ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2023年5月18日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年5月のゲストは長野県高山村の「信州たかやまワイナリー」、鷹野永一さんです。
「特定任期付職員」として高山村の職員となった鷹野さん。振り返ってみればこの誘いは必然だった?
村内でしか手に入らない「なっちょ」のロゼを飲みながら、この転機への軌跡(奇跡?)を辿ります。
(全4回 3回目)

辰巳:5月の3週目、お客様は信州たかやまワイナリーの鷹野永一さんです。
「タカノのタカは高い低いじゃなく”鷹狩り”の鷹、鷹野永一でございますー」ってなんか選挙みたい笑。
そしてこの番組の収録会場、「Vilas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです!

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まずは乾杯しましょう。今日はロゼでございます。ロゼっていいですよねぇ。
「なんで日本ではロゼが売れないんだろう?」
不思議でしょうがないんですけど。「なっちょ」のロゼです。前からこれってありましたっけ?

鷹野:はい、創業した時(2016年)からこの「なっちょ(シリーズ)」のロゼ(と白)はあります。赤が2020年のヴィンテージから。

信州たかやまワイナリー ファミリーリザーブ「なっちょ ロゼ 2021」
https://www.shinshu-takayama.wine/wines/series/family-reserve/

辰巳:このシリーズは地元(高山村)行かないと買えない、限定のシリーズって聞いてるんですけど?

鷹野:高山村の酒販店さんとうちのワイナリーだけで販売してる商品です。

辰巳:なかなか他では飲めない?

鷹野:たかやまワイナリーでは、「世界中で評価されるワインを造る」とともに、『地域がワイン産地になること』、を目指してるので、それを遂げるには「いい人いい物いい飲み手」の3つの条件が揃わないといけない。

辰巳:『いい人いい物いい飲み手』かぁ。「飲み手」大事ですよね。

鷹野:もちろん世界的に評価されるようなワインも造らなきゃいけないですし。それには志の高い造り手も要る、そのワインを”あたたかく厳しく”見守る飲み手が要るだろう、と考えてます。

辰巳:それ誰の言葉?

鷹野:私の記憶によれば、浅井省吾さんという先輩(←麻井宇介さんですね)がいましてその人の言葉、と承知しております。

辰巳:鷹野さんも、映画にも書籍にもなった「*ウスケボーイズ」(の一員)でもあるんですね?
(*ウスケボーイズ:https://usukeboys.jp)

鷹野:そうですね、影響を受けた人間の一人ではあります。

辰巳:仲人も麻井さんって?

鷹野:笑。結婚する際に仲人を誰に頼むか?ってなった時に、両者の教授?ってなったんですけどその教授同士が仲悪かったんですよ爆。

辰巳:同じ大学の同級生でありながらついてる教授が違った?

鷹野:あっち立てればこっちが・・・笑笑。

辰巳:もしよければお名前を爆。(←ないない)

鷹野:じゃ、じゃぁ、2人が将来的にも尊敬できる人に。っということで麻井さんに頼んでみたら受けていただけて。

辰巳:奥様の方も麻井さんのことを知ってた?

鷹野:当時女性の醸造家は珍しいってこともあって麻井さんからも目をかけていただいてた。
だからどっちかというと「麻井さんに」と申し出たのはカミさんの方なんすよ。
私は(麻井さんと)同じメルシャンというところにいながら部門がエライ遠いところにいた。私IT部門で川崎勤務だったし。
で、石和のカフェで待ち合わせしたんです。そしたら麻井さんは「ぁ、あなたですか?」と。どこかで面識だけはあったみたいで・・・。

辰巳:へぇぇぇ。いろんな話がボロボロ出てきて聞いてる方は本当に楽しいんですが。
ちょっとワインの話に戻ります笑。なっちょのロゼ。シェフ、このワインいかがですか?

井村:可愛らしい香り、ブルーベリーのような。そこまで酸も強くないのでいくらでも飲めるなっていう。

辰巳:シェフはどんなワインでもいくらでも飲めるんじゃないですか?笑笑。
でも本当に飲み飽きしないタイプ、何の引っかかりもないし。
このブドウは何ですか?

鷹野:えっと。なっちょの中身については非公開になってます。ただ、特別のノウハウがあるわけでもないし、怪しいことは何もないんで、、、。想像して楽しんでいただければと。
ワインは少しミステリアスな部分があったほうがいいんじゃないかと思います。

辰巳:僕もそう思います。

鷹野:そういう部分を全部剥ぎ取らずに想像していただければ。飲んでいただいてブドウ品種の答え合わせの問い合わせあればちゃんとお答えしますし笑笑。そういう’コミュニケーション’を楽しもうっていう。

辰巳:ブレンドですよね?

鷹野:・・・個人的なお問い合わせだったらいいんですけど、これ電波乗るんですよね?汗。
なんで一応シークレット笑。

辰巳:なるほどー。シェフ、なんだと思いますか?って、ま、いっか笑。あとで教えてもらいましょう。今日のお料理は?

井村:オマールとアサリと春野菜を軽くラグー、煮込みにしたものです。貝の旨味をこのワインに”ノセたい”と思ったので。

辰巳:カブラ、アスパラ、インゲン、スナップエンドウ、トマトとあとは香草がいろいろと。

【オマール海老・浅利・春野菜の軽いラグー】

辰巳・鷹野:いただきます!!

辰巳:春野菜やハーブの苦味とロゼって合いますよね?

鷹野:なんか南仏にいるみたい。

辰巳:あーそうですよ。そういえば前回はボルドーに赴任したって話のところまででした。南仏にも行かれました?

鷹野:はい、行きました。ボルドー時代に車でビューっと。

辰巳:フランス時代は楽しかったですか?

鷹野:ですね、ほんっっとに笑笑。

辰巳:それは奥さんも一緒に?

鷹野:はい、一応家族で。それが条件だったので。

辰巳:2005年からでしょ?向こうにいる間に会社が変わった?(←メルシャンがキリンの傘下に)

鷹野:いえ、帰ってきてからです。(←2013年にキリンの傘下になりました)

辰巳:この赴任はワイン業界で活躍してもらうべく育てていく英才教育の一つなんですかね?

鷹野:そうですね。若手をフランス(シャトー・レイソン)、あるいは当時はアメリカにもある関連会社(マーカム・ヴィンヤード)に技術者が一人行って修行してくるっていう。その制度で行くことができたんです。

辰巳:日本でやってる時とはぜんぜん違いました?

鷹野:そうですねぇ。まぁボルドーは「ワインを造ってる地域だな」ってのはあからさま。
子供達のPTAなんかでお食事会やってる時に「(お仕事)何やってんですか?」って聞くと「(某有名ワイナリーの)分析やってるのよ』笑。そんな人ばっかりですよ笑笑。

辰巳:ワインに関わってる人がほとんど、みたいな?

鷹野:今となってみれば、息子と同級生だった人たちがもうワイン造りやってるんだなと。

辰巳:息子さんはおいくつ?

鷹野:25歳。

辰巳:息子さんはワインには携わって?

鷹野:ところが。去年の4月からワイン造りやり始めちゃった。

辰巳:ところがって爆。本当はワイン関係じゃなく別の方向に進もうとか?

鷹野:いやぁぁぁぁぁぁ・・・。両親とも(鷹野さんご夫妻)が反対してたんです。学生の時にいろいろ足踏みしてて、「どうすんの?」って時に「ワインはどうかなぁ」って相談は一回ありました。
その時は「やめとけ」って笑。

辰巳:なんで?だって本人はフランス行ったり好きなことやってたんでしょう?爆。

鷹野:でも食べてくのは大変ですから。お金持ちがワイナリー作った人はいますけど、ワイン造ってお金持ちになった人って世界中に誰一人いないですから笑笑。

辰巳:いるんじゃない?

鷹野:いないすいないす。有名なフランシス・コッポラ監督とかトルシエ監督とかお金貯めてから経営をする方はいますけど、イチからワイン造りをしてお金持ちになったって人は誰も。

辰巳:でもお金持ちになるのが人生の目的じゃないですよ。

鷹野:じゃないですけど。極端なんですよ、今食べてくのが精一杯なんですから。なんならカスミ食べてる時間の方が長い爆。

辰巳:そんなこと言ったら今このラジオを聴いてるリスナーも日本ワインファンも寂しくなるじゃないですかっ!笑。

鷹野:「我々は’夢を売る’仕事でもあるんでこういうことは言わない方がいいよ」ってみんなにたしなめられるんですけど、でも親心としたら『それが本音』。

辰巳:子供に対してはね。それはわかりますよ。

鷹野:だけど息子は『ワイン造りの楽しさ』の方をとったんですよね。

辰巳:喜ぶべきことじゃないかと思いますけど?

鷹野:「金」「名誉」、もう一つ。その「もう一つ」を我々は人生の糧としてるわけです。

辰巳:一人息子さん?

鷹野:2人。長男の方は北海道の函館(←ド・モンティーユ&北海道:https://www.facebook.com/p/ドモンティーユ-北海道-de-Montille-Hokkaido-100064636874422/?locale=ja_JP)にいます。
幸せなことだなぁと思うのは(その長男と)高山村で1~2年一緒にワイン造りができたんですよ。
本当に幸せなことだなぁ・・・。息子聴いてなきゃいいけど。

辰巳:全世界で聴けるんですよ、このラジオ笑。
ここでリクエスト曲を聴きたいと思います。今日は何を?

鷹野:マドンナの「ホリデイ」を。

マドンナ「Holiday』(1983年)
https://www.youtube.com/watch?v=p7cjMjgPHzM

辰巳:なぜこれ?

鷹野:これも学生時代の曲なんですけど。季節柄ちょっとウキウキするようなのが聴きたいなーってことで笑。

辰巳:マドンナは僕と同い年ですよ。 鷹野:へぇぇぇ。

辰巳:マドンナ、マイケル・ジャクソン・・・(←みなさん1958年生まれなんですね笑)。
マイケルは死んじゃいましたけど、マドンナはいいおばぁちゃんだよね笑。、ってこういう昔の話が多くなってくるんですよね。もうちょっと前向きの話しなくちゃ。

辰巳:ボルドーから帰ってきてまたメルシャンで醸造科として活動していて、じゃぁどの辺で長野県に移るのかっていう経緯を手短に笑笑。
(←もう残り時間5分しかありません)。

鷹野:帰国してしばらく、5年間かな?勝沼で醸造を続けてたんですけどそのあとは”輸入ワインの品質管理”をやれと言われ。
(メルシャンは)日本ワイン・国内製造ワインを造る他に輸入ワインの商売もけっこう手広くやってたんですが、海外経験のある人間がそのスキルで品質管理の任務に当たるっていうのがまだまだ浸透してなかった。
それを「やってこいやっ!」ってことでそれは2年。

辰巳:その間にメルシャンはキリンに変わったんですね?

鷹野:そうですね。

辰巳:その品質管理は東京で?

鷹野:神奈川の藤沢で。その中に品質管理部ってのがあったんで。

辰巳:安蔵さんもその頃いませんでしたっけ?

鷹野:そうです、同じ時期。

辰巳:そうこうしてるうち「やっぱり現場やりたいな」って感じになったんすか?

鷹野:『突然その機会が現れた!』
朝ある人から電話がかかってきて、「高山村でこういう人を探している、とりあえず村長に会ってくれないか?」と。
その話っていうのは、高山村がワイン産地を名乗るに当たって社会実績がある人たちがその経験を生かして、任務遂行する「特定任期付職員」。
地方公務員を上回る採用の仕方で、総務省がガイドを出したルール。それに則れば”最大で3年間”という任期付で地方公務員法の手はずを踏まずに採用できる。

辰巳:っというわけで「高山村に就職した」?

鷹野:はい。お声がけいただいて村長と話して、「それなりにお役に立てればいいかなぁ」と思ってるうちに、なんか自分がそこでワイン造りしてるイメージが堰を切ったように、ほんとに口からボロボロボロボロ出てくるんです。

辰巳:あらぁぁぁ!
(それまで)けっこう溜まってたんですね?爆。品質管理より「やっぱり造りたい」と。
それを周りの人が気づいてていろんなところから発信してたんじゃないですか?その電波を高山村がキャッチしたんですよ笑笑。

鷹野:振り返ってみると、高山村で1996年に最初に植えられたワイン用のブドウの醸造は”若かりし醸造家”として携わってたんですよ。

辰巳:それは勝沼にいるとき?

鷹野:はい。それから高山村が「*ワインぶどう研究会」という組織立って研究しようという新しい取り組みが始まった。
そのボルドー視察のご一行を私が受け入れたんです。(←鷹野さんがボルドーの「シャトー・レイソン」に赴任中)
高山村の『ブドウの産地からワインの産地へ!』の過程で(要所要所)必ず立ち会ってるんです。
滞ってた最後のピースに私が入ることで(←ジグゾーパズルが完成するんじゃないかと)。。。
(*ワインぶどう研究会:https://www.facebook.com/vill.takayama.winebudoukenkyukai/?locale=ja_JP)

辰巳:へぇぇぇ。残りあと1週しかありませんが、そのたかやまワイナリーの話、次回お伺いしたいと思います。

全員:ありがとうございました!!!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。


信州たかやまワイナリー
https://www.shinshu-takayama.wine

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2023年5月18日放送回

ワイナリー

信州たかやまワイナリー
https://www.shinshu-takayama.wine

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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