八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」2020年3月19日放送分

前回に引き続き、ゲストは安心院葡萄酒工房(九州・大分)のヴィンヤードマネージャー、古屋浩二さん。ほろ酔いの辰巳さんが「好きなブドウ品種」をとことん突き詰めます。全2回後編。

辰巳:今回のお客様は前回に引き続き九州の大分県、安心院葡萄酒工房ヴィンヤードマネージャーの古屋浩二さんです!二人とも結構酔っ払ってます・・・ぇ、私だけ?
(同日、この収録前に「ピノ・ノワールサミット」というイヴェントがあり、仕事とはいえ2人とも結構飲んでおります)

古屋:いえ、私も程よく酔っ払ってますから大丈夫です笑。

辰巳:いや、こういう番組はね、ある程度酔っ払ってた方が本音を聞けていいなと思ってましてw。

古屋:あんまり心底まで出してくると危ないですよ私も笑。

辰巳:でも「酔っ払ってて失言しちゃいましたー」ぐらいとんがったこと言って欲しいなぁ。

辰巳・古屋:よろしくお願いします!

辰巳:今日は東京の日本橋のコレド室町の中にありますヴィノシティ・マキシムで収録してます。なかなかいい店ですよね。

古屋:そうですね、雰囲気よくて。ぜひうちのワインも使っていただきたいですね。

辰巳:安心院さんのワイン、人気あってなかなか難しいんじゃないですか?

古屋:確かにですねー、8割が大分県で消費されてる状態なんですよ。

辰巳:素晴らしいですね。本来は地産地消、地元でどれだけ愛されるか、飲めるかが大事なことだと思うんで。

古屋:首都圏からもご要望いただくんですけど、ワインがない状態なんです。

辰巳:そうですかー驚!
ところで、古屋さんは元々ワインが好きだったんですか?

古屋:好きですね。

辰巳:前回元々はカクテル好きって話を伺いましたが、今は普段からワイン飲む機会多いんですか?それともビールですか?焼酎ですか?

古屋:8割ワイン、1割ビール、1割焼酎。ビールというのは喉が渇いた時ぐらいですかね。

辰巳:その8割のワインのうち自分の造ったワインってのはどれぐらい?ワインの造り手って自分のワインを飲む人とそうじゃないワイン飲む人両方いますよね?

古屋:いろんな地域のワイン、海外のワインの方が多いですね。イタリア、フランス、南米・・・。

辰巳:その中でもどんなワインが好き?

古屋:どうですかねぇ。家で食べる食事、和食。うちは野菜主体の料理が多いんですよ。そうなってくるとさっぱりした白、ソーヴィニョン・ブランとかね。

辰巳:ソーヴィニョン・ブラン好き?

古屋:好きですよ、白では。

辰巳:ソーヴィニョン・ブランとシャルドネだったら?

古屋:2つ並んでたらソーヴィニョン飲むでしょうね。

辰巳:ソーヴィニョンとアルバリーニョだったら?

古屋:あーーーだったらアルバリーニョいくでしょうね笑。

辰巳:甲州だったら?

古屋:甲州とソーヴィニョンだったらソーヴィニョン。私も甲州は造ってるんですよ、造ってるんですけど。。。
もしシャルドネ飲むんだったら南仏の方のシャルドネにグロ・マンサンとかブレンドした、ちょっとポッテリしたワインも好きですね。

辰巳:それはワインも女性も共通点がある?

古屋:それは年取ってくるとそうなりますね、ぼちぼちポッテリした感じが笑。

辰巳:年齢的にはどれぐらいが?

古屋:やっぱ40・・・爆。自分も50手前なもんでちょっとキャピキャピした感じはもう・・・笑笑。

辰巳:なんでこんな話してるかっていうと、ワイン(に関して)も年取ってくると好みが変わってくるじゃないですか?フレッシュでピチピチしたワインよりも、ある程度しっかりとしたというか地に足ついたというか、熟成したワインが美味しいと思うようになる。そういうの古屋さんにもありますか?

古屋:なんか女性とワイン掛け合わされてる問いな気がしてドキドキしてるんですが爆。でも経験値が増えれば増えるほど変わってきますよね、何を求めるかっちゅところで。

辰巳:ワインてのは嗜好品だから、絶対値ってないじゃないですか。コンクールとかありますけど、結局は”自分は何が好きか”でしょ?。

古屋:最終的にはそこになると思います。

辰巳:さっきのシャルドネよりもソーヴィニョンが好きで、それよりもアルバリーニョが好きでってのは本音でいいと思います。じゃ、赤ワインでは?

古屋:赤ワインねー、難しいですねー。昔はどっしりした、ギシギシタンニンがあったものを目指してたんですけど、今は果実感のある、花に囲まれてる、花畑にちょこんと座ってるような(照れ笑いしてます)繊細な(のが好き♡)。

辰巳:じゃ、好きな品種一つだけと言われたら?

古屋:これがなかなか出会わないんですよねー。やっぱりピノ・ノワールは好きな品種の一つです。だけど相当飲んで回っても「これは美味いな」ってのにはなかなか当たらない。

辰巳:僕がよく表現するのは「ピノ・ノワール好き、ブルゴーニュ好きはマゾ」。一回だけ出会ったおいしぃぃピノ・ノワールが忘れられず、それ求めて何度も何度も(ピノ・ノワールを)飲むんだけど、なかなか行き着けない、みたいなね。

古屋:それはホントあるんですよ。

辰巳:今日は、そのピノ・ノワール、と、サンソー(フランス原種の品種)を掛け合わせた”ピノタージュ”、南アフリカでポピュラーに造られてる品種のワインをお持ちいただきましたので、飲みながら話したいと思います。

(ワイン登場。古屋さんが抜栓します)

安心院 諸矢 PINOTAGE 2017

辰巳:はい、ナイスです。いい音がしました。

辰巳・古屋:カンパイ!!!

辰巳:んーーー、なんと表現したらいいかわかんないですけど、最初から美味しいんですよね。ピノ・ノワールの気難しさがないからいいなと思う。南アフリカではかなりの量作られていて、値段も安い品種なんですけど、日本ではどうなんですか?

古屋:どうなんでしょうね、日本ではまだ造ってるメーカーが・・・。

辰巳:他どこか?

古屋:1年ぐらい前にどこかが”リリースします”ってのを見たことあるんですけどちょっと覚えてないですね。うちもね、ピノ・ノワールが難しいって話が先行してたもんで、それだったらピノタージュ植えてみようか、って。日本で外国のブドウを植えると、外国の”パワフルさ”が”繊細さ”に変わってくるんで、ピノタージュはより繊細になってピノ・ノワールみたいになってこないかなって思ったのも要因の一つでした。

辰巳:でもだいぶ違いますよね。

古屋:違いますね。

辰巳:この品種、日本では作りやすいんですか?

古屋:栽培の特性については問題は感じてないですね。8月の末から9月の上旬に収穫もできるし(割と早い方)。九州でブドウ栽培するにあたって、7月中旬に梅雨明けたら9月の中旬までほとんど雨降らなくなるんで、その間に収穫できるそのほかの品種と収穫時期をずらせれば作業効率も良くなるし、醸造の作業も分散できるので、ピノタージュもその一つとして広げてはいます。

辰巳:量は採れます?

古屋:結構採れますよ。棚(仕立て)で反収1トンかちょっと切るぐらいですね。

辰巳:反収っていうのは一反(10アール)あたりどれだけブドウが採れるか、イコールどれだけお金になるか。ワインってのは元々農業ですから生産性ってのは大事ですよね。(収穫量)を少なくしていいブドウ作って高く売るか、ある程度安くてもいいから量を作って信用を得るか、、、難しいでしょう?

古屋:難しいですね。収量減らせば減らすほどその分品質が上がるかっていうとそうでもなく、実はね。気候だとかその時の条件に合わせてブドウの管理がしっかりと出来るか出来ないかっていうところだと思います。常日頃からブドウの樹と向き合ってやり合わないと。反収じゃぁ100kgにすれば10倍いいワインができるかっていうとそうはならない。そこはね、経験値というかモノいうところだと思いますね。

辰巳:古屋さんの目指してるワインとは?

古屋:どちらかというと結構クリーンな果実感というかね、醸造からくる香りっていうよりも、果実が持ってるものが前面に出るような、そういった造り方をやりたいなとは思ってますね。自然派を否定してるわけじゃないんだけども、うちとしてはあんまり造ってないです。もしやるんであれば、天然酵母を使うんであれば、どうにか自分たちで取り出して、それを醸造しながら増やしていきたいとかね。そういったことはやりたいと思いますけど。”自然任せ”ってのではなく、ブドウの個性をいかに引き出すかっていう、造り手としての想いはそこには込めたいですね。

辰巳:(改めて)一番好きなブドウはなんですか?

古屋:品種?うーん、どうですかねぇ、難しぃなぁ。今日はピノタージュですけど、じゃぁこれがいちばん美味しいかっていったらね。うちは小公子とかのヤマブドウ品種も造ってますけど、あれも結構スパイシーで面白いワインなんです。その時々の飲むシチュエーションだとか飲むタイミングだとか、ふふふ。私が普段どんなワインを飲んでるかということなら・・・。

辰巳:そう、自分が栽培云々ではなく個人的に好きな品種。ちなみに私は昔からこの質問されたらリースリングと答えてるんですよ。リースリング大好き、最高のブドウだと思ってる。辛いのもあるし甘いのもある、泡もいいしね。これは日本では(栽培が)難しいだろうけどやっぱり高貴なブドウだなと思う。赤だったらやっぱりヤマブドウなんですよ。もうどんどん、小公子も含めてね、ヤマブドウにシフトしてる笑。

古屋:小公子はいいですよ。うちの中では今は、今はですけど小公子がベストだと思います。

辰巳:(あまり造り手として優劣つけちゃいけのいのかもしれないけれど)こういう話が聞きたかった!日本ワインの中で小公子はものすごい大事な品種だと思ってるんですよ。*牧丘の**澤登先生のところで苗木分けてもらったんですよね?
(*現在の山梨県山梨市牧丘町 **澤登晴雄氏:ヤマブドウ品種研究者の第一人者。小公子は澤登氏が中国、ヒマラヤ、日本などのヤマブドウを交配させた品種)

古屋:そう。今年間10トンぐらい採って(収穫して)ますかね。

辰巳:そんなに!?10トンっていうとね、本数としては1万本ですよね、すごい!

古屋:この品種はねぇ、世界にない風味というかなんというか、、、。

辰巳:そうなんですよ。今日は(この収録前に)「ピノ・ノワールサミット」というイヴェントがあったんですけど、今度は「ヤマブドウサミット」したいなと思うし「ヤマブドウコンクール」を開催したい。それで日本のワインの中で’何が通用するか?”が知りたい。ヤマブドウ系、これから日本で赤ワインを語る中で避けて通れない品種になってくるんじゃないかと思います。そういう品種を、しかもかなり大量に造ってるって素晴らしい!

古屋:多分国内では量はいちばん造ってるんじゃないですかね。

辰巳:なんか小公子の話に偏ってしまいましたが。今、日本ワインってのはまだまだ草創期にすぎないんですよね。やりたいことにトライできてるところはまだ少ない。これから各地でいろんな醸造方法考えたワインが出てこないとね。
安心院ワインさんは九州のトップランナー。あと都農ワイン、熊本ワインが走ってますけど、そのほかにいくつぐらい?

古屋:今は20ちょっと切ってるぐらいじゃないですか?

辰巳:そんな中でも安心院さんのワインは、古屋さんの個性というか、どういうワイン目指しているか、仕事の色がきっちり出てますよね。

古屋:自分ではあんまり感じてないんですけどね笑。

辰巳:面白いことやってるけど、それがかなり高いレベルでやってるなーというのがワタクシの総括でございます。

古屋:ありがとうございます!

辰巳:本日のお客様は安心院葡萄酒工房、古屋浩二さんでした。

辰巳・古屋:ありがとうございました!

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八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」

2020年3月19日放送分

ワイナリー

*三和酒類(株)安心院葡萄酒工房
1958年設立の大手焼酎メーカー。iichikoブランドで名を馳せているがワインに着手したのはそれ以前の1971年から。安心院町にワイナリーを構え、その近隣に自社畑を増植しながら品種の可能性と品質向上に取り組む。
http://www.ajimu-winery.co.jp

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