プリオホールディングスpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2024年10月31日OA

2020年7月から始まった*ラジオ番組「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」。2024年7月放送分から『**プリオホールディングス提供』になりました。引き続きお楽しみください。
(*Tokyo Star Radio:https://775fm.com/ **プリオホールディングス:https://prior.co.jp/
2024年10月のゲストは富山県南砺市「トレボー株式会社」の代表取締役社長 中山安治(やすはる)さんです。
これまで幾多の試練(?)があったと言いますが、中山さんが語るととまったく悲壮感がありません。バイタリティの塊のような中山さんの最終回です。
(全5回 5回目)

辰巳:10月も最後になりました。今月のお客様は富山県南砺市「ドメーヌ・ボー」代表の中山安治さんです。そしてプリオホールディングス総料理長井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:今月は変わったワインがいろいろ来てまして。ゲヴュルツとリースリングのアッサンブラージュがあったり、ピノ・ノワールの白があったり、先週はオレンジで。今週はようやく赤ワインでございます。まずは乾杯しましょう、よろしくお願いします!

全員:カンパ〜イ🎶

【立野原メルロー 樽熟成2022】
https://domaine-beau.shop/items/65163d896b7c3d003348935f/

辰巳:おーなるほど。中山さんこれはどういうワインですか?

中山:メルロー単体、フレンチオークとアメリカンオーク両方を8ヶ月熟成させてブレンドしました。

辰巳:生産量はどれぐらいですか?

中山:3〜4樽かな、だいたい1200本を目処に造ってます。

辰巳:ってことはフレンチとアメリカン2樽ずつぐらい?

中山:そうです。

辰巳:いろんなブドウ品種作られてますけど今は何種類ぐらいですか?

中山:白ブドウ7種類、黒ブドウ7種類の14種類。

辰巳:ピノ・グリやゲヴュルツのグリブドウも”白”にカウントしてるんですね。

中山:はい。

井村:非常に飲みやすい、というかワインに入門された方はこれを飲むと赤ワイン好きになるんじゃないかと思います。

辰巳:これはヴィンテージ2022年なんですが、この年はどうだったんですか?

中山:2023年ほどは条件的にはよくなかったですが、全体的にちょっと補糖はしましたけどいいブドウが獲れた年でした。
個人的には”果実味のあるワイン”を造ろうと考えています。わかりやすく、ジュースのような、ま、「クリュ・ボジョレ」のようなワインができれば、っと思ってるんですけど。でもそれだけではちょっと魅力に欠けるので、今回のように”樽をうま〜く使って熟成させる”ってことを今やってみてるというところです。

辰巳:これはおいくら?

中山:5500円です。樽に入れてるので少しお高め。

辰巳:ブドウ品種は14種類、アイテムは?

中山:今25〜26はあると思います。これからもブドウはできてきますから、増えると思います。

辰巳:今年間40000本ぐらいでしょ?あのワイナリーだとまだかなり出来るでしょう?

中山:10万から15万本は出来るという希望を持って作ったワイナリーですから、様子見ながら数年先には。前にもお話しした通り、低価格で皆さんにご提供できるワインも造りたいので、「クオリティを下げずに量を採る」ということを考えてます。

辰巳:今日もお料理を食べながら伺いたいと思います。シェフ今日のお料理は?

【牛肉の黒胡椒焼き レーズンのピューレ添え】

井村:熊本の赤牛を使った黒胡椒焼きというスタンダードなお料理なんですけど、今は秋なんで、焼きナスをピューレにしたものと、レーズンを赤ワインで煮たものを添えているので、一皿でいろんな味を楽しんでもらえると思います。

辰巳:うん、美味し♡。この焼きナスのピューレ、意外と黄色いんですね。

井村:はい、ミキサーにかけると結構いい色が出てくれて。香ばしい香りが出てナスの風味が増すんです。

中山:自分たちのワインとこういうお料理が合うというのは感激です。地元のシェフの皆さんにお料理を作っていただくと、わりと’お料理の邪魔をしないワインだね’と言われるんです。’料理とマリアージュしてのワイン’だと思うんだけど。’ワインの邪魔をしない’というのは多分日本人的感覚で、”そばにいて馴染んでくれる”という意味かなぁと。だとすれば、日本人が作るお料理との関係としてはいいのかなぁと思います。

辰巳:今日は先にリクエスト曲を聴きましょう。けっこう中山さんのリクエスト、期待しちゃってます笑。

中山:ルイ・アームストロングさんのWhat a wonderful world。
実は47歳の時にガンになって”死ぬかもしれん”って言われたんですけど、おかげさまで今も元気。あの時退院して外出たら、周りの子供の声とか人の息吹みたいなものとかが、こんなにハツラツとイキイキしてるものか!?生きてることがこんなに素晴らしいものなのか!?それでこの曲を聞いたら「あぁ、ほんっっとうにそうなんだなぁ」と思いました。

辰巳:曲が素晴らしいし、解説がそれぞれいいんですよ。聴く前からなんかジーンとしちゃいます。ちなみにどちらのガンだったんですか?

中山:胃がんです。5分の4取りましたからけっこう堪えたんですけど今は復帰しました。

辰巳:それでお酒辞めたわけじゃないんですね?

中山:ずいぶん食べる量は減りましたけど。ま、今まで人の3倍食べてたのが人並みには食べられるぐらい。お酒はどれだけ飲んでもいいらしいです。なので酒量は変わらず。

辰巳:47歳ってことはまだワインを始める前ですよね?

中山:はい、ワイナリーはまだまだ始まる前。当時ワインショップやってた頃は、買い付けとかツアー開催したりで40回近くは海外に行ってました。

辰巳:そうですか。若いうちにガンになるってショックだったでしょうしね。

中山:「なんで僕が!?」って思いましたけど、今はすべてがいい風に転んでるもんなんだなぁと。

辰巳:ではその生還した喜びあふれる曲を聴いていただきましょう!


Luis Armstrong「What a wonderful world」(1968年)
https://www.youtube.com/watch?v=czI0VtKsvFM/

辰巳:今の話を聞くとこの曲のイメージも変わった気がします。その辺の人生の年輪が出てくるでしょうしね。

辰巳:そういえば。ワイナリー作る時の話、ぜんぜん聞いてなかった。学生時代の21歳で結婚した、地元でワインショップやった、の話はいろいろ聞きましたけど、、、笑。いつから自分でワイン造りたいと思い始めたんですか?

中山:思い始めたのが67歳の時。

辰巳:思い始めてすぐってこと?

中山:みんなワイナリーを作りたいとかって30〜40年前から考えてたんだろうと思うんでしょうけど、僕はそんなのはなくて。ある時息子から「ワイン売るのは嫌だけど、ワインの魅力伝える伝道師なら俺もやりたい」って言われたんです。「売るのは下手だけど喋るんなら」と次男坊が。元々はコックでフレンチ10年やってたんですけど突然そこを辞めてうちの酒屋に入って来た。僕は67歳で自由になったんです。邪魔だろうから翌日から店行きませんでした。コックでしたけど、一応横で(僕の)仕事は見てましたからね。まぁしばらくは一緒にいましたけど、あとは任せることにしたら「あれ、することない?」

実は、ガンになったりもしましたけど、その前に別の事業やって失敗したりもしてたんです。(親が用意してくれた)酒屋を酒も飲めないのに営むも、嫌で、ぜんぜん別のビジネスをしたくてスポーツ関係のビジネスやったら失敗。でもその借金は酒屋をやって返すしかない、とシャニムにやりました。

ガンになった時もそうでしたけど、この時もいっぱい助けてくれた人がいたんです。なので自由の身になった時に、「いろんな人に世話になったなぁ、恩返ししようかなぁ」と。じゃぁ「ワイナリー作ったら僕が死んでも100年200年先までワインが出来る。それを楽しんでもらえたら」と思ったら、なかなか気の利いた恩返しになるかもしれんと思ったんですよ。それを友達に言ったら「お前バカじゃないの、67歳だぞ!」と言われたけど、僕は別に67でダメなんて思わなくて、女房に話しても「やれば」笑。

一応うちは400年以上続いてる旧家なんで、「失敗したら破産するぞ」っていうのがあったんですけど「いいじゃん別に破産したって、破産ぐらい付き合ってやる」。(←さすがストロング雅子(さん))それでまたたくさんの人に応援していただいて、なんとか、って感じです。

井村:バイタリティすごいなと思いました。

辰巳:人生山あり谷あり。とはいえ67歳でワイナリー始めるって世界的にもかなり高齢なんじゃないですかね。

井村:一応みなさん止めますよね笑。

中山:僕も止める爆。でもその「バーカっ!」って言った友人たちが、協力金8600万円集まった中、みんな100万円ずつ持ってきてくれました。「俺のできんことをオマエがやるんだから頑張れ」と。

辰巳:人生ってそうですよね。いかに人と付き合うか?最後まで助けられる。僕らにもありますけど、これをちゃんと具現化してあんな立派なワイナリーになってるんだから。

中山:どんなワイナリー作ろうか?って考えてたんですけど、年齢的にも遅いですから、10年後(77歳)で引退しようと思っていて、その時に「どんなワインになってるんだろう?」と考えたんです。普通は1haの畑から1000、2000本ぐらい出来る、ところから始めたらいいんだけど、ここは当初から「10年後には15haで40000本」。僕はワインを造れないから造るやつの生活を保全してやりたいし、だいたい14〜15人の規模を考えていたら今の規模になったんです。そっからスタート。原因と結果があるとしたら、『最初に結果を作っといて原因を後付けしていく』という暴挙に出たわけです笑。
でも、その暴挙がたくさんの人を面白がらせたようで、応援していただきました。いい感じではきてます。

辰巳:日本全国にもワイナリーの数も増えて500件超え。いろんな成り立ちがありますが、その中でも特異的。もっともっとこのワイナリーのことは知っていただきたいし、これから高齢化社会になる中で、「まだまだ出来る!」というある種のロールモデルになると思います。すでに成功はされてるかもしれませんが、まだまだ次の段階がある気もしますし、77歳ではまだ引退しないんじゃないですか?

中山:んー、でもまだ別のことがしたいってのがあって。

辰巳:おっとー!まだある?それが若さの秘訣か!?

中山:ここらでいっかい辞めないと(次が)できなくなるので。そんなに大きいことではないんですけど、、、。言うと夢のように消えていきそうだし、山の神(と崇めてる)ストロング雅子にも言ってないので笑。

辰巳:そうですかー。でもまたこれからも注目し続けたいと思います。”ワインは人”とは言いますけど、人柄とか人生とかが現れるんですよね。料理もそうじゃないですか。

井村:そうですね。

辰巳:そういうところを見ていきたいしいちばん興味あるところでもあるんですよね。あっという間でしたけど、5回に渡って楽しいお話をありがとうございました。10月のお客様は富山県南砺市の「ドメーヌ・ボー」中山安治社長でした。

全員:ありがとうございました!!!

「ドメーヌ・ボー(トレボー株式会社)」
https://tresbeau.co.jp/domaine-beau//

収録会場:エネコ東京

News Data

プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2024年10月31日放送回

ワイナリー

「ドメーヌ・ボー(トレボー株式会社)」
https://tresbeau.co.jp/domaine-beau//

収録会場

ENEKO Tokyo
https://eneko.tokyo/jp/

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