ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2021年6月24日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
6月のゲストはマンズワイン株式会社、代表取締役社長の島崎大(しまざき だい)さんです。最終回は「マスカット・ベーリーAとナポリタンとバッハ!」キーワードは”passion”です(?)(全4回 4回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:6月のゲストはマンズワイン株式会社の島崎大社長です。

辰巳・島崎:よろしくお願いします!

辰巳:今回早くも最終回になってしまいました、あっという間ですねぇ。

島崎:ほんとそうですねぇ。

辰巳:「酵母の泡(白)」から始まりまして、「ソラリスのシャルドネ」、先週は「(辰巳琢郎プロデュース)今様 2019」を紹介しました。さ、今週はなんでしょう?

島崎:今日は”マスカット・ベーリーA”、最終回にして初めての赤ワインをお持ちしました。「passi(パッシ)」と言いまして、こちらは勝沼の(オンライン含む)限定商品なんですけど、本日はぜひ辰巳さんに飲んでいただきたいなということで。

辰巳:限定商品!?これ何本ぐらい造ったんですか?

島崎:んーーー、何本かなぁ笑。

辰巳:とりあえず乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶


マンズワイン マスカット・ベーリーA passi- パッシ 2018
https://mannswine-shop.com/SHOP/M00897.html

辰巳:ん、ぁw、わりと旨味の強いかなりしっかりめのベーリーAですね。

島崎:これ勝沼の醸造所の宇佐美(宇佐見孝氏)ってのが造ってるんですけど、「passi」ってのは(イタリアの)passito(*パッシート)ですね、いわゆる陰干しにしたブドウで醸したワイン。それと”情熱(passion)”をかけて彼がつけたネーミングです。
(*大抵はブドウを陰干しして糖度を上げ甘口に仕上げるのですが、このpassiの場合はイタリア ヴェネト州の”アマローネ”のような辛口の仕上がりです)

辰巳:今日も収録している「Villas des Mariages 多摩南大沢」の井村貢シェフにもお付き合いいただいてます。

井村:よろしくお願いします!

辰巳:このワインいかがでしょうか?

井村:パッシートの製法ということで、ドライフルーツのような濃厚な、干しブドウとかドライにしたプラムのような味わいがしました。なので料理もちょっとパンチの効いたものの方がいいんじゃないかなっと思って・・・。

辰巳;思って・・・?

井村:ちょっと原点に帰って”ナポリタン”


野口農園のトマトを使ったナポリタン

辰巳:へぇぇぇ!!!

井村:今日はスプーンもフォークも用意して昔の洋食屋・・・笑。

辰巳:「ナポリタン 井村風」?

井村:そうです!地元(八王子)の野口農園のトマトを使った”自家製ケチャップ”。

辰巳:そうですか、じゃぁさっそくいただきます!

島崎:美味し♡

辰巳:うん、んまいっ!こ、これはただのナポリタンじゃないす。味もかなり濃厚ですよね?(井村:頷)ルッコラがかかってパルミジャーノ散らして、、、。

井村:これとワインとで口の中で完成するんじゃないかなと。

辰巳:ひき肉とかお肉は入ってるんですか?

井村:いえ、でもハムは入ってます。(パンチェッタとかではなく)あえてハムにしました。大多摩ハムといって福生市あたりにあるハム工場なんですけど。これも地元の添加物使ってないボンレスハム笑。

辰巳:僕は炭水化物好きで、フレンチのフルコースとかこのお店でいただいた後にちょっと物足りないから「パスタ作って~」とか言うんですけど笑笑(←食いしん坊万才)。元々は賄いなんでしょ?(井村:頷)最近メインになったんですか?笑。

井村;笑。なってないっすよ。

辰巳;ぁw、まだ?じゃぁこれから?

井村:笑、そうですね汗。

辰巳:島崎さん、どうですか?

島崎:よく合うと思います。

辰巳:これはこのナポリタン目当てに来る人もいるんじゃ?

井村:このナポリタンの発祥が隣の横浜と言うことでそれにちなんで。(←戦後直後、横浜の「ホテル ニューグランド」で生まれたとされています)

辰巳:これは「八王子のナポリタン」。

島崎:まぁ懐かしい感じと、ルッコラの辛味の新しさもあって。

辰巳:懐かしいけどなんか「きちんとしたお料理」って感じ。

井村:玉ねぎ、ピーマン、、、炒めてる間に味が効いてきますので。

辰巳;ナポリタンとかカレーライスって、基本的に”和食”だと思ってるんです。やっぱり日本でアレンジされて認知された。この層の厚さも魅力じゃないかと思うんですけど。お好み焼きもトンカツもそうですよね?

島崎:ですね。

井村:こういう日常的な食べ物と”日本ワイン”が合わさると、普段から楽しめていいんじゃないかと。

辰巳:”日本ワイン”ってそういうものに合いますよね。

島崎:そうですね、非常に守備範囲が広い。

辰巳:焼き鳥食べに行っても鰻食べに行っても、マスカット・ベーリーAってのは確かに。どうですか?島崎さんぐらいの古い人(←失礼)、って僕も古いですけど笑、ボルドー(フランス)やガイゼンハイム(ドイツ)に若い頃勉強に行ったりしてたじゃないですか。やっぱり”ヨーロッパ一番!”ってなる中、”甲州”だとか”マスカット・ベーリーA”とか”ヤマブドウ”とか日本にもいろいろな品種があって、そういう品種に対してどういう風に考えて対応してこられたのかなってのを今日最後に伺いたいテーマです。

島崎:なるほど。やっぱり我々は”いいブドウがないといいワインは出来ない”っというのが大前提としてあるんでー。そういう意味で当時は甲州やマスカット・ベーリーAからいいワインを造ろうとしてもそれは”無理”、だったんですよね。ですからまずやってきたことっていうのはヨーロッパ系品種からだったんです。そのヨーロッパ系品種を「日本で栽培するにはどうしたいいか?」というアプローチがひとつ、主に今小諸でやっています。一方で元々ある甲州やベーリーAは創業以来歴史がある非常に大事なブドウだったので、甲州なんかは「素材としては・・・まぁ悪くいうと”個性がない”んですけど、逆にいうと”いろんなものができる”要素がある」っという伸び代的な部分があったので、これまでいろんな商品を造ってきています。そのひとつが第1週目に飲んでいただいた『酵母の泡』であり、ま、それ以前からもいろいろ造ってきたんですけども。マスカット・ベーリーAはどちらかというと以前からはそんなにいろいろ造ってはこなかったんですが、ここ数年からは目を向けて力を入れていきたいと思ってます。次の世代からは増やしていきたい。今日はその成果をお持ちしたんですけど、こういうヴァリエーションも含めて可能性はあるかなぁと思っています。それは「日本ワイン」そのものがクローズアップされてきて、全体のレベルが上がってきたという流れの中でこうなってきたんだと思います。

辰巳:さっきの話に戻りますとー、「和食」と言ったナポリタンやカレーライスやトンカツ・・・も、元々はイタリアでありインドでありフランス料理。それが日本ナイズ(?)されたもんじゃないですか?
ワインもこれから同じような動きになってくるんじゃ?そうなった方がいいんじゃないか?っと思ってて。これまでは最初にワインを飲もうと思ったとき、フランスワインから入る人、ドイツワイン・・・いろいろありますが、これからは「初めて飲むのが日本ワイン」であるべきだろうし、そういう時代になったらまた考え方が変わるんじゃないか、と思うんですけど。

島崎:そうですね。お料理でも日本のイタリアンもフレンチもチャイニーズもすごい高いクオリティがある一方で、辰巳さんおっしゃったようなこれまで受用してきた食文化も両方あって、「ワインも両方あったらいいな」っと思ってたりしますね。

辰巳:うーん、そういう中でF1といいますか「レーシングカーを作りながらも大衆車もきちんと広げていく」っていうのもね、大手さん(メーカー)の・・・。

島崎:んー、うち大手かどうか、、、。今「日本ワイン」に軸足を移してますんで・・・。以前のように”量を追いかける”っていうワイン造りも商売もしていませんからね。イメージ的には”大手”と思われてるかもしれませんが、実はもう大手と言われるサイズではありません。

辰巳:「日本ワイン」に特化すれば?

島崎:今(年間)1000t弱を仕込みますんで、単純計算で100万本。

辰巳:「日本ワイン」の中では5本の指には入りますよね?

島崎:はい。

辰巳:でもこれまでは「国産ワイン(現国内製造ワイン)」(←輸入果汁や輸入ワインを使って国内で製造するワイン)を造っていたのを、6年前でしたっけ、スパーーーっと(やめた)?

島崎:もう10年以上前になります、はい。

辰巳:それで(生産)量を一気に減らして、また(日本ワインで)盛り返してきたみたいな感じですかね?

島崎:そうですね、ま、盛り返したいというところはあったんですけど。「量」というよりは、「我々の想い」が伝わってお客さんにファンになっていただいて支えていただきたい、というところが目指すところです。

辰巳:これは先代の(社長)茂木信三郎さんの頃?

島崎:輸入濃縮果汁をやめたのはもっと前からです、グループトップ(キッコーマングループのトップ)の決断として。当時(売上の)半分以上あったものをやめるというのはなかなか・・・そのレベルでないとできないので。

辰巳:逆にいうと、本来の、王道に戻ろうとしてるんじゃないかなと?

島崎:おっしゃる通りです。

辰巳:それをいち早くやったのは素晴らしいなと思って。これはもっと評価されるべきだと思ってました。かといって輸入濃縮果汁からワインを造るということは、それはそれで裾野を広げるという意味ではいいことかな・・・。

島崎:はい、それはそれぞれの考え方だと思います。

辰巳:とはいえ日本でまだそんなに(たくさん)ブドウできませんからね。もっともっと国内でブドウを植えられたらいいな、なんてことを「日本のワインを愛する会」でもお手伝いできたらと思っております。

島崎:ありがとうございます、よろしくお願いします!

辰巳:ではリクエスト曲、今日はなんでしょう!

島崎:今日はバッハを。

辰巳:ほぉぉぉ、バッハですかぁ。オリンピックのバッハ会長はワイン処、ビュルツブルクの方らしいですよ。(←雑学王)

島崎:ぁw、そうなんですね(冷)。今日は「マタイ受難曲」という中の39曲アリア、非常に美しい曲なのでぜひぜひ!演奏は「*バッハコレギウムジャパン」。(*http://bachcollegiumjapan.org

辰巳:鈴木雅明さん!

島崎:さっきのワインの話もそうでしたけど「日本人がヨーロッパのことをやる!」ことの意味だとか、本国「ドイツでも表彰されるレベルでやる!」というところは我々も目指していくところかな、っていうところもありまして。今日のワインは「passi」ですけど、まぁpasison、情熱ですから。

辰巳:パッションってね、”情熱”と訳されてますけど、本当の意味は”受難”、ですよね。キリストが磔(はりつけ)されるのがパッションで、だからパッションフルーツっての”磔の果物”なんです。(←雑学王すぎ)ではお聴きいただきましょう、どうぞ。


バッハ マタイ受難曲 (バッハコレギウムジャパン版)
https://www.youtube.com/watch?v=SB-iPukTPw4
長いです。39番は1:26:00あたりからお聴きください。

辰巳:えー、ちょっと気分が変わるといいますか、こういうのをたまに聴くのもいいものですね。ぇw、これ車の中で聴かれてるんですか?

島崎:そうですね、小諸で醸造するときには勝沼から車で行ってたんで、ずっとこういうの聴きながら・・・。

辰巳:よくね、ワイナリーとか日本酒蔵、焼酎蔵でも「(お酒に)クラシックを聴かせて熟成させる」みたいなのがありますけど、マンズワインさんはやってないんすか?

島崎:やってないですねー笑。

辰巳:周りにスピーカー置いてガンガン音楽流して、適度に振動するし酵母は生き物だから「ちゃんと聴こえてる(?)」ということを言う方もいますけど?

島崎:真偽の方はどうでしょう?笑笑。

辰巳:でもね、ワイナリーの中に音楽流れてたらいいじゃないですか。

島崎:そりゃね。

辰巳:社長命令で笑。

島崎:ワイン飲みながらの空間はいいかもしれませんけど、造る空間はどうでしょう笑笑。

辰巳:造り手も芸術に浸ってものづくりするって、

島崎:、大事なことですよねぇ笑。でもそれをやりながらできるかって・・・そこはどうでしょう?(←若手の醸造家がこれ聴きながら仕事してたら寝ちゃうかも?)

辰巳:でもそれやってるうちに「マンズワイン、どんな風になってるんだろう?」っていうストーリーにもなりますし見学者も増えるかもしれないし、そこでバッハの受難曲ですよ笑。いいと思います。

6月のお客様はマンズワイン株式会社の島崎大社長でした!醸造家の方ってなんとなくムッツリした人とすっごく喋る人の2種類いらっしゃって。島崎さんどっちかというとムッツリ系だと思ってたのに、本当はオシャベリ系だったということがわかった1ヶ月でございました。お付き合いありがとうございました!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。また、コロナ禍における様々な政府の対策によってはメニュー提供等が変更になっている場合があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2021年6月24日放送回

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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