ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2024年6月13日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年6月のゲストは山梨県甲府市の「シャトー酒折ワイナリー株式会社」常務取締役・チーフワインメーカー、井島(いじま)正義さんです。
今やベテランワインメーカーの井島さんですが、入社当時は青梅でせっせと梅酒造り。ワイン造りの面白さを知ったのは増子さんとジャズ?
(全4回 2回目)

辰巳:6月のお客様は山梨県甲府市の「シャトー酒折」井島正義さん。そしてこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まずは乾杯しましょう、今日は白ワイン。カンパ〜イ🎶

これはどういうワインでしょ?

【甲州ドライ 2023】
https://www.sakaoriwine.com/product/甲州ドライ/

井島:今回も甲州。前回は「キュヴェ・イケガワ」というトップキュヴェでしたけど、今回は逆にいちばんスタンダードな「ドライ」。シュール・リーは若干、税別1800円。

辰巳:これぐらいの値段で欲しいですよね〜。前回の「キュヴェ・イケガワ」は?

井島:あれは・・・5000円。

辰巳:この違い。でも、いろいろ差別化していかないとね。

井島:はい、この「甲州ドライ」につきましては、山梨県内の農協さんからいろんなブドウをいただいていて、いろんな生産者さんのブドウが混ざってるんです。

辰巳:生産本数は?

井島:だいたい18000本ぐらい。これがいちばん生産本数が多い、ベーリーAよりも。

辰巳:酒折さんといえば”甲州”と”ベーリーA”という2本柱のイメージがありますけど、シェフはいかがですか、このワイン?もう丸4年この番組やってますから・・・。

井村:甲州の香り、わかってきました笑。すごいミネラリーでいろんなフルーツの香りがあるような気がします。青リンゴや夏のトロピカルな感じ。

辰巳:酸味もちょっとありますけど補酸は?

井村:してないです、これは産地の違い。特に早摘みされてるわけではないですけど、山梨県の標高の高い穂坂地区のブドウもブレンドされてるし。

辰巳:キリッとしていながらも奥行きもある。あらためて甲州っていいな♡落ち着きます。井村シェフはフレンチ畑なのに最近白ワインといえば「甲州」笑笑。今回のお料理はなんでしょう?

井村:泉州の水茄子です。あとは地元八王子の「りんか」っていうフルーツトマト。ビーツのソースと柚子胡椒を少々。

辰巳・井島:いただきまーす!!

【泉州産水茄子と水蛸のサラダノワゼット 柚子胡椒風味】

井島:水茄子の水水しさと甲州がすごく合う!

辰巳:ミョウガがいいアクセントになってる。美味し♡

辰巳:さ、前回は関西学院大学を卒業して、嫌々(?)「木下インターナショナル」に入りー、そして嫌々(??)関東に出てきてー、そして(東京の)青梅でリキュール造り?

井島:青梅で梅酒造ってました。

辰巳:そうかそうか、青梅は”青い梅”って書くくらいだから梅の産地だ。で、そこに(酒造)免許買収のため送り込まれた?

井島:「お酒造りができるんであればどこでもー」で、会社入ってわりとすぐ。だから(本社のあった)京都には住んでないす。1週間関西に帰ってあとは青梅、の繰り返し。

辰巳:じゃ、青梅に住んでたんすか?

井島:そうです。梅酒のタンクのうえに社員寮があってそこで寝泊まり。昔杜氏さんが泊まるようなところ。そこはリキュール専門だったんですけど、先代の社長が仕込みの時期は南部杜氏さんを呼んでたんです。

辰巳:・・・どういうことなんですかね?

井島:もうお亡くなりになってるんでちょっとわからない。で、そこに一人で住んで梅酒造り笑。

辰巳:休みの日は何してたんですか?

井島:青梅ではですね、多摩川の河原が非常に近かったもんでそこでビール飲んだり、周りに民家がないんで、楽器吹き放題笑。(←学生時代は軽音楽部でJAZZ三昧)

辰巳:それは”(会社から)飛ばされた”んじゃないんですか?笑笑。遊びたい盛りだったでしょうに。

井島:遊びたかったですけど、自分がやりたかったことをやらしていただいているので。月に何回かは同期に会いに東京に行ってましたけどね。

辰巳:青梅も東京ですよ爆。

辰巳:それにしても。梅酒ですからねぇ、お酒造りといってもあんまり実感なかったんじゃ?

井島:ま、、、リキュールも好きだったんで、”日本のリキュールを造る”っという想いでは行ってました。

辰巳:そのころはバブル絶頂期だったし、ワインも日本に出始めてきたし、そろそろワインー、とはならなかったんですか?

井島:お酒の中でワインがいちばん嫌いでした😳

辰巳:ぇw。なんで?

井島:「覚えることがたくさんあってめんどくさい」。つかみどころがないし。

井村:めんどくさいとは思わなかったすっけど、「難しそう」、なイメージ。

辰巳:「難しそうだから面白そう」じゃなしに「めんどくさい」?笑。

井島:そぅ、、、です。

辰巳:話は飛びますが。昔の醸造所を買収して免許取得した時にはもう「シャトー酒折」っていう名前が?”酒折”って山梨の中でも非常に古い地名で、ワイナリーの中にヤマトタケルのステンドグラスがあるのが印象的ですけど。入社してからこのワイナリーに行く気はなかったんすか?

井島:まったく。その当時は梅酒の方が面白かった、し、ワインは”発酵という微生物を扱う難しい作業”になりますんで。

辰巳:関西学院大学の経済学部卒ですもんね。それで会社の人事異動は断った?

井島:「ちょっ、ちょっと無理です💦」と笑。でも会社から「コンサルタントもちゃんとつけるからどうにかしなさいっ」。そのコンサルタントは、今栃木で*Cfaヴィンヤードをやってる増子(敬公)さん。
(Cfa Backyard Winery:https://www.winemaker.jp/)

辰巳:増子さんってそんなころからやってらしたんですか!?今70ぐらい?

井島:そのぐらいだと思います。

辰巳:増子チルドレンみたいな人も各地にいらっしゃいますけどね。じゃぁ井島さんは増子さんの弟子なんですね?

井島:はい。現場で一緒に仕事させていただいたのは3年ぐらい、その後もことある毎にお電話とか、あとは月に一回来ていただいてわからないことは全て教えていただきました。

辰巳:ワイナリーにはほかに社員は?

井島:3名。そのうち1人は畑に出てましたんで(醸造は)2人で。

辰巳:その頃からようやく日本ワインが。そして1995年に田崎真也氏がソムリエ世界一になって赤ワインブームが来たという。だから”上り坂”ちょっと手前でワイナリーができたわけですよね?

井島:だからバブルでいちばん大きな投資をしたし、そのあと会社としてすごい苦労したし、日本ワインとして’品質’も高くなかったんで・・・。

辰巳:そうでしたかー。ではその苦労話を聞く前にリクエスト曲を。

井島:このワインにはヘレン・メリルの「スワンダフル」という曲を。


Helen Merrill「’S Wonderful」(1955年)
https://www.youtube.com/watch?v=ot2ocxU3eIA/

辰巳:ジャズはいつから?

井島:ま、大学の軽音に入ってから。高校生の時に渡辺貞夫、ナベサダに憧れて、縦笛でやったりしてたんですよね〜。

辰巳:高校はどちら?

井島:宝塚高校。

辰巳:じゃ、宝塚歌劇団に興味あったとかは?

井島:学生の時は興味なかったんですけど、同級生だった女の子が歌劇団に入ったりなんかして、

辰巳:それは、、、「ちょっといいな」とか思ってた女の子?

井島:そうですね、可愛かったです♡笑笑。

辰巳:高校時代はどうだったんですか?公立の共学ですからね。(←関西の学校事情はお任せあれの辰巳さん)

井島:なにもなく、男同士で集まって、

辰巳:でもだいたいはモテたいから軽音学部に入ったりサッカーやったりとか、そういう時代じゃないっすか?

井島:そのころワタシは帰宅部だったんで、なんでなんでしょうかわからないんですけどなぜか帰宅部笑笑。

辰巳:でも好きな子はいたんでしょ?

井島:あぁそうです。その子はやっぱり可愛かった♡

辰巳:その宝塚に入った?

井島:ん、でも何もなかったです笑。出雲綾さんといって劇団には長い間おられました。

辰巳:ぁ、高校生の話になると関西弁になるんですね笑。

井島:そうなんです笑。

井島:この高校の時に「サックスやりたい!」って思ってアルトサックス🎷。だってナベサダですから。

辰巳:でも今日はナベサダリクエストではなかったですね。

井島:「ワインのイメージに生きる」、というのがありまして。かつて増子さんがど素人の私にワイン造りを教える一つのポイントだったんです。増子さんは私のジャズ好きを知っておられて「ジャズの楽曲とワインの一致がわかると『ワインの面白さがわかる』」と。ジャズってアドリブが非常に重要な要素。ワインは品種は一緒じゃないですか。それを造り手がどう解釈していくか、アウトプットしていくか・・・。

辰巳:楽譜では同じでもプレーヤーによってはぜんぜん違う。そういうイメージ?

井島:そうです。そういう教えをいただいて「ワイン面白い!」っとなった。

辰巳:増子イズムに引っ張られて何年目ぐらいで面白いと?

井島:いっしょに造ったワインが「今までとぜんぜん違うな」と思ったとき。甲州でした。それまでは木下(インターナショナル)で輸入していたワインとかは飲んでたんですけど、当時リーファー輸送ってあんまりなかったから吹いちゃってたりしてたんですよ。

辰巳:船便ですからね、赤道2回超えるし。

井島:そういう意味で、出来立てを飲んだ時には「ぁ、こんなに美味しいんだ♡」と。

辰巳:その感覚が”一生の仕事”になるってものすごく大事な瞬間じゃないですか、人生で?

井島:そうですね。でもブドウの状況は毎年違うわけで、JAさんとこのは兼業農家も多くて品種にバラツキが。逆にイケガワさんのところのは安定していて。

辰巳:今日は時間いっぱいになってしまいました。その話はまた次回ということで。

全員:ありがとうございました!!!

【お知らせ】
2020年7月から4年間、会場を提供していただいた「Villas des Marriages 多摩南大沢」が6月末、惜しまれつつ閉店されました。なお、番組は「プリオホールディングス(https://prior.co.jp/)」系列の店舗に会場を移して継続されています。
引き続きお楽しみください。

シャトー酒折ワイナリー株式会社
https://www.sakaoriwine.com/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2024年6月13日放送回

ワイナリー

シャトー酒折ワイナリー株式会社
https://www.sakaoriwine.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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