ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年10月20日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年10月のゲストは中央葡萄酒【GRACE WINE】代表取締役社長、三澤茂計さんです。
ワイン造りの根底にある「農村問題」、大学の大先輩でもある麻井宇助(本名は浅井昭吾)さんとの親交などなど・・・
「三澤節」が大炸裂します。(全4回 3回目)

辰巳:10月3回目の放送です。今月のお客様は山梨県勝沼の「中央葡萄酒」三澤茂計社長です。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにもご同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まずは乾杯、今日はロゼです!

全員:カンパ~イ🎶

「グレイスロゼ 2021」
https://www.grace-wine.com/wine_list/54/

辰巳:うわぁ、すごく香りのいいロゼ!

井村:香りがフワッと抜けていきますね。

辰巳:「グレイスロゼ」の2021年。これはどういうワインでしょうか?

三澤:メルローがいちばん多いです。次は多分(カベルネ・)フラン、そしてカベルネ・ソーヴィニョン。
バックアップ用にプティ・ヴェールド。

辰巳:混醸だったんですね?最近は毎年こんな感じですか?最初の頃はメルロー(単体)で造ってませんでしたっけ?

三澤:メルロー100(%)ではなかったですね。

辰巳:すごいボリューム感もありますし、キャパシティの広がりのあるワイン。

三澤:”欧州品種のブドウの良さ”ってそれなりにありますよね。

辰巳:これも一応お値段を伺いましょう。

三澤:ぇw、(せっかく飲んでたのに)また振りますね笑。

辰巳:ラジオお聴きの皆さんは「いくらぐらいのワイン飲んでるのかなぁ?」っと思うんじゃないかと笑。

三澤:んー、確か3000円はしなかったんじゃないかと汗。(←税込3000円ぐらいです)

辰巳:久しぶりに飲みましたけど、いいワイン♡。

辰巳:この「グレイス」というブランド名、いつから使われたんですか?

三澤:父の代。1957年からこの名前を*ギリシャ神話からとってつけたんです。ワタシ文学ダメなんでよく覚えてないんだけど、
父親は本が好きで、、、。父は大正6年生まれ。
(*ギリシャ神話のグレイス 参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/カリス

辰巳:ってことはワイナリーができる前に生まれてたんですね?

三澤:そうです。

辰巳:来年で100周年を迎える歴史あるワイナリー。(私が)日本ワインを飲み始める頃には「グレイスワイン」は有名、というか
美味しかった。山梨の中の一つの”スタンダード”、「山梨のワイン飲むなら『グレイス”」みたいな。そんなイメージはすでにありましたねぇ。

三澤:ありがたいですねぇ。

辰巳:日本ワインを飲み始めるもっと前から実は山梨に通ってまして。小淵沢で”乗馬の会”をやってましてね、
ミュージシャンの古澤巌だったり葉加瀬太郎だとかいろんな連中が来たりして。そして夜はコンサート。
、の後はワインを飲むんですよ。その時にも「グレイスワインは飲んでたなぁ」という。

三澤:”世界中から奥さんを一人選ばれた”というぐらい価値あるかもしれない笑。

辰巳:えっと・・・、すごく哲学的なこと言われたような笑。それ以来「すぐ近くにあるワイン」になって
、しょっちゅう飲んでるわけじゃないんですが、タイミングで飲むたびに「ガッカリしたことはない」「新しい発見がある」。
そういうイメージがある。

三澤:今の日本のワインの中で大事なことはそこですよね、「古くて新しい」。
何か新しい発見があることは歴史がない日本ワインの中では大事なことですよね。

辰巳:三澤さんは日本ワインに関するいろんな思いとかをお持ちだったと思うし、(就業先の)三菱商事から家業に戻った時
どういう『三澤イズム』を形成したんでしょうか?

三澤:根底には「農村問題」があった。”農村の持ってる価値”ってのをなんとかワインに表現できないかってのはありましたね。
私が戻る頃(ワイナリーには)すでにいろんな人がいたんですけど、早い時点から「なんとか産地の持ってる味の魅力を出せないか?」
ってのはありました。ワインで言うのはおこがましいんですけど、ジャガイモなんか食べるとよくわかるんですよ。
ジャガイモが美味しい産地はワイン用のブドウもしっかりするんです。

辰巳:あっ、そうなんですか、ジャガイモですか!?

三澤:”ジャガイモ”、と言えば誰でもわかる言葉なんで使ったんですけど。

辰巳:サツマイモは?笑。

三澤:サツマイモはなかなかね笑。ジャガイモはテキメン!同じ品種でも場所によってかなり味が違います。

辰巳:同じ品種でも場所によって花の色も違ったりしますもんね。白っぽかったり紫がかってたり。

三澤:それはそうですね。

辰巳:農村云々ですが、これは山梨のこと?

三澤:小さい地域、地元の農村なんです。

辰巳:「農業は大事」、と、ワイナリーにとって「いかにブドウを安く買うか?」、があるじゃないですか?

三澤:経営的なことももちろんあるんでしょうけど、それよりも「物を作る(造る)意味」ってのがあるんですね。
柳宗悦っていう民藝家がいましてね。彼(にとって)は一次産業の農村なんですよ、漁村でも林業でもなく。そこに彼は民藝を見出す。

辰巳:漁業は荒っぽくて博打的なところがありますからね。そういうところもあるんですかね。

三澤:笑、あるかもしれないけど。日本人はもともと海民、海から来てるんですけど漁業はあんまりないんですよ。

辰巳:その民藝の延長線上で”ワイン”も存在すると?

三澤:そうです。

辰巳:面白い!

三澤:それが「農村問題」からずーっとある話。最近ね、「*美の法門」ってのを見つけたんですよ。
今日の話題にはあんまり関係ないかもしれませんけど、これがスゴイ!
今の、変、って言っちゃ怒られるけど新興宗教の、日本の仏教から見出せる姿・・・。
ま・・・ワインの話に戻しますか。
(*美の法門:https://www.amazon.co.jp/新編美の法門-岩波文庫-柳-宗悦/dp/4003316983

辰巳:その前に料理!今日のお料理はなんでしょうか?

井村:今日はナスと真鯛を使ったガトー仕立てというお料理にトマトを合わせました。

「茄子と真鯛のガトー仕立て」

辰巳:白いのが真鯛でクルクルっとしたのがナス、上に乗ってるのが香草。

井村:そうです。

全員:いただきます!

辰巳:この複雑味とロゼはいいかもしれません。このトマトがかなり濃厚で。

井村:はい、凝縮してあります。

辰巳:どうですか、三澤さん?

三澤:料理人を前にして「どうですか?」。美味しい以外の答えってないんですよ笑。美人を前にして「この人どうですか?」
って聞かれたら「美しいです」しかないじゃない笑笑。実際美味しいんですけど。これ、前菜として?どうやって食べるんですかね?

井村:今日は一口サイズですけど本来はしっかりと魚料理として。
(本来は上記の写真の通りですが、番組では進行上少量にカットしてお出ししています)

三澤:ですよね。僕はこれ前菜だと思って食べてたから「こんな前菜あるかな?」笑。

辰巳:このお店、「Villas des Marriages 多摩南大沢」ではこの同じお料理とグラスワインを2ヶ月間お召し上がりいただけます。
ぜひ食べに来てください!(←こちらに関しましては本記事後方の「お断り」事項をお読みください)

辰巳:ここでリクエスト曲をお聞きしたいと思います。今日はなんにしましょうか?

三澤:そろそろいい時間(夕刻です)でもありますんでテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」。

辰巳:何か想い出が?

三澤:テレサ・テンが好きだった(照笑)。

テレサ・テン「時の流れに身をまかせ」(1986年)
https://www.youtube.com/watch?v=VNJE70CFlOo

辰巳:曲を聴きながらお料理とワインを堪能してましたけど、ワインの温度が上がるにつれ、またどんどん幅が広がってきましたね。
セニエ+マセラシオン、抜群のバランス。

三澤:欧州系のブドウの力ってありますね。標高が700m近い明野っていうところのブドウなんで酸がしっかりします。
タンニンもどっちかっていうと繊細な方なんで、そういう意味では’日本らしい’風土のワインができたと思ってます。

辰巳:明野に三澤農場ができて何年ぐらいですか?

三澤:2002年開園ですからもう20年。

辰巳:これはもう先見の明!

三澤:そんなもんじゃない、アホだと言われてました笑。

辰巳:よく思い切ったなと思ってました。どれぐらいの広さでしたっけ?

三澤:今は広げて12ha。

辰巳:あそこは別のワイナリーがやるとかそんな場所じゃなかった?違いましたっけ?

三澤:元々は日本酒の*多聞がワイナリーは作ったんです。でも結局は阪神大震災で多聞本体がダメになったんで、
畑は3年前にやってたんですけど醸造設備を譲り受けました。
(*兵庫県西宮にあった多聞酒造、現在「多聞」ブランドは大関株式会社が製造しています)

辰巳:そこが今メインの?

三澤:”上級酒”という言い方は変ですけど今はそこがメインで造ってます。

辰巳:勝沼との振り分けは?

三澤:勝沼にももちろん醸造所はありますけど、契約栽培のブドウ(で醸造する)が多いです。
(先週試飲した)オール山梨の「グリド甲州」とか。

辰巳:そういう先見の明とか山梨に対する愛情とか、、、。

三澤:先見の明というよりやっぱり麻井(宇助)さんの影響を受けてるんですよ。ワイン業界の人は面白くてやたらとね、
よそのものを見たがるんですよ。例えば長野県とか。もちろん世界にも出て行ったりしたんですが、長野県は近いもんだから。
で、麻井さんがよく言っていたのは、「長野に行って醸造施設見てもしょうがない、畑を見ろ!」と。これが私が畑を注視した原動力。
【「畑からワインを造る」ことが『自立』】
私もこの言葉をまともに受けてそれで決断しました。

辰巳:それまでは近くに1haの畑はあったわけで。やっぱり「自社畑を持たなきゃいけない」と。
今日本のワイナリーが400~500軒を超えてまだ醸造設備のないところもありますが、でも自分のところには畑があって、、、。

三澤:やっぱり『畑』『ブドウ』が基本でしょうね。

辰巳:他のお酒に比べてやっぱりワイン造りは’農業’だと?

三澤:原料と、あとは”風土”ですよね。風土を一番表せるのはワインですよね。

辰巳:先ほど「ウスケボーイズ」や「シグナチャー」の映画になった麻井さんの話が出ましたけど、麻井さんとは長かったんですか?

三澤:長いどころじゃないですよ。この業界で同じ大学は麻井さんと僕だけだったんですよ。

辰巳:東京工業大学!麻井さんが一回りぐらい上?

三澤:もうちょっと上ですよ。麻井さんは文学青年で、彼は詩人の伊藤整に影響を受けて。僕と麻井さんともう一人、
近藤信行という山岳作家がいてよく文学談義をしました。

辰巳:それはいつ頃?

三澤:僕が山梨戻ってからですよ。ワインの話よりそっちの方がずっと多かった。

辰巳:「ウスケボーイズ」って木戸くんとか岡本くんとか曽我くんとか出てきましたけど・・・。
それよりも一心同体?

三澤:、みたいなもんですよ。でもそんなものどうでもいいんですよ、事実なんて。風の中みたいなもんでバラしたくない、そんなもんでしょ笑。

辰巳:そんな話ばっかですね、バラしたくない話をラジオでしていただいて感謝しております笑笑。
さ、次回はどんな話が飛び出すでしょうか?今回はこの辺りで。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

中央葡萄酒株式会社【GRACE WINE】
https://www.grace-wine.com

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年10月20日放送回

ワイナリー

中央葡萄酒株式会社【GRACE WINE】
https://www.grace-wine.com

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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