2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年5月のゲストは長野県高山村の「信州たかやまワイナリー」、鷹野永一さんです。
小さい村ながら標高差が400m以上ある高山村。その点在する多数の畑のブドウのワインをアッサンブラージュすることで「調和」が生み出されます。
まずは白ワイン「ソーヴィニョン・ブラン 2021」で乾杯!(全4回 1回目)
辰巳:さぁ5月になりました。ほんとにいい天気、暦の上ではもう少しで初夏です。今月のお客様は長野県「信州たかやまワイナリー」醸造責任者、鷹野永一さんです!
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:高山村から長野駅まではそんなに遠くないんですよね。
鷹野:そうですね。空いてれば車で30分ぐらい。今日も長野駅まで車、そっから新幹線でした。
辰巳:井村シェフ、「信州たかやまワイナリー」って聞いたことありますか?
井村:・・・スイマセン汗。
辰巳:シェフはこの番組始まるまでまったく日本ワイン飲んでなかったんですよ。
この番組、もうすぐ丸3年になるんですけど、これまで120種類以上のワイン、それに合わせたお料理を毎回作ってて。それをこのレストランで同じペアリングを楽しめる。
今では、日本で”最も「日本ワイン」に詳しいフランス料理のシェフ”、かもしれない笑。
逆に言うと。この番組で紹介してないワインは(シェフは)まだ飲んでないかも。
井村:ですね、プライベートで少し買うぐらい。
鷹野:だって(国内の)ワイナリー増えてますからねー。今430超えた、まだ増え続けてますから追いつかないかも笑。
辰巳:その中で信州たかやまワイナリーは何年にできたんでしたっけ?
鷹野:2016年に創業して醸造もその年から。この地はもともとワイン用のブドウ栽培ってのは歴史があって。1996年から、ある人が『私はここで世界一のシャルドネを作る!』っと言って栽培を始めた。
そのブドウの品質が高いこともあり「高山村」が注目されるようになって、人が集まり栽培面積が広がった。
辰巳:その人とは?
鷹野:佐藤宗一さん、角藤(かくとう)農園の。
辰巳:去年?おととし?急に(亡くなられた)。(←2021年に亡くなられました)
鷹野:本当に、誰もが想像できなかった。
辰巳:残念すぎる。親分肌で日本ワインの情熱もあって、後継者も育てられて。
鷹野:彼の方を慕ってここに来られる方も多いですから。
佐藤宗一さん。失礼ながら一見普通の農家のおっちゃんです。
シャルドネで高山村を一躍有名にしましたが、他にもヨーロッパの固有品種を多数栽培するなど常に実験栽培・研究をされていました。(2019年6月 編集者撮影)
辰巳:高山村には今ワイナリー6軒でしたっけ?
鷹野:はい。第一号は湯本さんとこの「カンティーナ・リエゾー」さんが2015年。次はうち。それ以降は1年づつ毎年1軒、2015、16、17、18、19、20はなくて21。それぞれ歩いて行ける笑。
辰巳:まずは乾杯して始めたいと思います。
全員:カンパ〜イ🎶
【信州たかやまワイナリー ソーヴィニョン・ブラン 2021】
https://www.shinshu-takayama.wine/wines/series/varietal/
辰巳:白ワインでございます。あれ、少〜し、軽く、濁ってるような感じしますが、これはグラスについた霜ですか?
鷹野:そうですね、いい感じに冷やしていただいたので(←少し冷やしすぎたのかもしれません)
辰巳:濾過は?
鷹野:完全にはしてないですが、濁度はそんなに高くない。
辰巳:透明度は高い方ってこと?
鷹野:はい。
辰巳:旨味がすごい出てくる感じの味わい。これは?
鷹野:「ソーヴィニョン・ブラン」のヴィンテージは2021年です。
辰巳:まず値段聞くのもなんですが笑、おいくらですか?
鷹野:税込で3025円。
辰巳:細かい笑。(←消費税がピッタリ合わないとなんかモヤモヤするっぽいです)
シェフ、どうですか、このワイン?
井村:きりっとした酸味、でも辰巳さんの言う’余韻’?が、口の中に残って、このあとお料理と一緒に食べると非常に味わい深いんじゃないかなぁと。
辰巳:日本ではなかなかね、ソーヴィニョン・ブランの’香り’が出てこないワインが多かったんですけど、最近はほんとに「各地域」「各ワイナリー」でどんどんいいのが出てきましたからね。
鷹野:マイナーな品種ではあるんですけど、(wぇ?)
辰巳:マイナーじゃないですよー、これグローバル品種でしょー?
鷹野:それはワインの世界にどっぷりハマってる方だからでしょ。普通の人に’ソーヴィニョン・ブラン’って言ってもわかんないでしょ。
辰巳:でも(白ワインの品種として)まずシャルドネ、その次に来るのはソーヴィニョン・ブランでしょ?
鷹野:ま、白品種だとそうでしょう、ぁ、甲州かもしれません笑笑。
辰巳:(国内では)甲州もデラウェアもありますけど、
鷹野:まぁそうですね。特徴を持った品種です。「バラエティを示す品種」としてはすごくいいんじゃないかな。
辰巳:この香りを出すのが難しいって昔聞いたことがあって。今はもう酵母も含め、いろいろな技術が?
鷹野:酵母もいろいろ使い分けてはいますけど、かつてほど苦労はしてないです。
辰巳:標高はわりと高い方でしたよね?
鷹野:はい。高山村自体が長野県の北にあって緯度は高いです。標高は、小布施とか須坂あたりの境界で400mぐらい、我々のワイナリーのあたりだと650mぐらい。ブドウ畑は830mぐらいのところにもありますから、高低差が400mぐらいあるところに点在してるんです。
品種もいろいろですし、うちのワイナリーに来るブドウは60何箇所、育つ環境もだいぶ違うんです。
辰巳:このソーヴィニョン・ブランは?
鷹野:畑ごとに収穫してそれぞれ仕込んで、最終的にアッサンブラージュしてますので。多様なものが集まってきて生まれてくる豊かさ、’調和’ってのがある。それがうちの持ち味です。
辰巳:ブレンドの妙?
鷹野:そうです。標高の低いところはイタリアの南のあたり、高いところはドイツやシャンパーニュとか。ヨーロッパは縦長ですから、そういう気候帯がある中に(高山村が)あります。同じ品種でも(標高によって)収穫が1ヶ月ぐらいずれたりするんですよ。だから”その畑ごとのキュヴェ”ができる。
人間社会もそうじゃないですか。多様な人種だったり性別だったりっていう考え方だったり。そういう多様性が広がれば豊かさも感じられる。ワインにもそんな世界がってもいいんじゃないかなぁって。
辰巳:LGBT的ワイン?笑笑。
鷹野:ちょっと違うかも笑。
辰巳:今日のお料理は?
井村:地元の中西ファームで採れた株葱という非常に太い葱、株になってるぐらい太いっていう意味。甘みがあります。
辰巳:いわゆる’西洋ネギ’、リークみたいな?
井村:そうです。それに近い品種。それを冷たいコンソメ仕立てのブルーテで。
辰巳・鷹野:いただきます!!
【中西ファーム 株葱のブルーテ】
辰巳:うゎぁ、旨味と香りが・・・。
鷹野:うちのソーヴィニョンに限らず、他のワインにも白は比較的酸があるんですけど、それをリセットしてくれる。
そして(ワインに)ちょっと苦味を感じるところが、お野菜の苦味に合うと思います。
辰巳:この葱の香りがね、合う感じはします、確かに。この甘みも葱だけでしょ?
井村:そうです。今日は葱と水しか使ってないです。
辰巳:え〜っ!?
井村:それぐらいもともと甘みが強い葱なんです。
辰巳:逆にこの上のコンソメジュレはアクセントなんですね。これは?
井村:これは鶏から。
辰巳:こんな感じで毎回お料理作ってくれる楽しい番組です。ラジオをお聴きの皆さんもこのお店にいらっしゃれば同じ体験ができますので。ぜひお越しください。
さて、ここでリクエスト曲を伺おうと思います。今日は何を?
辰巳:そういえば。
ラジオを聴いていらっしゃるかた、さっきから『タカノさんタカノさん」と呼んでいるので、きっと”高い””低い”の「高野さん」と思われてるかもしれませんが、この’タカ’は、鳥の”鷹”です、hawkですね。珍しいですよね?
鷹野:生まれ育ちは山梨で、現地ではけっこうメジャーですけどね。
辰巳:ぇw、そうなんですか?昔(祖先が)野っ原で鷹狩りをする仕事してたんですかね?
鷹野:どうなんですかね、親戚はみんな鷹野ですけど爆。
辰巳:そりゃそうでしょうよ笑笑。山梨はどこ?
鷹野:甲府です。でもうちの母親は(結婚するまでの姓は)高い低いの方の’高野’なんですよ。だから’高野’と’鷹野’が結婚して”鷹野”になった。(驚〜!)
高い低いの方の高野も、かつての武田信玄の時代には身分を隠すために、「鷹→高」に名前を変えたとか。
「じゃぁたどってくと『一緒かぁ!?」」って。
辰巳:へぇぇぇ。深掘りしたいとこですけど時間ありません、曲聴かなきゃ💦今日は何にしましょ?
鷹野:角松敏生さんの「No End Summer 」。
辰巳:何か思い出が?
鷹野:今回は私の歴史になってます、古い順。
辰巳:ではお聴きいただきましょう。
角松敏生「NO END SUMMER」(1985年)
https://www.youtube.com/watch?v=DVKQYRiOQHc
辰巳:この曲は思い出の?
鷹野:学生時代にはやっていた曲。
辰巳:学生時代、大学生時代?何年?
鷹野:1986年に入学しました。
辰巳:1966年生まれって聞いてますけど?(←現役入学とは計算が合いません)
鷹野:・・・1年ほど遊んでました笑笑。
辰巳:僕は大学入ってから遊んでました笑。大学はどちら?
鷹野:山梨大学の醸造学部。当時は発酵学部発酵生産学科っていってました。
辰巳:ってことは山梨のお酒の方に行こうと思ってたんですか?
鷹野:いやいや、当時はまだ’バイオテクノロジー’が流行っていて、そちらの方に興味が笑。
(この年代のエノログたちは当時の進学先の先端”、バイオテクノロジー(通称’バイテク’”)分野に進む人が多かったようです。EX:キザンワイナリー 土屋幸三さん(1965年)、タケダワイナリー岸平典子さん(1966年)など)
辰巳:これはほんとに大事な学問ですよね。これからますます大切なジャンルだと思います。
鷹野:それをいろいろ探して、たまたま地元の大学に。お酒、っというより”微生物の力”。
辰巳:じゃぁ、実家から通ってたんですか?
鷹野:そうです。
辰巳:よかったんじゃないですか、親にとっては?
鷹野:親にとってはその前の1年(←浪人ですね)があったんでね笑、差し引きゼロ笑笑。
辰巳:その前の1年(←予備校ですね)は?
鷹野:東京で、
辰巳:遊んでたんですね笑。
鷹野:た、楽しかったですね笑笑。
辰巳:じゃぁこの歌は学生時代の歌?それとも予備校時代の歌?
鷹野:これは大学入ってからですよ。周りにもワインやお酒に興味ある仲間たちの中で角松敏生を聴いてましたよ。
私はやってなかったけど、学科内にコピーバンドみたいのがあって彼の曲もやってました。
辰巳:で、この曲を思い出したのはなぜ?当時の女性を思い出したとか?
鷹野:いや、それはない。いや、ここでは言えない爆。
辰巳:けっこうここで言ってくださるゲストの方いるんですけど。それが聞きたい笑。
じゃぁもうちょっと飲んでください、来週か再来週には(白状)するかもしれません笑笑。
辰巳:でもまぁそうやって(当時の)バイオテクノロジーに入ってワインの世界に来たわけでしょ?
鷹野:そうですね、だんだんだんだんワインの世界に思いが強くなってきて。
辰巳:「やっぱりワインっていいなぁ」っと?
鷹野:「魅力的、人を惹きつける力があるな」、が当時の思い。
辰巳:でも当時はそんなにワインはメジャーじゃなかった頃。そこからバブルの時代に入ってって、日本にも少しずつ”ワイン好き”が出てきた頃でしょうけど。ボージョレ・ヌーボーが流行ってた頃。
鷹野:我々も(ボージョレ・ヌーボーで)お祭り騒ぎしてましたね。
辰巳:次回はその辺の若い頃(バブルの頃?)の話を掘り下げてお聞きしたいと思います。
鷹野:その辺割愛してもらえますか?爆。まだワイン造るとこまでいってない。
辰巳:5月のお客様は「信州たかやまワイナリー」の鷹野永一さんです!また来週!!!
全員:ありがとうございました!!!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
信州たかやまワイナリー
https://www.shinshu-takayama.wine
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年5月4日放送回
- ワイナリー
信州たかやまワイナリー
https://www.shinshu-takayama.wine- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/