日本のワインを愛する会提供「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2025年9月25日OA

2025年9月のゲストは長野県坂城町の坂城(さかき)葡萄酒醸造株式会社、成澤篤人さんです。
ワイナリー運営、レストラン経営のほか、今や長野県のワイン業界を牽引する立場の成澤さん。現在の活動は?これからの課題は?
最終回はメルロー「猫なで声」で乾杯!(全4回 4回目)

辰巳:9月最後の週になりました。今月のお客様は長野県坂城葡萄酒のCEO、成澤篤人さんです。
そしていつも通り、井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:明後日(9月27日)お誕生日?

成澤:そうっす。

辰巳:幾つになられるんですか?

成澤:49です。

辰巳:「長野のワイン王子」もとうとう49になられますか笑。今や「ワインの王様」で「信州ワインバレー構想推進協議会会長」。
すごいエラいんでしょ?

成澤:偉くないですよ、雑用雑用笑。

辰巳:僕も原産地呼称委員会の審査員をもう20年以上やってますが、ここだけの話、いろいろ大変なこと多いんです。
立場上言いにくいんでしょうが・・・。

成澤:長野もワイナリーが増えてきましたけど、一般の方からすると、まだまだ『ワイン産地』という認識があまりない。

辰巳:そうですねぇ。

成澤:もしかしたら山梨のワイナリー件数超えて、日本一になる可能性はあるわけで。

辰巳:それも時間の問題ですね。でもその前に北海道が山梨長野も抜き去るかもしれないという、それぐらいのポテンシャルもあるみたいですけど。立場的にはこれから長野のワインをどうしていこうかなぁとか考えてることありますか?

成澤:そうですね、やっぱり小さなワイナリーが多いので全国的な流通にはなかなか乗せられないんですけど、「信州ワインバレー構想2.0」としては、「ワインには旅をさせない。人に旅をしてもらって長野でワインを楽しんでいただく」。

辰巳:本来はそこなんですけどね。日本ワインもそんなに量はないから、サンプル的に輸出して海外のお客様に飲んでいただくのもいいんですけど、基本的にはインバウンドのお客様に’日本で’飲んでいただくのがいちばんだと思ってますけどね。

辰巳:ちょっと乾杯するの忘れてました。お誕生日にはちょっと早いんですけどHappy Birthday!

全員:カンパ〜イ🎶


【猫なで声 2024】
https://sakakiwine.myshopify.com/products/猫なで声2020

辰巳:今日も赤ワインです。これも先週と一緒で色味にガツンという黒みがなくて、飲んだ感じもわりとソフトな感じがします。

井村:しっかりとしていながらも軽さもあって。初心者の人でも飲みやすいと思います。

辰巳:これはどういうワインでしょうか?

成澤:メルローから造った「猫なで声」という。

辰巳:これは初期の頃から造ってるんでしたっけ?

成澤:そうですね、メルローはけっこう多く造ってるんで。

辰巳:2018年にワイナリー始めて7シーズン、18、19、20、21、22、23、24、今年が8回目の仕込みってことですね。
今仕込みの真っ最中というところで、お忙しいところ来ていただきありがとうございます。
このワインは「猫なで声」ですが、ほかにはどんなネーミングがあるんですか?

成澤:「猫パンチ」とか笑「猫じゃらし」、あとは「Miau〜ミアオ〜」・・・

辰巳:猫使った日本語ってもっとありそうですけど(←’化け猫’’借りてきた猫’とかですかね )

成澤:なんかいいのあったら教えてください。

井村:「吾輩は猫である」。

成澤:それ、いちばん最初の委託醸造の時のヴィンテージで使ったんですよ。「吾輩は猫である、名前はまだない」で。

辰巳:猫かぶりは?

成澤:それもいいですね。でもまだ新しいワインができてないんで。

辰巳:「ツンデレなんだけど、実は・・・」みたいなワインね笑。
「猫の恋」って知りません?

成澤:ぁ、知りません。

辰巳;俳句の世界で、確か季語であった気が・・・。ちょっと盛りがつく春の季語かな。他にもいろいろあると思いますが。
さ、シェフ、今日のお料理はなんでしょうか?

井村:子羊のローストに夏野菜を添えてます。黒っぽいソースはナスを一回焼き込んだピューレです。香ばしい味を一緒に楽しんでいただければ。

全員:いただきます🍴🍴🍴


【子羊のロティ プロヴァンス風】

辰巳:メルローだから?今日羊を持ってこられたのはどうしてですか?

井村:夏野菜との相性を考えた時に、まず羊は非常に相性いいので。夏に食べたくなるというか。

成澤:僕のところの(子羊の)部位は、ちょっと脂身が少ないところだったんですけど、あんまり脂身の多いところよりは赤みの方が合うかなって思います。

辰巳:なるほど。このピューレもまたいいですね。

井村:これをつけることで香ばしくちょっとグリルしたかの味に変わるんで。

辰巳:このワインはどれぐらい樽を使ってるんですか?

成澤:この年は、だいたい6割ぐらいだったと思います。

辰巳:今月もワインを毎週いただいてますが、毎回樽の使い方がすごく奥ゆかしいというか、上手に使われてますよね。

成澤:樽感を前面に出すよりは、、、。この2024年はヴィンテージ的にはちょっと弱かった年なんですよ。

辰巳:ちょっと色も薄い気がしますが、これは毎年ではないんだ?

成澤:この年は病気がすごい出ちゃって、完熟前にしょうがなく穫っちゃったんで。

辰巳:では最後のリクエスト曲を。今日は何にしますか?

成澤:レッドウォーリアーズでー「ワインアンドローゼス」という曲を。

辰巳:「酒とバラの日々♪」みたいな?(←1962年のアメリカ映画でアンディ・ウィリアムス氏が歌っています)

成澤:坂城町、実はバラも有名なんですよ。

辰巳:ぁ、そうなんですか、へぇぇ。その「ワインアンドローゼス」は坂城町のテーマソングではないですよね?笑。

成澤:、ではないですけど😅

辰巳:東京に4年ぐらいいましたが、ちゃんと坂城に戻って坂城でワイン造ってる地元愛溢れる成澤さんの最後のリクエスト曲。
ではお聴きください。


RED WARRIORS「Wine & Roses」(1988年)
https://www.youtube.com/watch?v=P-O3U4Wu07k&list=RDP-O3U4Wu07k&start_radio=1

辰巳:坂城はバラが有名なんですか?

成澤:バラも有名、あとは日本刀も有名なんです。

辰巳:日本刀!?それは知りませんでした。

辰巳:ワイナリー始めて8年目に入るところですけど、どうですか?手応え、経営状況とか?

成澤:そうですね。経営状況のほうは飲食業態はコロナがあったのでほんとに大変でしたよね。ようやく今回復してきたって感じです。

辰巳:あれでかなり変わりましたよね。飲食業界もそうですし我々も。そうかそうか、それを乗り越えて。
その時に経営状態とかをきちんとチェックしてたところは、今逆に利益率上がった、というのもありますけどね。

成澤:まぁ・・・僕らも何とか生きていけるぐらいには笑。

辰巳:ワイナリーの経営者として、そして長野のワインの牽引者として今後どうしますか?

成澤:一つはワインツーリズム、もう一つは他産業との連携みたいのを考えてて。ワインだけだとまだまだきてくれるお客さん少ないんですけど、例えば。日本酒は新潟に次いで蔵の数は2位なんです。
そういうお酒の醸造所の数足すと長野県ってダントツ1位なんですよ。それぞれの蔵の規模は小さくて、しかも山が分断してて大きく流通できなかったこともあるんですけど。

辰巳:そんな話も聞いたことあります。

成澤:あとは今「発酵バレー長野」っていう味噌とか醤油とか漬物、納豆、チーズ・・・の発酵8団体が活動してるところです。

辰巳:発酵8団体っていい響き。

成澤:長野って長寿県なんです。その発酵食品の恩恵で皆さん長生きしてるというプロジェクト。

辰巳;どなたが中心でやってるんですか?

成澤:初代の会長はマルコメ味噌の青木社長が。あとは日本酒真澄の宮坂さん。

辰巳:マルコメ味噌の本社はどこでしたっけ?

成澤:長野市です。その青木さんたちが「長野県は発酵食品がある。これを”長生きをする”ことも含めて団体でPRしていこうじゃないか」と。

辰巳:面白い切り口!

成澤:それがおととし立ち上がったんで、ワインだけじゃなく、皆さんと手を取りながらPRできたらなと思ってます。

井村:そういう動きがあるのは素晴らしいと思います。

辰巳:料理人としても日本の食文化の中にいるわけで、日本の発酵食って独特ですよね?

井村:独特です。日本と海外の発酵文化ってやっぱりちょっと違う。日本の発酵文化って昔からあるので、なんか親しみがある反面、実は目新しいものもたくさんある気もします。

辰巳:長野、デカい県ですからね。いろんな生産地がある中で、(ワインでは)塩尻という一大産地があって、(我々)外から見てると東御周辺にもちっちゃいワイナリーがいっぱいできてる。とはいえ、8割は塩尻の地域でしょう?

成澤:生産量でいうとそうですね。

辰巳:だからもっと(ワイン業界の中だけでも)一体感があってもいいと思うんですけど。

成澤:一体感はけっこう出てきてる気はしますけど。長野県ワイン協会のほうにも入らしてもらってるので。

辰巳:副会長でしたっけ?

成澤:こちらは理事。イヴェント担当という役割なんで、僕が企画して「こんなことやろう」みたいなことやってて、そういうイヴェントで集まる機会があるのでわりとみんな仲良いですよ。

辰巳:だったらいいですね。一緒にやろうとしても入らなかったりする人もいたり・・・。

成澤:そういう人もいますけどね笑。

辰巳:長野県の原産地呼称の審査もエントリーするワイナリーの少なさ!それぞれの団体に必ず加入しなくちゃいけないってこともないんでしょうけど、クリアしなきゃいけない問題はいろいろあるんじゃないですか?

成澤:はい、あると思います。

辰巳:もうちょっといろいろ話したかったんですけどね。ナルちゃんの恋愛話もできなかった笑笑。(今更ながら)結婚して何年ぐらい?

成澤:10年ぐらいですかね。友達の結婚式で出会いました。奥さんは愛知県の一宮出身。

辰巳:それは初めて聞きました👂じゃ、中日ドラゴンズファンじゃ?

成澤:それを洗脳して笑笑(←ナルちゃん長野県民ですが熱狂的な阪神ファンです)

辰巳:坂城の町はこれからもっともっと繁栄しそうですか?

成澤:そうですね。毎年6月ぐらいに「坂城駅前葡萄酒祭」っていうのをやってまして、その時はあんな小さい街に2000人ぐらい来てくれます。

辰巳:すごいことです!ワインは人を集める、人とのつながりができる」。

成澤:その可能性はすごく感じてます。

辰巳:地元にすごく貢献されてると思います。これからは”長野ワインの王様”として、

成澤:(王様は)関係各所に怒られる〜😂

辰巳:花岡さんは?(←松本出身のソムリエ 花岡純也さん)

成澤:ワイン構想の副会長です。

辰巳:以前の北の王子(成澤さん)、南の王子(花岡さん)と呼ばれてた2人が今はタッグを組んで長野ワインを盛り上げてます。
これからも注目していきたいと思います。

全員:ありがとうございました!!!

News Data

日本のワインを愛する会提供 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2025年9月25日放送回

ワイナリー

坂城葡萄酒醸造
https://sakaki.wine

収録会場

収録会場【アネーリ大宮】
https://anelli-omiya.smtk.jp

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