ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2021年10月7日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
10月のゲストは山梨県勝沼の白百合醸造株式会社、専務取締役の内田由美子さん。義祖父が昭和13年に創業した山梨の老舗ワイナリーの一つです。まずはご自慢の甲州でカンパイ!後半はギョーカイときどきあるある用語、「ジベ」の話題に。(全4回 1回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:はい、10月です!今月のOAは4回あります。お客様は山梨県勝沼の、もう老舗ですね。’ロリアン’というブランドでもお馴染みの、白百合酒造の内田由美子専務にお越し頂きました。

全員:よろしくお願いします!

辰巳:’ロリアン’ってのは(フランス語で)オリエントを意味すると?最初聞いた時はびっくりしましたけど。(←スペルはL’ORIENT)

内田:主人が50年ほど前にフランスに留学しておりまして、その頃現地では東洋ってどんなことになってるか、日本とも中国ともわからない、ワインもまだまだ。日本でも甘いワインがいいなーと思ってる時期だったんですけど、帰国して「こちらも(西洋には)負けないようなワインを造りたい」っと思ってこの名前に。

辰巳:50年前?(内田:頷)白百合醸造ができたのは?

内田:昭和13年です。

辰巳:大変な時期に!?やっぱり*酒石酸とか作ってた?

内田:そうです、父の時代にはそういうことがすごくあったと聞いています。

辰巳:軍隊のレーダーのソナーに必要だった。そういう時代にワイナリーができたと?

内田:そうです。

(*酒石酸参考サイト:国税庁HP https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/quiz/1212/answer.htm)

辰巳;その頃はまだお生れじゃないですよね?

内田:ですね笑。

辰巳:さ、今日もこちらの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフに参加していただいています。

全員:よろしくお願いします!

辰巳:今もいいお天気で、この時期収穫時期でお忙しい中来ていただいてありがとうございます。(←この日の収録は9月20日でした。)
まずは乾杯したいと思いますが今日のワインはなんでしょうか?

内田:”Vinge de Nakagawa”です。これは中川さんという80歳超えのおじいちゃんが作ってる畑なんですけど、もう草1本生えてない。で、この畑のブドウが入っているうちのワイン、いつもいい賞を獲るんです。それでこの畑に注目しまして、3年ぐらい前からでしょうか、単一畑で造らせていただいてます。

辰巳::そうですかー。ヴィーニュ・ド・ナカガワ?中川さんの畑、の、ブドウですね。では乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶


ロリアン 甲州 Vigne de Nakagawa 2020
https://shirayuri.official.ec/items/46870524

辰巳:うわぁ、すんごくソフトな、、、でも酸味はキリッと効いてて。これは2020年、限定5000本ほどという限定商品です。

内田:ステンレスタンクで15日発酵のあと6ヶ月間タンクで熟成させてます。

辰巳:でもシュール・リーではないんですね?

内田:はい、一応澱引きしてます。

辰巳:由美子さんは醸造にも関わってるんですっけ?

内田:いえ、私は飲んで文句を言うだけです笑笑。

辰巳:でもお料理もお好きで、よく(ワインとの)マリアージュにもすごく詳しいと?

内田:いや詳しくはないですけど好き・・・

辰巳:社長が「僕よりも彼女に出てもらったほうがいいんじゃないか」と言うことで、今回来ていただいたんですけど。

内田:いやいやそんなことはないです、ただの食いしん坊なだけです笑。

辰巳:ははは、その話も(ご主人から)伺っております。さて、今日のお料理はなんでしょうか?

井村:今日は地元八王子のバターナッツかぼちゃを使ったブルーテです。


バターナッツかぼちゃのブルーテ コンソメジュレ添え

辰巳:バターナッツって、あの大きい?

井村:そうです、あのひょうたんみたいな形の・・・。

辰巳:なんでバターナッツっていうんでしたっけ?

井村:バターのような甘みとナッツのような香ばしい香りが合わさってるんです。

辰巳:八王子野菜を使った名物のスープ、ブルーテです。内田さんどうぞ召し上がってください。では私もいただきます。
ちょっと甘みがあっていい香り。いかがですか?

内田:美味しいです♡味がすごく濃いぃ。

辰巳:このかぼちゃはボイルして?

井村:炒めて甘みを出します。味付けもブイヨンと塩だけで自然に出て来ます。

辰巳:こういうデリケートな野菜料理に’甲州’ってホントによく合う。この「Vigne de Nakagawa」いいっすね。シェフはどうですか?

井村:事前に試飲した時にこういう濃厚なかぼちゃの、野菜の甘みと合うんじゃないかなぁと思いました。

内田:農薬もブドウにかからないように。棚(栽培)は上から農薬かけるの大変なんですね、マス目があるので。上から消毒をして葉っぱだけにかかるようにして・・・。

辰巳:ドローンかなんか飛ばして?

内田:いぃえ、そんなじゃないんです笑。全部手でやってます。(垣根じゃなく)棚なので、”*X仕立て”といって「どういう風に枝を張るか?」が難しくって、固まって日が当たりすぎちゃうとブドウによくないし。その時にはうちの醸造家も、棚をやっている90歳近いおじぃちゃんの畑に勉強させてもらいに行ったりしてます。
(*X仕立て参考サイト:https://aramakiwinery.jp/x字長梢剪定/

辰巳:あのー90歳近いおじぃさんって?

内田:ぁw、ゴメンなさい、持ち主は80歳代の方ですけどお手伝いしていただいてる方が90歳ぐらいの方(←これもすごい話ですね)。

辰巳:笑。へぇ、日本は農業も漁業もそうですけど、どんどん高齢化してますけどみなさんお元気ですよねぇ。

内田:ホントそう思います。

辰巳;ま、そういう人たちで持ってるんですけど。でもいつまでもそんなわけにいきませんからね。最近は日本ワインの中でも若い世代が参入しようという人たちが増えてきて。それは嬉しいですよね?

内田:はい、そうですねー。

辰巳:白百合醸造は今の社長(ご主人)のお父さんが始めた?

内田:祖父です。

辰巳:ぁ、3代目なんですね。(内田:頷)

辰巳:年間の生産量は?

内田:20万本です。

辰巳:そのうち「日本ワイン」は?

内田:全部「*日本ワイン」です笑。
(*日本国内で栽培されたブドウ100%を使って国内で醸造したワインのこと)

辰巳:以前なんか使ってませんでした?

内田:前は(海外から輸入した)バルクも使ってましたが、今は一切使っておりません。

辰巳:いつ頃から転換されたんですか?

内田:もうだいぶ経ちますね、徐々に徐々に減らしていきました。今はまったく(なし)。

辰巳:それで20万本ってかなりの規模ですけど、従業員は何人ぐらい?

内田:全体で25人ぐらい。

辰巳:勝沼の中では中堅っていいますか、”*勝沼御三家”と言われる次のグループぐらいって感じですかねー。老舗の中でも見学行っても楽しいし、ファンの多いワイナリーですよね、社長はじめご家族がすごくあったかくて。そんな勝沼、狭いところでワイナリーが密集してて、同士が結構仲良いんでしょう?
(*一般的には「中央葡萄酒」「勝沼醸造」「丸藤葡萄酒工業」のようです)

内田:ですね。今ワイナリーの数が増えて山梨県内で90近くになってますし、勝沼では40近くになりますから。

辰巳:でもだんだん温暖化も進んできていろいろ大変でしょうけど。最近はどうですか巷の話題とか?今収穫真っ只中だし

内田:今年は梅雨がなかったからすごくいいなぁと思ったんですけど、夏に雨が1週間ぐらい続きましたので。でも前半のブドウはすごく良くて、甲州もベーリーAも皮が厚いので割といいですね。シャルドネはちょっと心配だったんですけどまぁまぁの出来でした。

辰巳:えー、ラジオをお聴きの皆さんは料理もワインも見られていないので、「白百合醸造」をちょっと言葉で簡単に説明お願いいたします。

内田:はい、本当にファミリーワイナリーで、’従業員全員が家族’みたいな感じ。社員が一丸となっていて仲がいいんです。造ったワインを持ち寄ってワイン会をしたときなんか、最初は1杯づつ注いで「あとはお好きに」ってなった時にはボトルがすでに空になってるんです。そういうワインを造りたいというのが私たちの夢なんですねー。

辰巳:なるほどねー。酒好きワイン好きは、フランスワインを中心としたいわゆるトップレベルのワインを飲むスノッブと、日本ワインを飲む人たちではなんとなく(人種?)が違うなーという感じはしますね。「いつも間にかなくなってた」「ずっと飲んでられるワイン」。
これは(日本ワインの)いい表現かもしれませんね。
なんかわかりますよねシェフ?

井村:はい、その方がお客様にもお楽しみ頂けると思います。

辰巳:ところで、音楽がお好きなんですか?うちの娘のコンサートにわざわざ山梨から東京に来られたりされてましたけど、他に東京に用事があったとか?笑。

内田:いえいえ、わざわざ笑。

辰巳:それはとっても嬉しい。その時は*神楽坂女声合唱団の皆さんとお越しくださったんですけど、ご本人も歌われるんですか?
(*神楽坂女声合唱団参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/神楽坂女声合唱団

内田:いえいえ、私はオンチなんです笑。

辰巳:オンチでも合唱はダイジョブなんですよ笑笑、私もやってましたけど(←この人六本木男声合唱団)。「みんなで歌えば怖くない」をモットーに笑笑。

内田:その言葉大好きです笑。

辰巳:で、今日のリクエスト曲聞いたらちょっと嬉しかったんですけど、、、なんでしょ?

内田:はい、辰巳真理恵さんの「ありがとう」という曲をお願いします。

辰巳:(恐縮しきり)前回も(ココファームの池上専務がゲスト)で娘の歌う「アヴェ・マリア」をリクエストしてくださって。
あの、ラジオをお聴きの皆さん、別にお願いしてるわけじゃないんですよ汗、忖度はしてくださってるかもしれませんが笑笑。

内田:かつて(真理恵さんのコンサートに)伺った時に、(辰巳さんが)裏方でいろいろ動いていて、「大スターが娘のためには動くんだ」笑笑、がすごく感動して。この「ありがとう」を聴くたびにあの時の辰巳さんの姿が浮かぶのと、(純粋に)この曲が大好きなので。

辰巳:この曲は3年前に私の還暦のパーティーをした時に初披露して、僕もその時は知らされてなかった。
ではお聴きいただきましょう。辰巳真理恵の「ありがとう」。


https://www.youtube.com/watch?v=yOqSOIggCDE

辰巳:薮田翔一くんという作曲家が書いてくださった曲でございました。いい曲ですけど面前ではちょっと照れくさい。なんかーアレですよ、知らないところで聴いてほしい笑汗。
ワインの話に戻しますけど、これまではいろんな畑のいろんなブドウを一緒にして仕込んでいたのが一般的でしたけど、この頃は造り手や土地によって細かく分けて醸造するていうのがだんだん主流になってきました。そう言う意味でも日本のワイン文化が進歩していると思うんですけど。ロリアンさんではこう言う’畑の名前がついた’ワインとかあるんですか?

内田:まだそこまで大きい畑がなくって、、、。そうしたいと思ってますし実際(そう言う畑を)増やしてはいるんですけど、まだ単一(畑)でできるだけの量がまだ他にないんで。

辰巳:じゃぁまず手始めに今回の中川さんの畑の?(内田:頷)ここは袋がけとかしてるんですか?

内田:もちろんですっ、うちのブドウは全部傘かけてます(全員ビックリ)。契約畑の方はたまにそうじゃないところもあるかもしれませんが、「なるべくかけてください」って言ってますし、自社畑はもちろん全部。だから海外の方がいらっしゃると「クレイジー!?」っておっしゃるんです笑。でもそれくらいしないと雨も多いですし、高温多湿のところでは必要かなぁって思います。

辰巳:でもいいブドウができるとその分必ず美味しいワインができるわけですから。(ブドウの房が)ちっちゃい時からかけるんですか?

内田:ヴェレイゾンの頃からです。

辰巳:ジベの品種はしませんよね?

内田:ぁ、デラ(デラウェア種)は2回目のジベが終わってから傘がけします。

辰巳:ワイン造るのにジベは要らなくない?

内田:うちはそれでもジベやってます。

辰巳:ジベってわかります、シェフ?この番組1年ちょっとやってきて多分今まで出てこなかったワードです笑。ま、ワイン造りには出てこないかもしれませんね。なんだと思います?はいっ、ジベジベ(←なんかネチネチとシェフを攻めてます)

井村:な、っんでしょうね?

辰巳:「ジベレリン処理」と言うんです。

内田:今出回ってる「シャインマスカット」も全部ジベレリン処理されてます。(←助け舟にもなってません、おそらく)

辰巳:さぁなんでしょう?(←回答者がシェフ1人のクイズ番組になってます)

辰巳:これは日本でできた”技術”。日本では戦後すぐぐらいにできて、これが日本のブドウの消費を飛躍的に伸ばしたりしました。普通はワイン用のブドウにはやらないものです、はいっ!?

井村:なんか間引きをするとか?

辰巳:じゃぁありませんっ。時間もないので言っちゃいます。では専門家から。

内田:*ジベレリン処理というのはですね、実を大きくしたり、種をなくしたりするんですよ、甘みも増しますし。花の咲く前と咲く後で2回処理をするんです。
(*ジベレリン処理参考サイト:GREEN ROCKET https://green-rocket.jp/post/22

辰巳:ホルモン系かな?花がちっちゃい頃にそれをつけるんですよ。そうすると種無しブドウができて、その分実が大きくなる。これまた大変な作業なんですよ、ひと房ひと房液に浸けていくっていう。手塩にかけたブドウで造ったワインでございました。今回のワイン、中川畑の甲州でした。来週はちょっと*デカンターでプラチナを獲ったワインを飲んでみたいと思います。
(*イギリスの有名ワイン専門誌「デカンター」が開催する世界最大の国際ワインコンテスト)
10月1週目ののお客様は、勝沼「白百合醸造」の内田由美子専務でした。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つです。現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2021年10月7日放送回

ワイナリー

白百合醸造株式会社
https://shirayuriwine.com

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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