ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年6月16日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年6月のゲストは山梨県「大和葡萄酒株式会社」代表取締役社長、萩原保樹社長です。
地元勝沼、長野、京都に畑を持つ大和葡萄酒。今回はそれぞれ役割を担っているらしきその3箇所の畑の”棲み分け”を
親分にきっちり落とし前つけてもらいます笑。
(全5回 3回目)

辰巳:はい、6月の3回目です。ゲストは山梨県勝沼からお越しいただきました「大和葡萄酒」の萩原保樹社長です!
(いつも通り、こちらの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています。)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:1回目は甲州のスパークリング、先週は古代甲州と”甲州”を飲んできましたけど今回のワインは僕まだ飲んだことない。
2021年、2022年連続サクラアワードのGOLDを獲ってるワイン。社長、このワインはどんなんでしょうか?

萩原:手前どもの工場は、勝沼では甲州とかマスカット・ベーリーAを造ってるんですが、「日本のワイン造りをしよう」
ということにこだわってます。一方小さいんですが長野の松本にも工場を持ってまして、そこでは「シャルドネやメルローなんかの国際品種を
育てながら’世界水準’を目指そうじゃないか」、ということを考えてまして、、、。
今は松本の四賀工場という名前です。四つの賀。(←四賀村が2005年に市町村合併されて松本市の四賀になりました)

辰巳:年賀状の’賀’ですね。

萩原:そこで造ってる*龍眼とシャルドネです。
(*龍眼参考サイト:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201302266705847678))

辰巳:シャルドネ作ってるのはわかるんですけど龍眼は?

萩原:龍眼は安曇野から買わせていただいてます。(←シャルドネは自社畑)

辰巳:龍眼&シャルドネって書かれてますけれど比率は?

萩原:7:3、シャルドネ7の龍眼3ぐらいですかね。ちょっと甘めに造ってますので”ワインの登竜門”として使っていただければ。

辰巳:では乾杯しましょう。

全員:カンパ~イ🎶

HUGGY WINE 「龍眼&シャルドネ」

辰巳:あーなんかふくよかな旨味と香りのある、これちょっと面白いワインですね。井村シェフこれいかがですか?

井村;そうですね、非常にコクのある、うーん、丸みのあるワインという印象受けました。一言で言うと「濃い!」。

辰巳:色はね、普通の甲州から比べると、琥珀まではいきませんがちょっと黄色味がかって麦藁、ゴールド・・・まぁそんな色です。

井村:濃厚、トロピカルフルーツというかナッツのような味わいで。

辰巳;ちょっとアロマティック系のブドウ品種、ドイツ系品種のケルナーのような、、、。どうしたらこういう味わいになるんです?

萩原:”山梨の甲州”と一緒で”龍眼も長野の土着品種”ですから、長野にワイナリーを持つ以上は育てていかなければいけない品種なのに
なかなか好まれづらい品種なので・・・。

辰巳:好まれづらい???

萩原:ですね。

辰巳:っていうより知名度が低いだけじゃ?

萩原:そうかもしれませんね。だから「なんとか’龍眼’の地名度高くしましょう」ということで、シャルドネとアッサンブラージュして
商品化いたしました。シャルドネの方が多いけど、語呂がいいので’龍眼’を先にしました。

辰巳:「龍眼シャルドネ」?「シャルドネ龍眼」?確かに前者の方がパンチはありますよね。
井村シェフもずっとフランス料理をやってて日本ワインに染まり始めたのはこの2年なんですけど、「龍眼」ってどんなイメージですか?

井村:いやぁ、先月初めて龍眼飲んだんですよ、この番組じゃないところで。「面白そうだな」と思って飲んでみたんですけど、
う~ん、なんていうんでしょ。やっぱ違いますよね、甲州やシャルドネとは。

萩原:苦味も出やすいんです。

辰巳:でも甲州の兄弟分みたいな・・・。まだ無名時の時に中国から入ってきたという。
ややふくよかな甘みも感じるこのワインに今日のお料理もまた合いそうですね。

井村:今日はグリーンアスパラとホワイトアスパラ。今境目でホワイトアスパラはもう終わりかけです。アサリのだし汁で軽~く煮込みまして
そのまま香草のオイル加えてマリネしたものです。隠し味にアオサを入れてワインに合わせてみました。

「冷製 2種のアスパラガスとあさりの軽いラグー 香草をアンフュゼしたオリーブオイル」

辰巳:夏、というか初夏のお料理ですね。どうですか、萩原さん?

萩原:アスパラ大好物です!きのう(井村シェフに)メールしといてよかった爆。(←嘘ですよー)

辰巳:ホワイトグリーンどっちが好き?

萩原:両方。

辰巳:ドイツではよくアスパラにシルヴァーナを合わせるんですよね。なんかそっち系の感じもするんですよね、
フランケン(地方)の*ボックスボイテルに入ったイメージが。。。(*日本の市場でもよく目にするポルトガルの「マテウスロゼ」のボトルの形状と
同じです)

萩原:・・・いいと思いますよ。すいません、今食べるのに夢中で笑笑。

辰巳:塩山から八王子まで40分でしょ?またぜひここまで遊びに来て下さい。
とりあえずここで曲を聴きましょう。今日は何を?

萩原:これも青春時代になっちゃいますねぇ。ホール&オーツのプライベートアイズ。

辰巳:ダリル・ホールとジョン・オーツか。そうか、そこらへんの時代なんですね。ではどうぞ

Daryl Hall & John Oates「Private Eyes」(1982)
https://www.youtube.com/watch?v=JsntlJZ9h1U

辰巳:今月も懐かしい曲を順番に流してます。ワインも歴史もありますし思い出も出てきたりするんでしょうけど、
これからどういうワインを造っていこうとか展開、ありますか?いつも情熱的で、今日は長野のワインでしたけど
京都にも畑作ってワイナリーも準備中ということで3つのワイナリーを経営していこうとしてるんでしょ?

萩原:はい。今全国で400軒ぐらいワイナリーが出来ていて、それぞれいろんな情熱や考え方を持っているんですが、
根本的な問題として基本がある上での進歩って進化だと思うんですね。だから勝沼・長野は基本。
例えば国際的なコンクールに出しても認められるようなワインを造る努力をしていって、辰巳さんの地元?、
の京都の方は聚楽ブドウという古来品種を発見したという件もありますし、自然派のワインを目指して努力していきたいと思います。
最終的に個性のあるブランドを京都で構築して盤石揺るぎないワイナリーをあと200年、300年やれたらと思ってます。

辰巳:長野はどういう位置づけ?

萩原:山梨は固有品種で世界に認めて欲しい、長野は「国際品種でも世界に通じるワインを造れるんだぞ」っていうプライドです。

辰巳:今日の龍眼シャルドネはほんと面白い。他のワイナリーではやってないんじゃないですか?

萩原:やるやらないっていうよりも、龍眼っていう品種にどういう資源を持つかですよね。山梨の甲州が4000tぐらいの市場なんですよね。
それと同じぐらい長野県もしっかりやればそれぐらいの市場を持てるはずなんです。まぁ業界として、産地としての位置付けを明確にしたい。

辰巳:山梨の甲州は全体で4000t?

萩原:4000tとか5000t。

辰巳:本数としては400万本ぐらいね。龍眼も長野県ではそうあるべきだと?

萩原:龍眼は今10万本とか20万本とかそこらでしょう。でも努力をすれば400万本と同じ市場が長野県でもできるんですよ、
ということを長野県の組合でも常に話をしてますよ。

辰巳:そうですかー。山梨と長野では張り合ってる部分がありますからね。(山梨・長野)両方持ってるワイナリーは数社ありますけど、

萩原:大手さん(メルシャン、サントリー)以外では手前どもだけ。

辰巳:京都は?祇園とか先斗町に行くために作ったとか?笑。

萩原:行きますよー必ず笑。

辰巳:ワイナリーはまだ?

萩原:ここがポイント。「え~、京都市で聚楽ブドウを発見しました。1930年に歴史的に最後に売られていたと思われるブドウを
平成25年に再発見しました。今京都府立大学の先生と一緒にこのブドウをちゃんと研究しようということになっています。」
実は大阪でブドウ見つけた時に一度失敗したんです。そのブドウを山梨で育てて大阪に売りに行ったら大阪の人は受け入れない。
わかりますよね、大阪人は?

辰巳:そらあきまへんゎ爆。

萩原:「そんなもんパチモンや」って笑。それに気づかなかったんです。だから「キーワード『京都市で見つけたものは京都市でブドウ作り』。
京都市に醸造所を作り京都市だけにワインを売る」計画をしています。「京都においでやす」笑。

辰巳:京都のどの辺?

萩原:右京区の京北です。イケズなこと言わないでくださいね。15年前に合併したのに「あそこいつ合併しはったん?」とか笑笑。
(→2005年に北桑田群京北町を右京区が吸収)

辰巳:「あそこ京都でしたっけ~?」とか笑笑。

萩原:そうそうそれそれ。イケズな京都はそれなんです。ウソ、「京都大好きですよ~♡」爆。

辰巳:’イ→ケ→ズ’じゃなく’イ⤴︎ケ⤵︎ズ’って言ってください(←発音の指導です)笑。
’イ→ケ→ズ’っていう発音だとなんか「山奥過ぎて’行かれへんところ’」みたいな感じだから。

萩原:スイマセン、さすが師匠!

辰巳:京都駅からでしたら車で1時間ぐらい?(萩原:頷)そういえば京北に京大の助教授がSDG’s系で、
廃校になった小学校かなんかの施設使って何かやってるらしいです。

萩原:ヘェェ、今度紹介してください。京北って北山杉がどうのこうのって川端康成の「古都」で有名になったとこなんですけど、
だから今度は北山杉で杭を全部作ります、SDG’sですね。

辰巳:ほぉぉ。今の畑はどれぐらい?

萩原:今70アールぐらいで次も70アール加えますから全部で1.5haぐらいですね。最終的には400ha目標。

辰巳:それは全部聚楽ブドウ?

萩原:いや、メルローとかそういうの。

辰巳:聚楽ブドウは?

萩原:京都府立大学の先生が来年再来年ぐらいにできるんじゃないかと。要は実生(みしょう)なんです。種から出たブドウを実生と言うんですけど、
それがなかなか成りづらいから研究してくださってる。

辰巳:でも元々樹はあるんでしょ?

萩原:ありますよ。でも実生の樹ってブドウがなかなか成りづらい。

辰巳:実はまだ成ってないんですか?

萩原:今は山梨では成り始めてます、山梨では。でもそれじゃダメなんです。

辰巳:そりゃそれでえぇような気もしますけど笑、でも京都で作って欲しいと・・・?

萩原:京都市だけで販売したい、これがキーワード。京都の人にちゃんと愛して欲しい。

辰巳:流通が盛んになると”なんでも飲める食べられる”ってなってきてつまらんことなんですよね。
で、ワイナリーはどの辺に?

萩原:京北です。(元)電子部品屋さんの約300坪の土地があって200坪の建屋があったところが引いたもんですからそこを改装します。
畑から15分ぐらいのところです。

辰巳:京都にはどれぐらいの頻度で?

萩原:今は月に3日ぐらい入ってます。

辰巳:でも京北には泊まるとこないでしょ?

萩原:ありますよ。子供が泊まるようなとこですけど(どういう意味でしょ?)

辰巳:でも京都で家持って住んでやろうって感じではない?

萩原:娘は(←のちの後継)「持て持て」って言いますけど笑。

辰巳:なんで?遊びに行きたいから?でも持つとしたら街中でしょ?

萩原:だってあんなとこに持ってもしょうがないじゃないですか。ウソ、「京北サイコー!♡」爆。

辰巳:えっと、イノシシとかいろいろいるでしょ?

萩原:鹿ですよ、大敵は。新芽を全部食べちゃいますからね。

辰巳:電柵は?

萩原:してます。

辰巳:新しく作るとどうしてもね。元々は?

萩原:田んぼです。周りが全部山ですからね。

辰巳:猿は?

萩原:いるみたいです。

辰巳:日本のどのブドウ畑にもそういう自然の悩みはあるみたいですけど。というか”自然の一部を頂戴してる”わけですからね。

萩原:そういうことです。いくらブドウ畑の葉っぱを(鹿や猪に)食べられたからといってジビエ料理をやろうとは思いません笑。
井村シェフに紹介しようかとも思いません笑笑。

辰巳:ジビエ好きじゃないんですか?

萩原:いや、美味しいとは思いますよ♡笑笑。

辰巳:ま、でもそれは考え方ですよね。畑を荒らしに来る動物が美味しいかどうかはわかりませんが、、、。
今度その京都に行きますね。行こう行こうと思いながらなかなか・・・。

萩原:ワイナリーは2025年にオープンですからそのときは連絡します。3年後。
いろいろ考え方はあるんですけど、ワイナリーは東京でも都心にもあったり町田にもあったり。
でもロケーションとして「ブドウ畑を背景にワイナリーを持つ」ということが大切かなぁと思いますので、
ある程度の規模を持った畑を作りたいと思ってます。

辰巳:楽しみにしています!今月のお客様は山梨県勝沼からお越しいただいてます「大和葡萄酒」の萩原保樹社長です。
来週もよろしくお願いします。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

大和葡萄酒株式会社
http://www.yamatowine.com

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年6月16日放送回

ワイナリー

大和葡萄酒株式会社 
http://www.yamatowine.com

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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