2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年3月のゲストは山形県上山市「タケダワイナリー」代表取締役社長、岸平典子さんです。
話が進まぬまま最終回笑。長らく「蔵王スター」として愛されてきた「TAKEDA WINERY ROUGE 2022」で乾杯です。
これまた長らく継承されてきた『タケダism』はこれからどうなる?(全5回 5回目)
辰巳:はい、3月のお客様はゲストは山形の「タケダワイナリー」、岸平典子さんをお迎えしております。
(いつも通り、この番組収録会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:なかなか話が前に進みませんが笑、今回が最終回。
シェフ、このワイナリーのワインはいかがでしたか?
井村:決してお世辞じゃなくどれも美味しかったんですが、特に先週の赤ワインは個人的にすごい好きです。
辰巳:ヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)ですね。そして今回も赤ワインでございます。
まずは乾杯しましょう。
全員:カンパ〜イ🎶
辰巳:はい、これはどういうワインでしょうか?
岸平:うちの”ベーシック中のベーシック”、「タケダワイナリー・ルージュ」です。
【タケダワイナリー ルージュ 赤(辛口)2022】
https://www.takeda-wine.jp/SHOP/0106.html
辰巳:以前の「蔵王スター 赤」、ですよね?
岸平:そうです。マスカット・ベーリーAの2022年です。
辰巳:ほんと新しい。これベーリーA以外にもなんか入ってます?
岸平:そう思います?でも100(%)なんですよ。ベーリーAっぽくない腐葉土とか、黒い果実をドライフルーツにしたような、だとか、とかくベーリーAっぽくない印象があるんですが。
これも(先週のヴィエイユヴィーニュ同様)醸し期間がかなり長いんです。
「後味の旨味」をすごく出したくて、長〜く漬け込むとまた香りが変わってくるんですねー。
辰巳:この、醸しを長くするっていうのは何年か前から?
岸平:ずぅっと考えながら5〜6年前からやってて、最近やっと期間とかやり方のスタイルが見えてきたかなって感じです。
辰巳:これがタケダワイナリーさんのいちばんのベーシックだと思いますが、これはおいくらですか?
岸平:今は1800円になりました。
辰巳:以前は1300円とか、
岸平:昔は1000円とか笑。
辰巳:とてもお買い得なワイン。シェフ、今日はこのワインを最終週に持ってきましたが、なんか理由はあるんですか?
(←本番の前に会場に送られてきたワインをシェフが事前にテイスティングして、メニューを考案&5週分のペアリングを構築します)
井村:今お値段聞いてビックリ!そんなリーズナブルなワインとは思いませんでした。
辰巳:先週の古木の方がエレガントな感じがしたかもしれません。こちらはそんなにガツンとした感じじゃないんだけど、すごく風格ありますよね。
岸平:嬉しいです。そうなんですよ、ベーシックワインだからこその”コスパが良くて喜んでもらえるもの” を造るときが実はいちばん緊張します、瓶詰めも全部。
辰巳:これ一升瓶もあるんでしょ?
岸平:あります。
辰巳:これがねぇ、、、。あんまり買われると困っちゃうんじゃないかと笑。
岸平:でも一升瓶ってね、ワイン造りでいうと歴史の長い地方でしか造られてない、山梨と山形、
辰巳:あとは長野と大阪か。
岸平:ですね。(一升瓶は)「昔からワイン造ってるところ」というアイデンティティみたいなところはありますね。
辰巳:なんか嬉しいな、このワイン飲むとほっこりするんですよ。安心感。これ大事ですよねぇ。
さ、今日は何の話しましょうかね。前回はお見合いをして、お父上からも「転勤がなくて(50点)タバコ吸わない(50点)」という100点満点のお墨付きいただいて笑、ご主人(和寛さん)と結婚されて。
っというお話でした。結婚してみてどうでした?
岸平:若い頃は自分は結婚しないんじゃないかと思ってたんですけど、いつも一緒にいて相談できる、ちょっとカッコよくいうと”人生を分かち合える人がいる”ってのはいいことだな、素晴らしいことだなってのは思いました。
ムッとすることもいろいろありますけど笑笑。よーくケンカします笑。
辰巳:ぁ、そう?でも典子さんの方が3つ歳上でしょ?うちもカミさんの方が2つ上だけどまったく頭上がらない爆。
そんなことはないですかー?
岸平:私は強いので、喋り方が笑。でも最終的にいろいろ聞いていくと、(ダンナさんは)頑固。そして正論を言う。
辰巳:ダンナさんナニ博士でしたっけ?
岸平:工学(博士後期課程単位取得退学)。
辰巳:専攻は?
岸平:なんだっけ?笑(お隣にいる和寛さんに確認)。ぁ、機械工学。
辰巳:知り合った頃は山形市役所の職員だったわけでしょ?結局いつ役所やめてタケダワイナリーに参画するようになったんですか?
岸平:2006年かな。私が社長になったのが2005年だったので、そうなるとどうしても支えになってもらう人が必要になってきて。
私の方からコウベを垂れて三度お願いして招き入れたと笑笑。
辰巳:(お隣にいるご主人に)後悔してないですかぁ?笑笑。
岸平:してないみたいですー笑。
辰巳:したって言えませんよね?笑笑。
岸平:でも意外と楽しそうに仕事してますよ笑。
辰巳:側から見ていて僕はすごくいい選択だったんじゃないかと思ってますよ。
お酒はそんなに強くないと聞いてますけど、その方が”お酒に飲まれない”しいいんじゃ?
岸平:そうなんです。なんて言うんでしょ、私みたいな酒飲みは酒飲むのが好きなので、どうしても”味を客観的に見られなくなる場合もある”。
そういう時に夫にテイスティングしてもらうと客観的な意見をもらえるので、それはすごいありがたいです。
辰巳:そこはやっぱりバランスですよね。いいコンビだと思います。
岸平:ありがとうございます照。
辰巳:今日のお料理は何でしょうか?
井村:ワインも素晴らしいベーシックだったんで、お料理もベーシックにジャガイモのローストと鴨のロース。
ソースは玉ねぎがたくさん入ってます。
全員:いただきます!!!
【シャラン産鴨胸肉と赤じゃがのタイム風味 ロースト】
辰巳:甘い香り。もう少しガツンと凝縮感があるのかと思ったら優しい♡。これがこのワイン、ルージュと合うんですね。
「マリアージュの妙」。
岸平:この玉ねぎのカラメリゼしたみたいな甘さと、ベーリーAの少し腐葉土みたいな香りがすごく合います。
すごく美味しいです♡。
辰巳:タケダワイナリーのこの新しいロゴマーク、この鳥はなんですか?
岸平:雉(キジ)です。雉がすごく畑に出るんですよ。雉って環境が汚染されてると出てこなくなるらしくって。
父が「雉が住めるような環境づくりをしなきゃいけない」っていうことで作ったので、父の代からのロゴ。
「タケダワイナリー=雉のマーク」は父が決めたことです。それを今回は少しリファインしたんですけどね。
辰巳:初めてお父さんにお会いした時にすごいたくさんのワイン飲まされてね、自社のワインと(フランスの)5大シャトー並べられて「どれが旨い?」とか答えづらいことを汗笑笑。
「タケダワイナリーが美味しいです」と。実際そんなに差はなかったんですけどね。
岸平:すいません、そんな無謀なこと・・・。
辰巳;お父様、ご主人(和寛さん)と対面した時にはロマネ・コンティまで出てきたとか?
岸平:そうなんです。DRCのモンラッシェも飲ませてましたね。それまでまともにワインを飲んだこともなかったのに笑笑。
そしたら「ワインって美味しい♡」って爆。(←そりゃそうでしょうよ)
辰巳:どう言う意図だったんでしょうか?もう亡くなってしまったので聞くことはできませんが。。。
辰巳:ちょっとここで曲を聴きましょうか。これまで4回、ずっとヴェルディ祭りだったんですが?
岸平:今日はヴェルディじゃないんです。ベートーヴェンの第9です。
東日本大震災。山形は大きい被害には遭わなかったんですが、それにちょっと絡んでるんです。
ズービン・メータさんという指揮者がいて、その震災の時に公演でローマ歌劇場とともに日本に来てらっしゃってて。
みなさんは帰ってしまったんですけど、メータさんだけは残っていらして「何か日本に力を与えたい」と。
それで東京文化会館で、第9を演奏なさったんです。NHKで放送された演奏は私も聴いてて、ちょっと涙が出るぐらいな思いがありました。
その後ドイツで、バイエルン国立管弦楽、ミュンヘン・フィルなどと共催をして、”この収益は東日本大震災のチャリティーに贈る”、としてもう一度演奏され、、、。
メータさんは私も大好きな指揮者なんですが、どっちの演奏も”みんなの想いが詰まってる”、すごく迫るものがあって感銘を受けました。
辰巳:その後は東北6県のブドウを集めた「*Vin de Michinoku」を造りましたよね?
(*Vin de Michinoku 参考サイト:http://www.takeda-wine.co.jp/blog/2016/12/vin-de-michinoku.html)
岸平:今も毎年造ってます。
辰巳:そういう活動はいいですよね。今も続いてるのはもっといいです。
岸平:ワインや音楽で元気を与えられたらいいなぁって私たちも思ってますし、私たちも音楽から勇気をもらってる。
そう言った意味も含めて。
典子さんが上記で話されていた出来事を、ズービン・メータ氏がインタビューで応えています。
第9はみなさんご存知でしょうから今回はこちらをごらんください。
https://www.youtube.com/watch?v=edjl8EkkgAM
辰巳:(日本では)年末の風物詩なんですけどね。
岸平:でも一応”歓喜の歌”なんでね。節目に聴きたい曲で大好きなんです♪。
辰巳:歌ったこともあるんですか?
岸平:ありますっ!(←学生時代にオーケストラと一緒に合唱で出演♫)
辰巳:! あるんすかっ!?
岸平:すごいオンチです爆。
辰巳:オンチかどうかは聞いてないけど笑笑。カラオケとかも行くんですか?
岸平:、は行かない。カラオケって閉鎖空間が苦手でうちで一人でアカペラ笑。
辰巳:アカペラでヴェルディとかベートーヴェンとか?
岸平:歌うんですよ。すんごい(音)外すんですけど、でも「誰も聞いてないから大丈夫笑」。
「今帰ってきた」ふりして夫は聴いてるんですけど。笑笑。
辰巳:今回は最終回。あまり時間もありませんが、これからのことを。
日本ワインも注目されるようになってきて、タケダワイナリーも大関横綱クラスのワイナリーとして君臨、注目されてるわけですけども、「これからどうなっていくのか?」ってのがみなさん心配されてるところだと思います。これからどう進めていかれるんでしょうか?
岸平:そう言う質問よく受けるんですけど、我々の仕事の本質って、「毎年ブドウを『去年より良いものを』、と作って、ワインにもそれを生かしていく」。これを毎年続けることなんです。
前回兄との話をしましたけど、やっぱり石垣を積み上げるように「去年より今年」「今年より来年」、「自分たちが納得できることを続けて行く」っていうことを続けるしかないのかな。
大風呂敷広げてカッコいいことはいろいろ言えるんですけど、「でもなんか違うな」って言う感じはしていて。
「コツコツと自分の畑で仕事を積み上げてく、コツコツと醸造に向き合う」っていうのを、毎年毎年”深化”していく、っていう作業に尽きるのかなって感じはしてます。
辰巳:お兄ちゃんの伸一さんは36歳で亡くなられて、典子さんは結婚されて、ワイナリーを継がれて。
まだまだこの先ワイナリーを担って行かれて、今は90何才までお元気な時代だからまだまだ現役なんでしょうけど?
岸平:でもまぁ別に”世襲でなくてもいい”という考えはすごく持っているので、そう考えたら幅は広いですよね。
会社組織にもなってますし、”畑に出ない者は後継者じゃない””石垣は積み上げて行くもんだよ”っていう『タケダism』さえ分かっていれば、誰がやっても継承できるんじゃないかなってのはあります。
辰巳:いろんな会社も、もちろんワイナリーもそうですけど、「どういう風に企業承継をするか?」ってのはものすごい苦労されてるんですよね。
でも”ワイン造り”ってそういう意味では繋げていけやすいのかもしれませんね。
岸平:そうですね。ですから兄の言うように”スタープレーヤー(フランス留学した典子さんの経歴など)は要らなくて、みんなの力で進むべき道を進んで行く”って言うワイナリーの理念は継承していけるものだと思います。
辰巳:『タケダism』と言う言葉が出ました。シェフ、どうですか?
井村:料理人にも通ずるところがあるなとすごく思いました。誰かから受け継いで新しいものを切り開くのはすごく共通してるなぁと思いました。
辰巳:シェフも上柿本シェフや小峰シェフの元に仕えていて今があって。次は誰?ちゃんと育ってますか?
井村:笑、大丈夫ですよ。
辰巳:典子さんとは長いお付き合いながら、今回あらためてお話しできて、タケダワイナリーのワインの味がより深まっていく感じがしています。
今回はわざわざ山形からお越しくださいましてありがとうございました。今後ともよろしくお願いします!
全員:ありがとうございました!!!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas
des Marriages
多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
有限会社 タケダワイナリー
http://www.takeda-wine.co.jp
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年3月30日放送回
- ワイナリー
有限会社タケダワイナリー
http://www.takeda-wine.co.jp- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/