ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2023年6月8日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年6月のゲストは山梨県勝沼の「丸藤葡萄酒工業」代表取締役の大村春夫さんです。
”日本ワイン業界の生き字引”の大村さん。いやぁ話が止まらない!やっぱりネタ持ってます。
ワインのこと、そうでないこと、今週も満載です。(全5回 2回目)

辰巳:6月のお客様は山梨県勝沼「丸藤葡萄酒工業株式会社」の大村春夫社長です!
そしていつも通り、この番組の会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:今日は大村さんの若い頃をお伺いしましょうと先週予告しましたが。農大で勉強したということですが、でもその前にワイナリーに生まれ育って、当然継ぐもんだと?それとも?

大村:僕は次男坊で兄がいるんです。下に弟。うちの親父はなんとなく毛利元就みたいに”3本の指に・・・”っちゅことは言ってましたよ。

辰巳:(兄弟)3人ですか?

大村:男3人。弟は今神楽坂で*ワインバーやってて。で、兄貴は能力もないのに昔は一応英才教育を受けたんですよ。
(*神楽坂ルバイヤート:https://www.kagurazaka-rubaiyat2015.com

国立の中学校行って、(普通にいったら)山梨大学とかに行くコースなんでしょうけど、素行が悪くてですね、高校は(山梨県立)日川高校。(←いやいや、十分優秀だと思います)
おっかさんが電話で呼び出されて「息子さんが・・・」。素行が悪いと言えば。高校3年生にもなればタバコも吸うじゃないですか。

辰巳:、じゃないですか、と言われても「はい」とは言いづらい笑。

大村:まぁ吸ってたんです(兄貴が)笑。それを先生もわかってたもんだから、「そんなに吸いたいんなら職員室に来て吸え!」と言われて吸った爆。

うちの兄貴は融通効かず、先生も冗談で言ってたことを間に受けるとは思ってなく、まさか職員室でとは。。。

それ以降「ふぅちゃん(←お兄さんの名前は冨士夫さん)のおかげで堂々とタバコが吸えるようになった」と同級生には感謝された笑笑。

辰巳:”革命児”じゃないですか笑笑。

大村:ただ冗談が通じないってだけだったのに笑笑。

そういう兄貴がいて、だから彼が後を継ぐような雰囲気じゃないなはわかってたから、僕が一所懸命。

親父も病弱だったこともあって、ぼくは中学生の頃から防虫散布みたいなことやったりしてたので、「俺が継ぐんだろうな」。で、農大行って、醸造試験所行って、フランスに行くことになるわけです。

辰巳:もうその頃から決意してたんですね。他に夢はなかったんですか?

大村:いやぁ、昔から兄貴に「次男坊は要領がいい」ってよく言われてたんすよ。こっちからすると「オマエが要領悪いんだろ!?」爆。小学生のころは畑の端にコンクリートの層があって、川の水を引き込んでボルドー液をそこに溶かすんですけど、母が4時ぐらいまでは分離しないように竹箒の古いやつで混ぜてるんです。僕が学校から帰ってくるとタッチ交代。

辰巳:子供の頃からボルドー液を?笑。

大村:「なんで俺だけこんなことを!?」笑笑、っと思いながらそのころからやってましたね。病弱な親父のこと思うとやらざるを得ないな、みたいな。

辰巳:中学生のころからワイン舐めたり味覚の訓練させられたりとか?笑

大村:そこまではないですけど。
豆腐屋のおじちゃんが豆腐一丁持ってきた代わりにうちのおばぁちゃんは、リボンシトロンのコップ(←懐かしいと思う人は昭和ど真ん中)に冷蔵庫で冷えてたワインを入れて渡す物々交換してた。

辰巳:その頃の物価って?

大村:いやぁ、豆腐のほうが安いと思いますよ〜。で、そのおじさんはワインをキュッと一気飲みしてタバコをふかし呑みして自転車で帰ってくのを見てるんすよ僕らは。ワインが売れる前の時代ですから、砂糖を入れてワインを飲んでる人も見ましたし。
醸造試験所(←現在は広島ですが当時は東京都北区)に通う頃は、高円寺に下宿してて、中央線で新宿に行き、新宿から山手線で駒込まで行き、京浜東北から王子まで通ってたんです。
「当時の(日本)国民一人当たりのワイン消費量が年間0.2L」、牛乳瓶1本の時代。新宿の駅で乗り換える時、すれ違う人たち見て、「この人たちが毎日(ボトル)1本飲んでくれたらなぁ」って毎日思ってましたよ。

辰巳:そんな風に思いながら通う学生ってなかなかいないんじゃ?

大村:それが昭和49年で、マンズワインさんが市川染五郎さんが結婚したのを機に「夫婦でワイン」というCMを始めた時ですよ。このときは女性社会の到来。そのすぐあとにサントリーさんが「金曜日にワイン」というデリカワイン、週休2日制になるってとき。それからメルシャンさんが松坂慶子さんを起用して「良い1日良いワイン」ってCMを流した。その頃が第一次ワインブーム。

辰巳:懐かしい!そういえばワイン飲むの忘れてました。大村さん話し出すとホント止まんないすから笑。

大村:止めてくださいっ笑。

全員:今日は白ワインです、カンパ〜イ🎶

【ルバイヤート甲州シュールリー2020】(現行は2021年)
https://www.rubaiyat.jp/item/278/

辰巳:うん、これは落ち着きます♡2020年の「ルバイヤート甲州 シュール・リー」。今や甲州ワインのスタンダードみたいな。

大村:和食に合うような甲州を造りたいと思って「シュール・リー」を始めるんですけど。メルシャンの1984年に頒布会用にリリースした東雲甲州シュールリーを手本にうちは88年から始めました。
麻井宇助さんが僕の耳元でいつもいろいろ囁くんですよ。「ハイパー・オキシゼーションってことやったら別もんになったよ」
どういうこっちゃ?と思いながら、金魚鉢にエアをプクプク吹き込むようなことをうちはまだやってなかった。少し酸化するし、それをやると渋みや苦味が少し軽減されるんですけど、でもそれをやると色も取れちゃう。だからこれは若干熟成してます。甲州はちょっと色味があったほうがいい。

辰巳:なるほどー。これは若干黄色味がかったキレイな色ですねぇ。今日は和食ではありませんが、シェフ、お料理はなんでしょう?

井村:クラムチャウダーをサラダ仕立てにしてみました、アサリとじゃがいもを冷たいサラダに。

【あさりとじゃが芋のサラダ仕立て クラムチャウダーソース】

大村:彩りがとってもキレイでいいですねぇ。

辰巳:ニンジン、スプラウト、ブロッコリー・・・いろいろ入ってますね。ではいただきます!

大村:塩味もちょうどいいです。

辰巳:うん、確かに和食にシュール・リーは合わせたくなるんですけど、

大村:魚介類にとっても合う。

辰巳:シェフはこのワインどう思いますか?

井村:甲州はいろいろ飲むんですけど、このワインは(香りを嗅いだ時より)口に含むといろいろタッてくる感じがします。

大村:今はとかく”香りを出す”ワインが流行ってるんですけど、うちでは”もうちょっと置いたほうがいいんじゃないの?”。こないだ2022年のワインを瓶詰めしてるワインを診たら、やっぱ香りが華やか。でも1年経ったらそれが落ち着いてくると思います。

辰巳:それは新しいワインよりは熟成したほうが?

大村:「熟成したワインの時代が来るだろう」っていうんで、借金して熟成蔵ってのを建てたんですね。「他のワイナリーに真似できないことやりたいよね」、’熟成’なんて急にはできないんで笑。

辰巳:ま、経費もかかりますしね。ちなみにこれはおいくらですか?

大村:1950円+消費税です。

井村:お得ですね。(←レストランでも扱いやすいですよね笑)

辰巳:これは2020年ですけど2021も2022も瓶詰めしてるわけじゃないですか。これ並べて販売しては?

大村:それもありだと思います。うちの甲州にはシュール・リーの他に皮ごとタネごと発酵した’醸し’ワインもあるんです。
「その中間ぐらいの綺麗なワインできないかねぇ」で何年か前から取り組んでるんですけど、それをテイスティングした時に「もうちょっと色がキレイなほうがいいよねー」。(これがうまくいったら)3本セットで売れたらいいなと。あとは自園の甲州だけで造ったセットも面白いかも、とか。

辰巳:いろいろ工夫してやってるんですね。

辰巳:大学を出て醸造試験場で勉強して勉強して。醸造試験場は1年?

大村:2年です。大学在学中からいましたんで23歳まで。

辰巳:それも終わって、どこにも丁稚に出ずに実家に帰られた?

大村:はい、それから日本で語学を勉強して、ITV(ぶどう ぶどう酒研究所)、いわゆるボルドー大学の中の研究所に行くんですけど。

辰巳:それは自費?

大村:自費です。

辰巳:ボルドー大学には何年?

大村:1年。それ以降ちょっと具合悪くなって帰ってきてしまったんです。元々糖尿病で、(実家の方からも)「帰ってこいよー」ということで。本当はもっと長くいたかったんですけど。。。

辰巳:ちょっとここでリクエスト曲を聞きたいと思います。今日は何を?

大村:アコーディオンのCovaさんの「SARA」っていう曲をお願いします。

辰巳:Covaも蔵コンに?

大村:3回出てもらってます。

辰巳:そうか、彼ともよく話すことあるんですけど、蔵コンには一回も行ったことないんですよね、すぐいっぱいになっちゃって。

大村:今年はコロナ明けってこともあって限定50人でやりましたけど、来年はぜひ!

辰巳:では聴いていただきましょう。Covaの「SARA」。

Cova アルバム「シチリアの月の下から」より「SARA」(1991年)
https://www.youtube.com/watch?v=5IV6n7q3A7g&pp=ygUJY29iYSBzYXJh

辰巳:この曲、僕も何回も聴いてますけど。彼面白いですよねー。

大村:彼との出会いは元々、山梨県のワイナリーが集って、県民ホールみたいなところで”ワイナリーコンサート”をやったんですよ。まだ彼が有名になる前。そのうちどんどんどんどん有名になった。その後(彼の曲が)ANAのCMに使われたんですって。「恋に落ちて」っていう楽曲だったらしいんですけど、飛行機会社だから”落ちちゃ困る”。笑笑。それで楽曲変えたんだって爆。

辰巳:なんかそんなのありましたね笑。

大村:で、Covaはワイン大好きなんです、イタリアが長かったしレストランまで持ってましたしね。最初は乃木坂、その後丸の内とか。すんごい面白い人。

辰巳:僕のいっこ下なんで、今年64歳。アコーディオン、重いんで年取ってくると結構大変ですよ〜笑笑。我々の仕事もそうですけどもう体力勝負ですよ。

辰巳:今月のリクエスト曲は蔵コンに来ていただいたゲストの方とはお付き合いがある方ばっかり?

大村:そうですね、僕がボルドーにいる頃涙を流した曲1曲以外は笑。(←ボルドーで何が悲しかったんでしょうか?、次回以降要チェックです)

辰巳:またあんま時間無くなってきたねー汗。この後3日後(収録日は6月8日でした)の6月11日に小淵沢のリゾナーレで*メーカーズディナーがあるとか?

大村:ま、人数は制限してるらしいですけど。

辰巳:僕も映画繋がり(「シグナチャー」で大村さん役を辰巳さんが演るという)で賑やかしで登壇しますが。
(注:こちらの*イヴェントはすでに終了しています)

辰巳:次回の放送はボルドー大学の話、とか、若い頃の恋愛話、とか、フランス女性の話、とか笑笑。聞いてもいいですかね?ちなみに結婚されたのはおいくつの時?

大村:36歳。

辰巳:っていうことは、この世界に入って10年ぐらい経ってる。かなりやってましたね笑笑(←何をですかっ!?)

大村:滝汗。比較的自由には生きてましたね笑。

辰巳:では次週しっかり笑。興味あるでしょ?

井村:ありますっ。

辰巳:大村さんモテたでしょ?いや、ぜったいモテてました。この辺の話をしたいと思いますのでちゃんと調べといてください(昔の彼女の名前でしょうか?)、間違ったら困りますからね笑笑。

辰巳:6月のお客様は「丸藤葡萄酒工業株式会社」大村春夫社長です。来週もよろしくお願いします!

全員:ありがとうございました!!!

お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

https://www.rubaiyat.jp

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2023年6月8日放送回

ワイナリー

丸藤葡萄酒工業株式会社
https://www.rubaiyat.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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