6月のゲストは「深川ワイナリー東京」始め、複数のワイナリーや飲食店を経営する(株)スイミージャパンの中本徹さん。コロナ禍で大変な状況なのになぜか大変に聞こえない。音声を「大阪弁」に切り替えてお楽しみください。(全2回 前編)
辰巳:今回のお客様は、、、んー、なんて紹介しようかなー、、、「深川ワイナリー」のオーナーでもあります、中本徹さんです!
辰巳・中本:よろしくお願いします!
辰巳:幾つかのワイナリーを経営されていて、これからもどんどん増やしていこうという。
中本:もうコロナで大変なんですけど。ムチャムチャ大変ですゎ笑。
辰巳:ワイナリーは人はそんなにたくさんいるとこじゃないけども、ワインバーとかレストランとかはね。今全部で何店舗?
中本:今6店舗、今年の8月で10店舗になります。
辰巳:深川ワイナリー、駅はどこが近いんですか?
中本:いちばん近いのは越中島ですね。都内23区のJRの駅中でいちばん乗降者数が少ない駅らしいです。
辰巳:なんでも”いちばん”って大事ですよ笑。
中本:ディズニーランド行く途中通過するとこなんで、誰もご存知ない・・・笑。あと近いのは門前仲町、早足で4分ぐらいですかね、ムッチャ早足で笑。
辰巳:ワインバーなんかもあってね、なかなか素敵なとこです。
中本:今収録しているところは、実はきのうからオープンしたところなんです。コロナ騒ぎで、小売だけはしてたんですけど自粛自粛をしてまして。ここは予約制レストランでイタリアンのフルコース、入り口付近は試飲所兼”サク飲み”のワンコインバルになってます。
辰巳:もうね、喋りだしたら止まらへん笑。出身大阪?
中本:そうなんですー、富田林。ブドウの産地の横にあるとこです。で「なんで深川やねん!?」って言われるんですけど笑。
辰巳:なんでやの!?笑。
中本:僕元々中国で貿易のビジネスしてたんです。出張が多いので羽田と成田に行くのが近くて、東日本橋にあるオフィスにも近い、ここに12年いたんですよ。
辰巳:大きな企業に勤めた後独立して。わりと若いうちに起業したんですね?
中本:北京に12年住んで30歳手前で独立して、18年ですかねー(48歳です)。もう大変ですぅ笑笑。
辰巳:こっちはもう還暦やからね。48歳で大変言うてたらどないすんねんっていう笑笑。
中本:で、中央区(東日本橋)はちょっと家賃高いんで、森下っていう江東区に住んでまして。ここら辺にええとこないかなぁと思って、清澄に小さな小さなワインバルをオープンしたんです。そのうちワイナリーにしたらどないやろかーいうことになりまして、いろんな人に吹聴してたんですよ「僕ワイナリーしますー」て。そしたら補助金おりましてね。
辰巳:どこから補助金?
中本:経済産業省、1/3出してあげるよーって。それから滋賀のワイナリー(ヒトミワイナリー)で醸造していた上野(上野浩輔氏)っていう奴がいましてね。彼に醸造責任者で来てもらったんです。
辰巳:(ヒトミのかつての醸造家)岩谷さんの弟子みたいな?岩谷さんも独立してイエローマジックワイナリーを山形県でやってますけどね。それぞれが移動しながらどんどんどんどん日本のワイン界が広がってる・・・。その広がってる中、中本さんは非常に”異色な”経営者ですよね?
中本:ハハハ、ワインのこと聞かれると困ったなぁ思ってましてね爆。
辰巳:困ったなぁってこっちも困ってしまうやん笑。で、東京では3番目のワイナリーでしたね?先月(5月)越後屋さんをゲストで放送したんですけど、1番目はその東京ワイナリー、次に清澄白河のフジマル醸造所ができて、ここができて、それからブックロード、その次は今月オープン予定だった渋谷・・・。
中本:そうなんですよ。醸造免許取れたんですけどね、フタ開けたら「まだやったらアカーン」言われてね笑。まぁ大手のデベロッパー(三井不動産だそうです)さんの「宮下公園」の再開発の・・・だったんですけどオープンが遅れてまして。
辰巳:ほんとはこの収録もその渋谷からやるつもりだったんですけど、コロナ騒動で長引いて今回は深川にお邪魔したと。
中本:はい、申し訳ございませーん。
辰巳:その渋谷が東京で5番目のワイナリーに?
中本:そうみたいですねー。ただ、今税務署さんも忙しいみたいでですね、”永久免許”って普通3年経たないともらえへんのですよ。
その3年間は仮免許みたいなやつで、毎年検定みたいのがあって、それクリアすると4年目でようやく本免許がもらえるんですけど「もうえぇからあげるー」言われてね。(本免もらえちゃったらしいです)
辰巳:税務署も担当者にもよるんですけどね。「ワイナリーやるなら’今’ですよー」とね。ホントにダァーっとできてます、増えてます。
中本:税務署さんが「ナイショですけどー」言うてますけど、”オラが街にワイナリーができる”と言うのは税務署長にとってはものすごく光栄らしく、だから”渋谷(にワイナリー)”なんて考えてもなかったみたいで。だからムチャムチャ喜んでもらえた。。。
辰巳:渋谷は大きな税務署ですしね。
中本:そうです。だから「たくさん税金納めますー」言うて笑。
辰巳:せっかくだから飲みながら話しましょうか?あれ、中本さんは?
(ワイン登場)
長野県安曇野市産メルロー無濾 2019
中本:僕今日クルマなんですよー(なんと!)ブドウジュースもらいますー。
辰巳:じゃちょっといただきますね。
(辰巳さんだけ飲みます)
中本:これはメルロー、長野・安曇野の。
辰巳:もっと軽いかと思ったら結構ドッシリしてる、凝縮感のある・・・。長野って結構酸味があるんだけど、これはそれほどとんがってない。
中本:酸味だけは嫌やったんで「抑えてやぁ」言うてやったんです。
辰巳:早飲みは効きそうな感じですよね?
中本:うちは”物づくりより事づくり”言うてましてね。都会でワイナリーやってる中で、僕みたいなワイン知らん人にも来ていただくっていう。ワイン造ってるところも見ていただくんですけど、収穫も見ていただこう言うことで、30人ぐらいをマイクロバスに押し込めて笑。程のいい労働搾取ですよね笑笑。お金ももろぅてんねん笑笑笑。
辰巳:で、労働もしてもらって”喜び”を持って帰ってもらうっていう・・・。
中本:翌日ここ(深川)で除こう・破砕をしていただいて、醸して、そのワインが出来上がったら、その参加者さん、醸造者、生産者さんを呼んで、ここでみんなでカンパイして、さらにお金をいただいてっていう笑笑。
辰巳:えー、大阪のね、商売人です笑。でもそういう視点も大事なんですよね。ワイン単体を売っていくよりも、ほんと”事づくり”ってのは大事なことで。あとはワインってのは観光にリンクしやすいものですからね。日本ワイン業界の中のー、どっちかいうと’中心’には居てないんですよね?
中本:ムチャムチャ端っこでええ。
辰巳:端っこというより「あのアンチャン何してんの?」ぐらいのねー。別にいじめられてへんでしょ?笑
中本:大阪の某こだわりワイナリーのおっちゃんに怒られましたねー。「お前ブドウ作ってへんやんけー!」って。
辰巳:この深川に続いて、大阪の伊丹空港内にワイナリーを作った。世界初のエアポートワイナリー!空港で荷物をターンテーブルから降ろして出口でたとこで見上げると、ポっとそこにワインのタンクが並んでる。あれはえぇアイディアで、ついつい行ってしまうというね。
中本:ありがとうございます、関西には空港3つありましてね、伊丹、関空、神戸。その3つ、今経営が変わってオリックスさんと、フランスのバンシーっていう空港ばっかりを経営しているチームが運営してるんです。その副社長(フランス人)がボルドー出身で私が「ワイナリーするー」言うたら「何、日本のワイン!?オモロイやないかー」っとフランス語で言うたらしいです笑笑。うちお金なかったんでね、その会社にお金まで出していただいて”据え膳上げ膳”でムチャムチャ儲かってたんですけどね、もう2月以降からっきしで。
辰巳:飛行機が飛ばへんようになったからねー。
中本:今JALで75%、ANAで85%減便してますから「誰も来ぃへん」。着いたらそのまま空港でメシ食おうとかワイン飲もうとかいう人が今ぜんぜんいらっしゃらない。逃げるように空港出て行かれるので「551」の肉まんしか売れてない笑。
辰巳:我々(関西人)は「豚まん」言うんですけどね。今東京の文化にも進出してきて。あれは「肉まん」ちゃうやろ、ぜっったい「豚まん」やろ!?笑笑
中本:今売上1/50ぐらいですね。
辰巳:今までいかに儲けてたかってことですね笑。
中本:「どうしよ、何買お?」おもてたんですけどね笑笑。
辰巳:ま、国内便はそろそろ戻ってくるでしょ?
中本:そうですね。伊丹は1500万人の乗降客で、そのうちの4割は羽田(便)なんですね。だからビジネスのお客様ばっかりなんです。飛行機乗り慣れてる人が多いからフライトのステータス高い人(ダイヤモンドやゴールドなど)の列の方が並ぶんですよね。
辰巳:そうそうそうそうそう、優先搭乗口の方が並ぶ、確かに。
中本:そのエアポートワイナリー、今は時短で営業再開してるんですけど、1日の売上1万円とかですよ苦笑。もうビックリする。もう何やってもダメ。スタッフが「いかに空港に人いないか」っていう写メ送ってくる笑。
辰巳:ここはちっちゃなショップが入り口にあって、その奥にちっちゃなタンクが5つあって、そこで造ったワインをその場で飲めるっていうね、いい店なんですよねー。
中本:回転数で言うたら7回転するぐらいだったんですけどねー。40席1日280人ぐらい。
辰巳:じゃぁ半年ぐらい休んでも大丈夫じゃ?笑
中本:アカンのですよね~⤵︎笑笑。今政府のセイフティーなんちゃらー(セイフティーネット保証制度のことでしょうか?)とかの金策に走ってます。
(話ワインに戻ります)
辰巳:それにしてもこのワイン、新しい(ヴィンテージ)のになかなかいいですよね。樽も使ってないんでしょ?(中本:頷)赤ワインっていうとね、とかく樽使うもんだと思い込んでるけど、これは樽を使わんでいい、あんまりズシンとこない、でもきちんと果実味がある赤ワイン。
中本:これは全部で900本造ってるうちの600本をスティルで、残りの300本は樽に入れてます。
辰巳:へぇぇ。2019年ノンフィルター。去年の秋に収穫して春に瓶詰めしたばっかりでしょう?美味しいゎ、ビックリしたなー。ラベルもね、毛が3本生えた”ワインマン”っていうキャラクターのポップな感じで。どっちかっていうと遊び感覚のイメージが強くて、”本格的なワイン”って感じが今までなかったんですよ、ゴメンナサイ!(中本:爆)でもだんだんよくなりましたよね。オープンしてどれだけ経ちます?
中本:5年目になりますね、6月8日で5周年。早いもんですねぇ。なんとか生き残ってるって感じですね笑。
辰巳:なんとかってことはないでしょ。これからどんどんどんどん事業を広げていこうっていうね。渋谷のワイナリーも夏ぐらいには?
中本:7月の上旬ぐらいかなぁ。(注:「RAYARD MIYASHITA PARK」は7月28日より順次オープン。「渋谷ワイナリー東京」は8月4日オープン予定。詳細はこちらからhttps://www.miyashita-park.tokyo/topics/?p=346)あと6月9日に豊洲に「ふさみ食堂」というワインバルがオープンします。ららぽーとの中なんですけど、もともとあるショッピングモールの3期ということで、駅直結の1万人規模のオフィスビルの1階に。和歌山出身の祖父母(ふさいちさんとみさえさん)が大阪の生野に出てきた昭和30年代にこの名前で食堂をやったらしいんですよ、私まだ生まれてへんのですけど。それをリブランディングいうことで復刻させようと。「おじぃちゃんおばぁちゃんごめんねー(名前)勝手に使ってー」って。
清澄白河に発酵食品とワインのセレクトショップがありましてね、そこは「iCHiMATSU ya(市松屋)」という発酵食品とワインのセレクトショップ。ふさみ食堂はその発酵食品を使った料理とワインの店なんです。
辰巳:皆さんはっきり言って東京オリンピックに向けてこれから”どうやって儲けようか”ってところで・・・。
中本:今は”どうやって生き延びようか”笑。
辰巳:でも(このコロナ禍は)いいチャンスと捉えて・・・。
中本:えぇ時期って言えばえぇ時期なのかなぁ。幸か不幸か、飲食店って人が集まらへんのですよ。アルバイト募集しても来てくれへん。何十万円もかけて募集広告かけるんですけど2~3人しか来ぃへん。でも渋谷と豊洲は150人来てるんですよ。作業担当が「書類選考できるんですー」と喜んでました。そういう意味では、ムチャムチャしっかりした子が来てくれて。
辰巳:そりゃ株でも買っとかんと笑。
中本:なんなら会社ごと買うてください笑笑。
辰巳:(会社名)スイミージャパンでしたっけ?
中本:もともと貿易会社やったんです。このマスクもですね、一応自社製。中国で10万枚も作ったのに今値段がどんどん下がってて、もうどうしよー汗。みんなに配るしかないと思って今日お配りしたんですー。
辰巳:マスクあげるから店に来てくださいってね、そんな感じ?
中本:「5000円飲んだらプレゼント」にしようかー、思ってます笑。
辰巳:ほんとねー、しゃべりは上手いし変わったワイナリー経営者。ナイショにしとこうかと思ってけど、実はラジオの番組も持ってはるんですよね?
中本:「粋なワイン物語」(東京深川オマツリラジオ)いうんですけど、ワインの話一切しない笑。
辰巳:ちょっと時間なくなってきました。続きはまた次回。今日のゲストは深川ワイナリーのオーナー?オーナーってよりシャチョーって感じですよね笑。中本徹さんでしたー。
辰巳・中本:ありがとうございました!
News Data
- 八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」
2020年6月4日放送分
- ワイナリー
(株)スイミージャパン
主にワイナリー・飲食店をプロデュース。2015年の深川ワイナリー、2018年の大阪エアポートワイナリーに続き、2020年には宮下公園跡に渋谷初のワイナリーをオープン。また、地元(深川)の大学と共同で「海底熟成ワイン」を実験するなど、多角なジャンルで展開している。