2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年1月のゲストは山梨県の「ドメーヌヒデ」代表取締役の渋谷(しぶたに)英雄さんです。
まずは番組初登場「モンドブリエ」のオレンジワインで乾杯!飛行機の管制員→ダイビングの指導員→心理カウンセラーからのワイナリー起業と異色にも程がある(笑)経歴の渋谷さん。そんな渋谷さんが憧れる”真っピンクのマスカット・ベーリーA”とは?(全5回 3回目)
辰巳:2月の3週目になりました。今月のお客様は、山梨県南アルプス市の「ドメーヌヒデ」代表、渋谷英雄さんです。そして、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:最初はロゼのスパークリング、先週は清水焼の高価な壺を使ったシャルドネをいただきましたが(←オレンジワイン)、今回もオレンジ?
渋谷:はい。
辰巳:オレンジワイン好きなんですか?
渋谷:一応うちは赤しか造らない醸し中心。
辰巳:基本的に醸さないワインは造らない?搾る設備ないとか?笑。元々はマスカット・ベーリーAにこだわるワイナリーですしね。
渋谷:はい、赤系にこだわったワイナリー。
辰巳:で、これは白ブドウを醸したオレンジワインということですね。では乾杯しましょう。
全員:カンパ〜イ🎶
【ドメーヌヒデ モンドブリエ2023】(写真は発売前のため暫定処置の裏ラベルに手書き)
辰巳:いやぁ、これも旨みコクがたっぷりなワイン。シェフ、いかがですか?
井村:でもその中にもフルーティさもあって、見た目は少し濁ってるんですけど、飲み口はスッキリしてクリアな味がします。
辰巳:これはどんなワインですか?ラベルがないんですよ〜。
渋谷:まだリリース前なので。ま、来月までぐらいには。
辰巳:これは何本ぐらい?
渋谷:120本ぐらいですね。
辰巳:・・・(少な)笑。
渋谷:まだ樹が若いので。
辰巳:品種は’モンドブリエ’と手書きで書かれてます。モンドブリエって甲州と?
(モンドブリエ参考サイト:http://www.uehara-grapes.jp/variety/grape_127.html/)
渋谷:いや、シャルドネとカユガホワイトの交配品種です。
辰巳:カユガホワイトの親になんか(甲州系が)入ってるんですかね?
渋谷:カユガホワイトは山梨県が甲州の次に打ち出しだそう!という品種です。
辰巳:造ってて味はどうなんですか?
渋谷:試験場で造ったやつはもう少し華やかな香りがして、それをやりたかったんですが、でも味は余韻が長いので。
辰巳:香りは強くはないけど、アロマ系の品種といってもいいかもしれない。っていう感じですかね。
渋谷:はい。あとは病虫害にも強いので有機農法で育つブドウです。作りやすい。
辰巳:反収も上がります?
渋谷:はい。今0.5反植えて3年目で300~600kgなんで。。。
辰巳:だいたい1反で1tぐらいはいくだろうと。
渋谷:これからは多分甲州に次いで、山梨県ではいけると思います。
辰巳:病気に強いってのは大事ですよね。
渋谷:そうですね、栽培しててラクですね。
辰巳:ヨーロッパの品種って皮も薄いしね、どうしても向こうの気候に沿って発展してきたブドウですからね。日本ではなかなか難しいかも。シェフはモンドブリエは?
井村:初めてです。
辰巳:そうですよね。この番組始まって3年半ですが、出してきはったのは初めてだと思います。さ、このモンドブリエのオレンジワインに合わせたお料理はなんでしょうか?
井村:今日はタイムで香りをつけた芝海老のフリット。付け合わせは青いところをフリット、白や黄色の部分はソースに使って全部長ねぎでまとめてあります。
全員:いただきま〜す。
【芝海老のフリットと長ねぎの取り合わせ アメリケーヌソース】
井村:このワインには少しオイル感のある料理の方がいいのかなと。
渋谷:まさにオイルが整うというか、馴染みますね。エビの香ばしさもしっかり残るし、ワインまで香ばしい感じがしてきました笑。
辰巳:なんかオレンジワインらしさが引き立てられる感じしますね。
辰巳:まだ発売前ですが、これはおいくら予定?
渋谷:まだ決めてないんですけど、これは楽しく飲めればいいかな笑笑。(←前週の壺シャルドネが2万円越えでしたので😅)
辰巳:でも120本ですから。来年からはもっと増えます?
渋谷:だんだん増えていきます。今はまだ樹齢が3〜4年なので。
(「モンドブリエ2023」についての追記:渋谷さんに伺ったところ、2024年4月9日現在まだ発売されていないそうです。「面白いラベルを模索中」とのことでした。)
辰巳:ワインのお値段ってどういうふうに決めます?原価元に計算してもあんまり良くないって話も聞きますけど?
渋谷:「飲んでみて味で決める」ようにはしてます、ナットクいかないのは値段つけづらいし・・・。
辰巳:例えば、ワインの経営学みたいなのやると、”ブドウの原価の10倍ぐらいが定価としては必要”という話をよく聞きますけど?¥200/kgのブドウだったら2000円とか¥500/kgだったら5000円とか。それがなんで20000円のワインになったりするのかなと思ったりするんですけど、、、。
ま、前回みたいに「(ワインを熟成させた)清水焼の壺が高くて」って理由も初めてでしたけど笑笑、
シェフはどうです、このレストランでワインを仕入れる時?
井村:そうですねぇ。仕入れる時は「なんでこの値段?」って思う時はありますけど、それには意味があると思うんで。さっきの壺の話もそうですけど”背景に何があるか?”を考えながら(決めます)。
辰巳:ヒデさんは以前にいろんな仕事をされてて、先週の話では、大学卒業後は弁護士になりたかったけど、航空会社に就職して沖縄(慶良間諸島)の無人島に6年間島流に遭ったというか、進んで島流された?という笑笑。
渋谷:ま、住んでた島はその隣の島で人口50人はいたんで笑。その隣の島まで船で渡って管制員を。
辰巳:そこで1日多くて2便の?
渋谷:いえ、多くて12便。小さな飛行機だからしょっちゅう行き来してたんで。そのころはダイビングブームでもあって、おかげさまでお客さんも多かった。
辰巳:そうか、ダイビングブーム!80年代、バブル半ばぐらいから?
渋谷:そうです、そのちょっと前かな。素潜りはちょっとやってましたけど、新ためて現地で(ダイビングに)ハマって・・・他やることないんで爆。海で釣りかダイビングか。
辰巳:あとは泡盛か。
渋谷:(蒸留所は)島にはなかったんですけど、本島にはあったんで勉強さしてもらいには行きましたね。
辰巳:その沖縄時代に現地で結婚されて?笑
渋谷:「あるある」で東京から観光で来た人と。
辰巳:ダイビングしてる人はモテるんですよね。
渋谷:そう、カッコよく見えたんでしょうね、東京で会うとフツーのおにぃさんだったんでしょうけど笑笑。
辰巳:それでその彼女も沖縄で一緒に住むようになって?
渋谷:そうです。一緒にダイビングをしました。
辰巳:んーーー、それでー、何年ぐらいー、結婚されてたんですか?(←歯切れ悪い)
渋谷:10年ぐらい?だったと思いますけど。
辰巳:沖縄に6年いて?
渋谷:それから東京に戻ってきて、
辰巳:管制員は?
渋谷:その頃はダイビングの指導員の免許持ってましたので、東京でダイビングを教えていたんですね。高校生にも教えてました。
辰巳:沖縄で管制員の仕事しながらダイビングのライセンスも取って、飛行機の会社は辞めて東京に戻って、ダイビングの先生と?
渋谷:はいそうです。
辰巳:街の中にある深いプールとかに?へぇぇ、なんかカッコえぇ。
渋谷:なんか遊んでばっかりみたい笑。
辰巳:それは何年ぐらい?
渋谷:ダイビングは10年ちょっと、30歳すぎまでやってました。
辰巳:そのころは(ダイビングの)先生として普通に稼ぎもあった?
渋谷:はい。先生として高校生も教えてたんですけど、不登校の子とかちょっとやんちゃな子供もいたりして。でも一生懸命教えてたらなんとかなる的にやってたら、もうコテンパンにやられて。「やっぱ心理学やらなくちゃあかん」。愛情だけでなんとかなるもんじゃないですね笑笑。
辰巳:えぇぇぇぇ!?そこで心理学を勉強しようと思うのがエラい、というか血液型はA?
渋谷:そうです。
辰巳:今話聞いててA型っぽいなぁと。B型(←辰巳さんです)はぜんぜんそんなふうに思わない、「なんとかなるやろ」笑笑。
渋谷:真面目なんです笑。
辰巳:ダイビング→心理学、というところでリクエスト曲を聴きたいと思いますが、今日は何を?
渋谷:海の話が出たんで「我こそは海賊」で。
辰巳:誰の歌?
渋谷:「(映画)パイレーツオブカリビアン🏴☠️」、ぁ、「彼こそは海賊」でした。
辰巳:どんな曲でしたっけね、多分聴いたらわかると思います。ではどうぞ。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」〜彼こそが海賊(He’s a pirate)〜(2003年)
https://www.youtube.com/watch?v=E317TqaML44/
辰巳:いい曲ですねー、第1作は20年ぐらい前なんですが、これはどういう思い出が?
渋谷:僕は最近好きになった曲。このモンドブリエを植えた時にしょっちゅう聴いていて、僕にとって栽培とか苗を植えるとかは’闘い’なんで、これ聴いて鼓舞して頑張って植えてました。
辰巳:どうやって聴くんですか?
渋谷:畑にちっちゃなスピーカー持ってったり、
辰巳:ラジカセ?
渋谷:よく工事屋さんが持ち歩いてるラジカセ?笑笑
辰巳:我々はラジカセ、その言葉自体死語かもしれませんが。だいたい畑や海辺はラジカセでしたよね。
渋谷:だいたいカセットがもうない。(←いやいや今の時代、そのラジカセ、カセットテープも復活再燃してるらしいですよ)
辰巳:以前テレビ番組(BSテレ東「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫」)で取材に伺った時はちょうど苗を植える時で、ちょっと手伝わせていただきました。挿し木の時も伺いましたよね。山の上の単独の畑で「これは接木をせずに自根で植えるんだ」というところで何本か一緒にやらせていただきましたが、その後大丈夫ですか?
(←こちらはマスカット・ベーリーAの畑です)
渋谷:はい、無事育ってます。
辰巳:フィロキセラとかは出ないでしょ?
渋谷:単独畑で隔離されたところなので今のところ。
辰巳:その樹齢がもう7〜8年。その畑のブドウ単独で(ワイン)造ってる?あるいは混ぜて?
渋谷:このヴィンテージはちょっと収量少なかったので混ぜましたが、基本単独、モノポール。「桜の畑」といいます。
辰巳:そろそろそこの畑のワイン飲みたいなと思って「持ってきて〜」と電話しようとしてたんですけど忘れてた笑。このワインは何本ぐらい?
渋谷:こちらは500〜600本できると思います。去年はちょっと収穫遅らせて収量が減ったのでこのヴィンテージは混ぜて。
辰巳:遅摘みにして糖度を上げた?
渋谷:そうです。(干し葡萄っぽくなるまで)限界に挑戦しました。
辰巳:その取材当時から「マスカット・ベーリーAにこだわる」っていう話をずっとされてましたけど、マスカット・ベーリーAのなにが?どこに惚れて?
渋谷:マスカット・ベーリーAの原液が4年に一回ぐらいの割合ですっごい綺麗なピンク色になるときがあって、その原液を見た時に「こんな綺麗な自然の色があるんだ!」っと思ってそれに惚れた♡
辰巳:色!?
渋谷:色。ベーリーAのジュースの色。真っピンク🩷
辰巳:ほかのブドウとは違うんすか?
渋谷:違いますね、あのピンク色は見たことない。で、そのピンク色のワインを造りたいんですけど未だ造れてない。(時間経過や製造過程で?)色が変わっちゃうんでやっぱり4年に一回ですね。
辰巳:今年は閏年ですからちょうどいいかもしれません笑。
渋谷:なんとかそのままの色をワインにしたい!
辰巳:でもそれはワイン造り始めてからその色に出会ったんでしょ?植える時に「ベーリーA中心でいこう」と思ったのは(ワイナリー設立前に)経験を積むためにどこか他のワイナリーで勉強してるときに?
渋谷:はい、研修してた(勝沼の)東夢ワイナリーでそのピンク色に出会って。
辰巳:その年にたまたますごくいいピンク色が出た?
渋谷:南アルプス市のブドウでラピュータを造った年。でも醸造しちゃうと”赤”になっちゃうんですね、そのピンクが。
辰巳:そうか、じゃそのピンク色のワインは未だ造れてないんだ?
渋谷:はい、夢ですね。
辰巳:すごくロマンがあります。だからこそ「ドメーヌヒデ」のファンも多いんでしょうねぇ。
渋谷:ありがとうございます。
辰巳:ワイナリー立ち上げから15年。今日のモンドブリエもそうですけどようやく白ブドウも作り始めた?
渋谷:『お客様は「白も飲みたい」、でも「白ない」』。ということでやってましたが、オレンジワインも美味しいので。山梨には甲州上手に作る人たくさんいるんで「甲州はやらない」って決めてたんですけど、だけど、山梨住んでみると甲州の畑は綺麗なんです、グリ色で。あんな美しいブドウないすよ笑。もう逆光なんかで輝いて。
辰巳:棚からだーっと下がって房が見えてね。なんで垣根で作るかなと思う。棚の方がぜんぜん綺麗♡ 畑は垣根もやってるんすか?
渋谷:垣根と棚と両方です。
辰巳:垣根は何を植えてるんですか?
渋谷:垣根はベーリーA中心で。棚も一部ありますけど収量減らして「今までのとは違う」ベーリーAということで基本は垣根。
辰巳:「桜の畑」は垣根でその前に植え付けたのは棚でしたよね。そうかー、ひとつ謎が解けました。そのピンク色のベーリーAも見てみたいですねぇ、普通のロゼとは違うんですよねぇ?う〜ん。この辺りの話はまだまだ続きます。あと2回、お楽しみに!
全員:ありがとうございました!!!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
Domaine Hide(ドメーヌヒデ)
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News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年2月15日放送回
- ワイナリー
Domaine Hide(ドメーヌヒデ)
https://www.domainehide.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/