ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2024年6月6日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年6月のゲストは山梨県甲府市の「シャトー酒折ワイナリー株式会社」常務取締役・チーフワインメーカー、井島(いじま)正義さんです。
まずはトップレンジの「キュヴェイケガワ」の甲州で乾杯!山梨にはワイナリーが数多ありますが、実は地元出身でなく、しかも関西出身の造り手が何人かいらっしゃいます。井島さんもその一人。(全4回 1回目)

辰巳:はい6月になりました!今月のお客様は山梨県甲府市にある「シャトー酒折」のチーフワインメーカー、井島正義さんです!

井島:よろしくお願いします!

辰巳:正義って”せいぎ”って書くんですね。

井島:そうなんです、当時「月光仮面(1958−1959)」が流行ってたみたいで。(←「月光仮面のおじさんは、’正義’の味方よ 良い人よ〜♪」という歌詞が主題歌にあった、ような)

辰巳:昭和38年(1963)生まれ?その頃まだやってましたっけ?僕が(←1958年生まれ)物心ついた頃、まだやってて観てました。七色仮面(1959−1960)は?

井島:どっちも観てないですね。

辰巳:忍者部隊月光(1964−1966)は?風の藤丸(1964−1965)とかは?

井島:あーそれは観てました。あとは赤影(「仮面の忍者赤影(1967−1968))とかね。

辰巳:っということは去年還暦?

井島:そぅなんです、仲間入りを。

辰巳:名刺には’常務取締役’と書いてありますが、前からそうでした?

井島:ちょっと偉くはなってます笑笑、3年ぐらい前からかな。

辰巳:みんな”常務常務”と?

井島:いや、”井島さん”笑。

辰巳:あれ、どこ出身でしたっけ?

井島:幼い頃から転々としてたんですけど、物心ついたときにはもう関西。兵庫県の宝塚におりました。

辰巳:そのあたりはまた後ほどうかがいます。そしてこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。

井村:よろしくお願いします!

辰巳:今日は白ワインですね。では乾杯!

全員:カンパ〜イ🎶

【シャトー酒折 キュヴェイケガワ 甲州樽熟成 2022】

辰巳:甲州ですね。割としっかりしてます。これはどういうワインでしょうか?

井島:2021年ヴィンテージから新たに発売したワインです。「キュヴェ・イケガワ」という池川さんが作った甲州のワイン。これまで「池川さんが作った=マスカット・ベーリーA」というイメージだったんですけど、甲州でも高いレンジのワインを造ろうじゃないかということで。

辰巳:以前から池川仁さんのブドウは使ってたんですよね?彼は有名なブドウ栽培家で、いろんなブルワリーに指導したりしてるんです。もしよければ本日も、とお誘いしたんですけど、お忙しいということで・・・。

井島:池川さん生食用ブドウも栽培されてますんで、今すっごい忙しい時期に入っちゃってますんでなかなか大変な時です。

辰巳:シェフ、このワインはいかがでしょうか?

井村:口当たりは滑らかなのに、喉元でブワァっと香りが広がる感じがします。

辰巳:パンチはありますよね。

井島:池川さんの畑はアイヴァインズという農業生産法人(農業法人 株式会社i-vines:https://www.sakaoriwine.com/about/i-vine//)がやってるんですけど、甲州は10トンぐらい獲れるんです。
このワインはその中から畑を限定して、収穫も1週間ぐらい遅らせて、1500kgぐらいのブドウでやらせてもらってます。

辰巳:畑は甲府市内?棚仕立て?

井島:そうです。甲府市内でX棚仕立て。2021年の7月下旬のちょうどヴェレーゾン迎えた頃、僕と池川さんで「じゃぁエリアを選別しよう」といういうことになりー、別々に畑を廻ってお互いが終わってから話をするんです。
そうするとですね、二人の意見が違う。僕がいいと言ったところは”味わいが複雑”。池川さんがいいと言った場所は”ブドウの樹が健全で、なおかつ完熟まで持っていきやすい畑”と。醸造をする人間と栽培をする人間の視点が違うんですねぇ。

辰巳:んじゃ、「キュヴェ井島」もできたんですか?

井島:いや、僕の名前はブランドにはならない笑。

辰巳:いやいや、なるでしょ、だって常務笑笑。

辰巳:では料理の紹介をしていただきましょう。これはなんのブルーテですか?

井村:今日は八王子の菜花を使ったケールです。あたたかくなると菜花は大きくなってきますんで、それを摘んで使いました。それに杏を合わせてあります。

辰巳・井島:いただきます!!

【中西ファームのケールの菜花のブルーテ あんず添え】

辰巳:根菜なんかに比べると少ないですけど、それでも甘みはしっかりしてますよね。

井村:菜花の部分に甘みと旨み持ってますんで野菜の出汁だけ。

井島:菜花のちょっとしたほろ苦さがワインをキュッと締めてくれてる感じですよね。

辰巳:甲州は樽が多い?

井島:シャトー酒折としてはスティルの方が多いです。今日これを持ってきたのは「最高峰の甲州を目指そう!」ということで、チャレンジ中。多分辰巳さんも飲んでいただいたことがないんではないかと。

辰巳:ないです。これは(生産本数)何本ぐらい?

井島:だいたい1200本ぐらい(1500kg)。その中でも今日持ってきたのは、その半分をバレルセレクトをしたものです。そのもう一つ下のレンジでアイヴァインズ甲州セレクトっていうのがあって、そこにも一部回してます。すごい収量制限してるわけではないですし、池川さんとしては’甲州はある程度量を採って行く方向’なんですけど、この畑でいちばんなのは”ブドウが健康”。2022年ヴィンテージ以降、池川さんはこの畑がトップキュヴェになることがわかってましたんでその畑だけ’傘がけ”。あとは葉面散布剤をきっちり。ミネラル分などの肥料ですね。(農薬ではない)防除もしてます。

辰巳:肥料を葉っぱに(散布)?

井島:そうです。肥料を葉っぱから吸収する場合もあるんです。

辰巳:はぁぁぁ、そんなことあるんすね。それは知らなかったです。

井島:ワイン用のブドウって、基本’手間をかけずに作る’んですけど、池川さんの場合は主は生食用ですんで、その技術を(ワイン用の畑にも)思う存分入れていただくという。結果ワインに厚みがある。

辰巳:補糖しなくてもいい感じ?

井島:それがまだしてるんです。2019年から山梨県とワイン酒造組合で甲州の優良内の選別をやってるんです。この畑は糖度の上がりやすいのを(2019年から)植え始めてるんで徐々に出来てくると思います。

辰巳:いろいろやってますねぇ。池川さんは僕と同い年ですから今年66歳。すごいっすね。じゃ、ここでリクエスト曲を。今日は何にしましょ?

井島:ビルエヴァンストリオの「ワルツフォーデビー」。今月全部ジャズ!毎回ワインのイメージに合うような曲の選択をさせていただきました。今週はピアニストのビル・エヴァンス。


Bill Evans「Walts For Debby」(1961年)
https://www.youtube.com/watch?v=dH3GSrCmzC8/

辰巳:いい曲ですねぇ。

井島:非常に柔らかい。キュヴェ池川の持っている特性ってとっても柔らかい、滑らかさ、エレガントさがあるので、ジャズの中でもこれかなと。

辰巳:井島さんはシャトー酒折には最初からいらっしゃった?

井島:いや。ワイナリーのオープンは1991年、私が入ったのは1993年です。その前はグループ会社の*木下インターナショナルに新卒で入社しまして、(*木下インターナショナル株式会社:https://www.kinoshita-intl.co.jp/

辰巳:営業とか?

井島:私は元々お酒造りをしたくて、

辰巳:お酒っていうと日本酒?

井島:そのころはまったく節操なかったんで何でもよかった笑。

辰巳:学校はどちらで?

井島:関西学院大学の経済学部(!)

辰巳:ワインぜんぜん関係ないじゃないですか?

井島:そうなんです。アルバイトでお酒に興味が・・・。

辰巳:学生時代っていったら1982年ごろ。宝塚に住んでたら関学はすぐそばですよね。あのころは京大と関学とアメフトでね、、、。木下インターナショナルさんは元々京都ですよね?だいたい(木下の)社長始めみなさん関西弁しゃべるんですけど、井島さんしゃべりませんね?

井島:会社では出るんですけどねー💦だんだん慣れてくるとでる笑。

辰巳:調べたら、木下インターナショナルは今東京?知らなかった。ビックリしました。いつから?

井島:ぁ、そうなんです。インターナショナルに変わってから。

辰巳:もったいないなぁ。京都にあった方が海外では絶対有利じゃないですか?大阪の会社は東京に移すんですけど、京都の会社は村田製作所にしてもワコールにしても京セラにしても島津(製作所)さんにしても、「京都にいる価値」「ネームバリュー」を大事にしてるんですよ。

井島:社長はいつも京都(にいる)。

辰巳:ままま、会社の方針もあるでしょうけど。ここに入ったのはお酒を造りたくて?でもその当時はまだインポーターでしたよね?

井島:そうです。学生時代(NHK朝ドラの)「マッサン」(←ニッカウィスキー創業者の竹鶴政孝氏ですね)にちょっと憧れを持ってしまいまして。

辰巳:じゃ、そのときに飲んでたのはサントリーじゃなしにニッカ系だったんですね笑。

井島:(ニッカに)行きたかったんですけどあえなく落ちまして・・・。竹鶴さんが行ったのがスコットランドのキャンベルタウン。当時そのキャンベルタウンのウィスキーを輸入してたのが木下だったんです。

辰巳:確か(木下の創業は)大正時代?

井島:そうです。最初は業務用の酒販店さん廻りから始まってます。輸入は戦後から。昭和30年代、まだ貿易が自由化になる前から。

辰巳:今はシャトー酒折も持ってますし、マデイラジャパンもオーナーですし。マデイラ一度行きましたけど大西洋の孤島でいいところ。

井島:食事も日本人に合いやすいし。

辰巳:スティルワインも美味しかった。木下では(マデイラのスティルワインは)輸入してないんですか?

井島:入れてないんです。

辰巳:だんだん関西弁が入ってきました。これからどんどん引っ張り込んでいきましょか笑。木下さんのところに入って何年?

井島:93年に入って、だからそれが私のファーストヴィンテージ。91年に創業したので会社はそれまでもワイン造りはしてました。

辰巳:内諾もらったときには”よかった〜”?

井島:でも最初にいただいた時は”お断り”。私が入社した時は「インポーター→メーカー」に変わっていこうという流れがあって、でも「免許は簡単に取れない」。国税局が下す方向にはなかった。 最初は青梅市にリキュールの工場があったところの免許をいただいて、そこからワインの免許を買い上げる。

辰巳:ここら辺の話は次回に繋げたいと思います。次回はまた来週お楽しみください!

全員:ありがとうございました!!!

【お知らせ】
2020年7月から4年間、会場を提供していただいた「Villas des Marriages 多摩南大沢」が6月末、惜しまれつつ閉店されました。なお、番組は「プリオホールディングス(https://prior.co.jp/)」系列の店舗に会場を移して継続されています。
引き続きお楽しみください。
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シャトー酒折ワイナリー株式会社
https://www.sakaoriwine.com/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2024年6月6日放送回

ワイナリー

シャトー酒折ワイナリー株式会社
https://www.sakaoriwine.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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