2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
9月のゲストは栃木県足利市、有限会社ココ・ファーム・ワイナリーの専務取締役 池上知恵子さんです。現在自社畑を含む国内の”適材適所”のブドウを醸していますが、実は2007年まではカリフォルニアで開墾したブドウも使っていた?お父上である川田先生が掘った洞窟熟成庫には常にヴァイオリンが流れている?”ココ・ファーム伝説”は続きます。(全5回 3回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:さ、9月のお客様はココ・ファームの池上知恵子さんです。今日もよろしくお願いいたしまーす!
全員:よろしくお願いします!
辰巳;足利からここまで車で?
池上:はい、2時間半。
辰巳:スイマセンなんか遠いところまで。圏央道から来ました?今東北自動車道から圏央道に入れるんですよね?だいぶ近くなったんですけど、でもまだ2時間半かかるんですね。はるばるワインを携えて来てくださいました。今日のワインは何でしょうか?
池上:はい、「月を待つ」。ケルナー100%のワインです。
辰巳:このネーミングが抜群にいいですよねー。
池上:ありがとうございます。ぁ、ごめんなさい、ソーヴィニョン・ブランが7%だけ入ってました。
辰巳:これは北海道のブドウ?
池上:そうです、余市の。
辰巳:これ、どんな月を待ってるんでしょう?笑。
池上:そうですねー、このネーミングはホント悩んだんですけど。最初は「ケルナー」という名で出したんですけどあまり反応なくて今の名前になったんです。どうぞ召し上がって。
辰巳:中秋の名月の前だしちょうどいい。では乾杯!
全員:カンパ~イ🎶
「月を待つ 2019」
https://cocowine.com/ds/p3598/
(↑この日のテイスティングは2019ヴィンテージでしたが、現行は2020年ヴィンテージです。ご了承ください)
辰巳:フルーティーなんですけどふっくらとした甘味ですよね。このワインは何年前から?
池上:余市の*藤澤さんの畑なんですけど、もう20年近くかな?
(藤澤農園:余市町登でワイン醸造用ブドウを手がけ、ケルナー種の栽培家として一目置かれる存在)
辰巳:以前は「クリサワブラン」なんかにも提供してましたっけ?
池上:そうです。
辰巳:あれ、*中澤さんは今でも**ブルースのとこで造ってるんでしたっけ?
(*ナカザワヴィンヤード:http://www.nvineyard.jp 前述の「クリサワブラン」は日本ワインファン垂涎の白ワイン)
(**10Rワイナリー:http://10rwinery.jp 元ココ・ファームの醸造責任者で現ココ・ファームの取締役、ブルース・ガットラヴ氏が岩見沢に開いた主に委託醸造専門ワイナリー)
池上:いえ、もう自分のとこで(独立してワイナリーを持たれたそうです)。
辰巳:ココ・ファームさんはこういうドイツ系品種を上手に造るんですよねぇ。
池上:ちょっと貴腐が入ってて。
辰巳:今日も「Villas des Marriage 多摩南大沢」で収録しておりますけども、今回もこちらの井村貢シェフにも同席していただいております。シェフ、このワインどうですか?
井村:なんか、完熟のパッションフルーツみたいな香りがします。非常に豊かな香りと濃厚なハチミツみたいな甘みも感じるんですけど、料理でいうと”甘いとうもろこし”みたいな印象を受けました。
辰巳:あれ、今日はトウモロコシを用意されてるのかな?チラッと見えましたけど笑。はい、今日のお料理は?
豚肩肉のコンフィと八王子野菜のグリル 枝豆のエスプーマ添え
井村:このワインを飲みながらスッキリできるように野菜のグリル、これをサラダ仕立てにしました。それに元気が出るような豚のコンフィを添えて。上には白いとうもろこしの生を乗せてます。
辰巳:素晴らしいマリアージュ!
井村:ありがとうございます!自家製の、オリーブオイルで漬けたライムを添えてありますんで一緒に食べていただいて、この酸味とワインの甘みがマッチするのかと思います。
辰巳:なるほど、やってみよっ。うん、そこまで脂っぽくはないんだけどこの豚の脂身とがすごくいい感じ。北の方のブドウなのになんかトロピカルなイメージ。
池上:ほんと不思議~笑。この北国の酸と豚肉が合って。
辰巳:肉いですね~笑笑。
このワインとお料理のマリアージュはこちらのお店でお楽しみいただけます。リーズナブルな感覚で召し上がれますので、皆さんドシドシお越しください!
辰巳:ココ・ファームのワインってすごく種類多くないすか?
池上:うんそう、ちょっと困っちゃうぐらい多いです爆。「こころみシリーズ」だけでもチャレンジしてチャレンジして造ってるからもう収集つかない・・・。でもまぁ基本は24種類ぐらいかな。
辰巳:でもチャレンジチャレンジしてたら30~40種類ぐらい行っちゃうでしょ?
池上:だから「こころみ(試み)シリーズ」として上手くいくと、スタンダードに。でもね、基本的には”適地適品種”でいろんな栽培農家さんが面白がってやってくださるのでそういう意味もあるし。
辰巳;以前はカリフォルニアでも畑持ってましたよね?
池上:そうそう、最近は日本のブドウもカベルネでもシャルドネでも素晴らしいものができてるけど、当時はあんまりいいブドウが(国内に)なくて、カリフォルニアから入れてたりしたんです。2007年からは全部国内のブドウで造るようになったので、今は現地でカリフォルニアワインとして、私たちの植えた樹を育ててくださってる。
辰巳:その時も知的障害者の生徒さんたちも一緒にアメリカ行ったんですか?
池上:そう、行ったの、ま、何人もじゃないけど。最終的には旅行みたいな感じ。飛行機1機じゃ危ないからって2機に分けたりした珍道中笑。実際に開墾に行ったのは職員も含めて12人ぐらいのグループだったかしら。1ヶ月ぐらい。
辰巳;日本も「国内のブドウだけで」ってだんだん原理主義的になりつつあるけど、これはこれで意味のあることですよねー。
池上:うん、勉強はできたと思う。
辰巳:そこから先は(アメリカサイドに)任せて?
池上:4~5年は毎年行ったりしてました。よくあんなことやってましたねぇ笑。
辰巳:90年代?
池上:はい、90年代の後半。
辰巳:だんだんね、自園や日本のブドウがよくなってきて。実はその(ココ・ファームの)流れをけっこう飲んできてるんですよ。古澤巌からのオススメもあってね、「第一楽章」とか。このネーミングは彼の関係?
池上:なんとなくね、彼が音楽家ってこともあるし、共通性あるなぁと思って。
辰巳;(「第一楽章」は)ここのマスカット・ベーリーAなんですけど、いろんなワインを勧められた中でも印象にも残ってますし希少性がものすごくあるなと。それから葉加瀬太郎君。太郎ちゃんと高田万由子の結婚式の時に、引き出物はココ・ファームのワインだったんですよっ、まだ飲めずに持ってます。
池上:そうそう、ラベルを太郎さん自身がお書きになって、箱詰めするときに”二人が向き合うように”詰めてくださいって。(2本1セット、1本は新婦、1本は新郎のプロフィール(横顔)を向き合うように箱にセットしてくださいと)笑笑。
辰巳:えーまだそれなりに仲いいみたいですから爆。
池上:えぇそうみたいで。あの二人もホントいい感じ。
辰巳:僕はその高田万由子ちゃんとクイズ番組とかで知り合ってて、で、古澤(巌)とは仲良くて。葉加瀬太郎っていうのは古澤巌が見出して自分たちのバンドに引き込んだ。そんな関係で回り回って二人が結婚した、、、非常に不思議な関係。
池上:そうよ、だから最初葉加瀬さんがうちに来てくださった時、「古澤さんといつか桟敷で花火見たい」っていうんで、その桟敷代を稼ぐためにうちのタンクルームで演奏してくださったんです(´⊙ω⊙`)。。。なんか不思議よねぇ、こんな縁があるなんて。
辰巳:セラーでね、「自分のヴァイオリンを聞かせて熟成したワインなんだよー」、「う~ん、やっぱり旨いねぇ」とか笑笑。。。そんなことがそれこそ四半世紀前の話。
池上:だから今ワイナリーではね、古澤さんの曲をずっとかけてるんです。
辰巳:今はCDじゃないんですか、ポッドキャストかなんか?
池上:CDですよ、古澤さん持って来てくださるんで。
辰巳:古澤のCDはブドウ畑に吊るしてないんですか?爆。先週の話で(歌手で井上陽水さんの妻の)石川セリさんが土産に持って来た井上陽水さんのCDを畑に吊るしてキラキラキラキラ✨光ってカラス避けになってるという話を、
池上:、なってないなってない笑笑。
辰巳:じゃぁここらで今週のリクエスト曲聴きましょうかね。今日はなんでしょ?
池上:えー、一般的には「弦楽とオルガンのためのアダージョ」
辰巳:バッハですか?
池上:いえいえ、これはアルビノーニという作曲家の有名な大衆クラシック音楽です。これをカラヤンの指揮で。
アルビノーニ 「弦楽とオルガンのためのアダージョ ト短調」
https://www.youtube.com/watch?v=TA2GT_ty8rQ
辰巳:はい、カラヤンの指揮で「アルビノーニのアダージョ」。旋律はなんか聞き覚えのある・・・。
池上:なんか「こういうワインができたらいいなー」って思うような曲。
辰巳:なーるほどー。シェフはこの曲からどんなワインを想像されます?
井村:笑(←急に振られて困ってますよー)。
辰巳:もうね、自分がわかんないとすぐ人に振るんですよ笑。
井村:そうですね、なんか奥ゆかしいというか、飲んでて落ち着くような・・・そんなワインができたらいいなと思いました。
辰巳:グビグビじゃなしにゆっくりと舐めるように。アルコール度数もひょっとしたら高めかもしれないし、時間をかけて味わうような感じはしましたけど。どうなんですか、池上さんは?
池上:どうしてもワインって特殊な世界で、ボルドーみたいな有名処とかあるけど、こういうオープンなお店で飲めつつ、でも複雑でバランスが取れてて味わいが長くて、、、っていうシェフの作るお料理と同じようなワインができたらいいなーと思うんですけど。音楽もみんなに愛されないと意味がないし。ただただカラヤン(指揮)だから有名ってだけじゃね。
辰巳:でもなんとなく悲しい曲ですよね。追憶というか昔のいろんなことを思い出したり・・・。
池上:そう、だからね、「お葬式の時にこの曲を流して」って人も結構いるらしいですよ。
辰巳:そうですか。楽しい時に飲むのもワインですし、悲しい時寂しい時に飲むのもワインかもしれない。いろんなシチュエーションの数だけいろんなワインがあるのかなという感じもしますねぇ。今日の「月を待つ」にもなんとなく合うような。
池上:もちろん楽しい時にサクっとしたのもいいと思うんだけど、厚みとか幅とか奥行きとか考えた時に、この曲のようなワインを造れる方が・・・。
辰巳:池上さん自体はワインけっこう召しあがれるんですか?
池上:すごくはないですけど。最近弱くなったの。
辰巳:そ、それは仕方ないですけど笑、私より8つほど年上なので。
池上:そうですそうです。
辰巳:バラしちゃいけなかったかもしれませんが(←辰巳さん1958年生まれ、で察してください)笑。池上さんはどんなワインがお好きなんですか?
池上:ワインだったらなんでも笑。
辰巳:みんな可愛い子供たち?
池上:子供たちっていうより”人”に似てるかな?年上の方から生まれたばっかりの赤ちゃんまでいろんな人がいるようにいろんなワインがあるし。
辰巳:でも「このワイン美味しい!」「これちょっとやめとこうかな」とかないですか?「このヴィンテージよくないなぁ」と思ってても次の年ものすごく美味しくなってるってことも。
池上:そう、だからできればちゃんと熟成できるワインがいいかなぁ。
辰巳:”熟成”ですよねぇ、熟成大事ですよねぇ。ココ・ファームも岩を掘って洞窟にしたとこありますよね。あれって熟成庫でしたっけ?川田先生(池上さんのお父上)が、
池上:そう、いきなり掘り出したの笑笑。でも途中から近くにいる石灰を掘るのが得意なプロたちにお願いしてトンネル倉庫を完成させたんですけどね。(←昔の江戸城の漆喰の壁はこの辺の石灰を使っていたらしいです)
辰巳:井村シェフ、ココ・ファームは行かれたことあります?
井村:まだ、ないです。
辰巳:ぜひ一度!行ってください。いろんな噺、歴史もありますから。ラジオをお聴きの皆さんもぜひ!東京からそんなに遠くありませんからね。栃木の中でも東京には近い方ですよね?
池上:北千住からですと電車で1時間。
辰巳:みなさんぜひ!っということでお時間になってしまいました。9月のゲストはココ・ファーム・ワイナリーの池上千恵子さんにお越しいただいております。あと2週分、よろしくお願い致します!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、お招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが造るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、コロナ対策の政府の対応によってはこのサービスが提供できない可能性があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2021年9月16日放送回
- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/