらい造ってます。
辰巳:おいくらですか?
山田:税込2200円です。
辰巳:ねぇ、リーズナブル。昔はもっと安かった、1300円とか。そういえば一升瓶ワインもありましたね。それはもう止めちゃったんですか?
山田:うちは一升瓶でもなんでも、ワイナリー的に”美味しくないと許してもらえない”。その一升瓶に使ってる王冠って密閉度が悪くて、
一定の品質がいいワインを造ろうとなると一升瓶に関しては難しくなりました。
辰巳:今はスクリューキャップになってるのもありますけど、それはいつからですか?
山田:2012年からかな〜。
辰巳:僕がワイナリーに伺ったのが2012年なんですよ。
山田:多分そのぐらいがスタートなんです。最初はスティルヴァン(スクリューキャップ)にする打栓機をレンタルし始めた時に「ぁ、いいな、やってみよっ」ってなって、実際やってみたら密閉度が非常に良くて。「甲州はこれじゃないと絶対ダメだ」と。
1年経たずに結果が出て「うちはもう全部これに変えよう」。キャッパー自体はうちにもあったので、先端を変えるだけでスティルワインにも対応できたんです。
辰巳:今”ノンボルドー”という言葉が出ましたけど、一時期、20年ぐらい前?ノンボルドーは(メルシャンの)「きいろ香」とか流行りましたけど、山田さんのところもその流れだったりしますか?
山田:そんな流れですね、流行ってたんで「じゃぁやろうかな」笑。やってみて甲州は「(メルシャンの)結果があってじゃぁマネしよう」、なんですけど、メルローが非常にいい結果になっていて。ボルドー液を使わなかったら香りも非常にいいです。
辰巳:今4代目、昭和6年からでしたっけ?地元に根差したワイナリーだと思うんですけど、生産本数は?
山田:自分1人でできる本数マックスは、発酵タンク15個ぐらい。一度24個やったことがあるんですよ。すると、あれが破綻してこれが破綻して・・・全部破綻してまずくなっちゃうんですよ。だから「もう絶対やめよう」と。できるだけ大きなタンクにしてまとめてやろうってことになって、今22000本。その24個やったときは15000本ぐらいだったから量は今の方が増えている。
辰巳:で、質も上がってると?
山田:・・・・・はい笑。
辰巳:なんでそんなオドオドしてるんですか爆。いやぁすごくキレイで美味しいですよ。
山田:あまり自信がない、、、。
辰巳:この甲州に合わせたお料理は?
井村:今日はびんちょう鮪のタルタルにしました。この甲州に合わせて。あまり赤身だとマグロのほうが強くなっちゃうなーと思ったんでびんちょう鮪。黄にんじんやトマト、きゅうりなんかの歯応え(のある野菜)も入れてあります。
全員:いただきまーす!
【那智勝浦産びんちょう鮪のタルタル トマトのサラダ添え】
辰巳:オレンジ色のピューレは?
井村:トマトです。
山田:そのオレンジ色がすごくアクセントになってます笑。(←ぇ、見た目のことですか?)
辰巳:この甲州に合ってるかとか、そっち聞きたいんですけど笑。
山田:う〜ん、そうですねぇ。。。
辰巳:そんなに考えさせられる料理ですか?
山田:料理が非常に美味しくて、うちのワインじゃ足りないかもしれないです笑。
辰巳:いやいやそんなことないですよ。きゅうりとかも効いてますよね。
井村:はい、この青っぽさが甲州と合うんじゃないかなー。
辰巳:本当に軽やかなワイン。補糖はしてます?
山田:してます。アルコールがある程度あった方が香りが取り易くなったり、味わいも。やっぱり飲んだ時のインパクトは、補糖してある程度アルコール上げた方が、、、最低でも11%はあったほうがいい。
辰巳:甲州のブドウ自体は18〜19ぐらい糖度あるんですか?
山田:甲州は糖度を上げると酸がなくなってしまうんですよね。畑の甲州がだんだん糖度が上がらなくなってきているんですが、その方がワインにした時にはいいです。いっかい糖分19.9%!とかで造ったことがあって、それはそれで素晴らしかったんです。だから可能性としてそれはあると思うんですけど、ワタシが酸が大好きなんで、、、。
辰巳:だから早摘みして、ノンボルドーでと?なんか先週の(結婚)話から今週はまるでワインメーカーみたいな話(ワインメーカーですっ)になってますけど、こういう話もたまにはされるんですね笑。
山田:うっかり真面目な話をしてしまいました爆。
辰巳:さ、ここでちょっとリクエスト曲を聴きたいと思います。今日は何にしましょ?
山田:「花かげ」ですかね。作詞の方が大村ナントカさん(←大村主計さんです)という牧丘町出身で、割と当時は有名な方だったんです。
辰巳:どういう歌?
山田:ワタシにとっては、、、。夕方5時とかに必ずこのメロディーが流れるんですよ。「おうちに帰ろうよ」っていう合図、ワイナリーとか畑の周辺の。
辰巳:牧丘地区のテーマソング?
山田:はい、防災無線のスピーカーが付いていてそこで放送するんですけど、12時はキンコ〜ンっていう普通の鐘。夕方はこの「花かげ」のメロディ。
辰巳:歌は誰が?
山田:歌も付いてたかもしれないけどワタシにとって歌はどうでもいい。(←町のスピーカーから流れるのは歌無しのメロディだったようです)
辰巳:ま、聴いてみましょう。
「花かげ」(1931年)
https://www.youtube.com/watch?v=N3HEyJDTAWY&list=RDN3HEyJDTAWY&start_radio=1
辰巳:今調べましたらね、西条八十さんのお弟子さんが昭和6年に書いた歌で。三養醸造がスタートした年と同じだったという。
こういう繋がりって面白くないですか?
山田:そうですね。この歌に惹かれてた理由が今わかりました。
辰巳:お姉さんが嫁いで行くちょっと悲しい歌なんですけど情緒的な歌。こういう曲って最近なくなりましたね。
牧丘地区にもワイナリー何軒かありますけど、もう皆さんこの歌はご存知なんでしょう?
山田:全員聴いてるはず。
辰巳:牧丘牧丘言ってますけど、勝沼のもっと上の方。温暖化で下の方がだんだん暑くなってきて、標高800mとかだんだん上の方に移ってきてる。三養醸造さんはどれぐらい?
山田:うちはいちばん下の方なので機山(洋酒工業)さんと同じぐらいかな。カンティーナ・ヒロさんのところがいちばん上にあるので、そこは絶対いいブドウが獲れますね。多分何作っても素晴らしいブドウができる。
辰巳:過去にこの番組にも来ていただいて非常に面白かった広瀬(武彦)さんのところですね。(←若かりし頃ヒジョーにおモテになったお話でした)他には?
山田:牧丘では他に四恩醸造さん。(標高)上の方に自社畑結構持ってますね。あとはいちばん新しいところ、共栄堂っていうのがあります。
辰巳:小林(剛士)さんのところね。
山田:彼のワイナリーは大きいから多分かなり(の量)造ってるかもしれません。
辰巳:そんなに横の繋がりってないもんなんですか?
山田:顔見たら「コンニチワ」爆。なんか話したいことあれば話しますけど。アポ無しで遊びに行ったりとかはしてます。
辰巳:お互いのワイン持ち寄って飲み比べしたりとかもするんですか?
山田:ま、気が向いたら笑。
辰巳:生まれは昭和50年(1975年)。ワイン屋さん(醸造所)の息子に生まれて、ご兄弟は?
山田:男3人でワタシが真ん中、弟は手伝ってくれてます。
辰巳:お兄さんは?普通は長男が継ぐんじゃないですか?
山田:あー、兄貴はちゃんとしてるんで笑。ちゃんとしてるとちゃんと就職してちゃんと生活をしています笑。
辰巳:ちなみに山梨で?
山田:東京の大学に行ってそのまま東京で。
辰巳:それで「家はお前が継げ」と?家業ですから子供の頃から手伝ったりしてたんでしょ?
山田:そうですね、手伝ってました。私がある程度の歳になった頃?小学生の頃?には、一升瓶の販売量は非常に落ちて来ていて私が生まれる前、兄貴の生まれる頃までがピークだったと思います。当時の数字が残ってるんですけど「なんでこんなに造ってたの?」
ってぐらいのものすごい量。
辰巳:どれぐらい?
山田:0が一個多い。今うちの生産量は2万本なんですけど、その昭和40〜50年当時は(一升瓶を)750ml換算にすると10万本以上。
辰巳:そのワインはどこに行っちゃったんでしょ?皆さんが飲まなくなったのか、他にワイナリーがたくさんできて取られちゃったのか?
山田:飲まなくなった。一升瓶ワインの役割が宝の焼酎になって、、、「安くてアルコールが入ってればなんでもよかった」。
そういう人向けの商品だったんで。
辰巳:じゃぁ山梨のワインが廃れていったのは焼酎のせいだったり?
山田:そのせいもあると思うんですけど、それよりも安い輸入ワインが入って来たのがいちばん、かもしれないです。
辰巳:ワインはいつ頃から飲んでたんですか?
山田:保育園の頃から。
辰巳:やっぱそうですよね。
山田:あまり言わないかもしれませんが(🤫)普通ワイナリーの子供は保育園の頃から水の代わりに飲んでいたはずなんですよ。
絶対飲んでるのに、絶対言わないんですよ爆。
辰巳:この番組あんまり影響力ないんで(?)、何人かは白状してます笑。
山田:ぁw、言っちゃいけなかったですね。じゃ、他のワイナリーの人は飲んでいません💦
辰巳:で、その時美味しいと思ったんですか?
山田:美味しい不味いではなく、大人が飲んでるから(どんなもんかと)。
井村:私の小さい頃は(正月の)お屠蘇(おとそ)は絶対飲め!っと言われてましたね。「いやだ!」って言うとそんなのも飲めないとけっこう馬鹿にされました。だから日本酒は今でも苦手です。苦い思い出😖
辰巳:また時間がなくなってしまいました。次回以降もうちょっと伺いたいと思います。4月のお客様は山梨県山梨市牧丘の「三養醸造株式会社」の代表、山田啓二さんでした。また来週!
全員:ありがとうございました!!!
News Data
- プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2025年4月10日放送回
- ワイナリー
三養醸造株式会社
https://sanyowine.com- 収録会場
エネコ東京
https://eneko.tokyo/