2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年4月のゲストは山梨県甲州市「甲斐ワイナリー株式甲斐株式会社」風間総一郎さんです。
寡黙すぎる父の反面教師から”しゃべりすぎる栽培者”を自負する総一郎さんは、イタリア原種の「バルベーラ」を育てる日本でも数少ないエノロゴです。なぜバルベーラ?(全4回 2回目)
辰巳:4月のお客様は塩山からお越しいただいています、「甲斐ワイナリー」3代目、風間総一郎さんです。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:今年ブドウはどんな感じですか?そろそろ芽吹いている頃ですけど?
風間:そうですね、今年はちょっとあったかいんで、作業がぜんぜん追っついてない💦
辰巳:作業って?
風間:ようやく剪定、伸びた枝を切る作業が終わって、今誘引を。
辰巳:そういう作業は冬の間にしたりはしない?
風間:しないです。
辰巳:ここら辺はね、ワイナリーによって違うんですよね。
自社畑はお持ちなんですか?
風間:あります!
辰巳:どれぐらい?
風間:1.7haぐらい。甲州とメルローとバルベーラ、とあとは試験的に何種類か。
辰巳:それは棚と垣根と?
風間:はい、両方。
辰巳:昭和48年に始めたワイナリーの3代目と伺ってますけど、今は栽培も醸造も全部やってるんですか?
風間:はい、全部。
辰巳:お父様はまだ一応社長されてるんでしょ?
風間:社長なんですけど、父は今店番しかやってない爆。
辰巳:お父様今おいくつ?
風間:71ぐらい。
辰巳:まだそんなもん?じゃぁ、大村さんのちょっと上、三沢さんのちょっと下?
風間:そんな感じだと思います。あまり僕詳しくない笑笑。
辰巳:その、横のつながりというか・・・?
風間:あの、父はあまり友達がいないタイプなので爆。
辰巳:でも「勝沼ワイナリーズクラブ」には入ってるんでしょ?
風間:いやいや、うちはエリアが塩山なんで、、、。
辰巳:そっかそっか。じゃぁ「アッサンブラージュの会」にはいましたよね?
風間:そこにいたのは僕です。
辰巳:お父さんはあんまり”組合”とかそんなのはやってないんですか?
風間:ま、やってはいるんですけど、行ってもずっと黙ってるんで爆。
辰巳:11月3日、毎年恒例になった日比谷公園の”(山梨)ヌーヴォーの会”は?
風間:行ってますし、僕も大学生の頃から手伝いには行ってるんですが、父は黙ってワイン注いでるだけでしたし笑笑、
辰巳:そういえばあんまり存在感、
風間:ない笑笑。
辰巳:お父様、もともとそういう性格?
風間:みたいですねー。店番してもらっててもずぅーっと黙ってるので、店番にもならない笑笑。
辰巳:でも泥棒には入られない?笑。
風間:一見さんにも常連さんにも等しく黙ってるので、そういう意味ではいいかなと爆。
辰巳:そっかぁ。でもこの寡黙の店番やってる親父をどうやって笑わしてやろうか、とかそんな客も来るんじゃないですか?
風間:ま。黙ってますね笑笑。「『職人肌』ってことにしとけばいい」って誰かに言われました笑。
辰巳:じゃ、いつその職人肌のお父さんを店番に追いやって(ぇw)笑笑、総一郎さんが引き継いだんですか?
風間:完全に引き継いだのはもうけっこう前ですよ。10年ぐらい。
フランスに留学して帰ってきたのが2001年か2002年ぐらい。そのあと都内の酒販店に3年いて2005年にワイナリーに戻ってきたので。
僕のワイナリーとしてのキャリアは18年ぐらいでいろいろ任されたのは10年ぐらいですかね。
辰巳:で、総一郎さん自体は”けっこうおしゃべり”だと先週おっしゃってましたけど、それはお父さんの(無口の)反動?
風間:反面教師ですねー。僕お酒が入れば入るほどしゃべるんですけど、その喋った内容もまったく覚えてないので。。。
辰巳:でも、(酒飲んで)自分の喋ったことをいちいち覚えてるのも辛くなりますんでね笑。
風間:早めに忘れた方がいいですよね笑。
辰巳:では乾杯しましょう。今日はロゼです!
全員:カンパ〜イ🎶
【かざまロゼ 2021】(現行ヴィンテージは2022年です)
https://kaiwinery.com/product/k0014
辰巳:あら、なんだかフルーティな酸味があって♪シェフどうですか、このワイン?
井村:本当にフルーティ。美味しいなぁって素直に思えるロゼでけっこうクイクイ飲めちゃいますね。
辰巳:”クイクイいくワイン”
風間:はい、ポリシーですね。
辰巳:(ラベルには)ひらがなで”ろぜ”と書いてありますがどなたが書いたんですか?
風間:これは書家の母が筆で書きました。(←さりげなくおっしゃいましたがすごっ!)
辰巳:メルローのセニエですか?
風間:毎年造り方はちょこちょと違うんですけど、メルローの場合はセニエが多いですね、一部ブラッシュの場合もありますが。
ロゼは造り方にいちばん悩むワインで。2018年ぐらいからかな、やっと自分の中で造り方が定まって来たかなーと。
辰巳:旨味も、心地よいちょっと苦味もあって。残糖も少し?
風間:そうです。
辰巳:美味しいな♡これはおいくら?
風間:2090円です。
辰巳:2021年ですから少し時間経ってるせいか、オレンジがかってサーモン色になりつつあるかなぁ。
辰巳:さ、シェフ、今日のお料理は?
井村:季節柄、ホワイトアスパラを合わせました。このロゼを飲んだ時に、「トマトと合わせて見たいと思った」。
今日はフルーツトマト、ドライトマトを使ったソースを付け合わせに使ってみました。
全員:いただきます!!!
【福島県産ホワイトアスパラガスの温かいサラダ 生ハムのコンディモン】
辰巳:このホワイトアスパラはどちらから?
井村:福島県のです。農家さんから直接分けてもらってるんです。
辰巳:(地元の)八王子ではないんですか?
井村:ひょっとしたらあるかもしれないんですけど、まだ見つけきれてないです汗笑。
風間:酸味がちょうどいいですね。
井村:ワインとのバランスが微妙だったんで、どうしようかなぁと思ってたところでしたけどよかったです。
辰巳:ラジオをお聴きの皆さん、何も見えなくてホントすいませんね。でもこのお料理とワインのマリアージュはこのお店で召し上がっていただけますんで、ぜひお越しください。
コロナの頃はだいぶ寂しかったんですけど、今はテラス席も気持ちよくなってきました。
辰巳:風間さんは営みがワイナリーの家に生まれて3代目。でももともと寡黙なお父様からは(継げ!と)一度も言われたことがない、し、(働いてるご両親が)楽しそうだった、のを見てきて’自然に後を継いだ’っていう話を聞きましたが、ご自身的に、本当にやろうと思ったのは?
だって子供の頃趣味とかあったんでしょうし・・・?
風間:子供の頃はもはや何になりたかったことも覚えてないですけど、でも、「何かを作る仕事」はしたいなぁとは思っていて。
だからうちがワインを造っていてよかったなぁと思います。ワインって”人を愉しくさせる”ものなんで、そういうのってすごく面白いなって、、、。
最初は思ってたんですけど、最近「ツライな」、がだいぶ多くなってきて。
「この仕事は『大変です』」。
1年間かけて仕事しなければならないので、全ての行動が1年単位なんですね。まず、仕事覚えるのも大変でしたし、仕事失敗したとしたら、それを挽回するのも翌年じゃなきゃできないんですよ。
しかも必ずしも毎年同じ状況にならないので、やりがいはあれど、、、大変。
あとは人の口に入るものなので、”責任”を最近よく考えるようになりました。
辰巳:若い頃はがむしゃらに勢いだけでやってたものが、だんだんわかってきたんでしょうね。
ところで、今日のリクエスト曲はいつ頃聴いてた曲?
風間:僕が大学生に入るか入らないか、大学出る頃か?(←振り幅大きすぎ)。
その頃に流行った曲なんですけど。山梨県出身のレミオロメンの曲で、ちょうどロゼの季節(桜?)なんです。
うちのロゼの儚い色合いと歌の感じが「出会いと別れの季節」とちょうど合うかなぁと思って。
辰巳:タイトルは?
風間:「3月9日」。
辰巳:3月9日って何の日でしたっけ?昔「フランシーヌの場合」っていう歌がありましたけど。
みなさん知らない?(←収録会場の誰も知りませんでした。歌詞の中に「3月30日」が出てくるので不意に思い出したのかもしれません・・・)
♪フランシーヌの場合は・・…♪(←辰巳さん、なおも歌い続けますが誰もわかりません)
シャンソンで有名な曲だったんですけどねぇ。
じゃぁ「3月9日」だったらみんな知ってる?(←会場の辰巳さん以外全員知ってました)
聴いたらわかるかな?(←どうでしょう?)
レミオロメン「3月9日」(2007年)
https://www.youtube.com/watch?v=kQsr9-L-O2g
↑オマケ
辰巳さんが不意に思い出した 新谷のり子「フランシーヌの場合」(1969年)
https://www.youtube.com/watch?v=2dah_5_6gPs
辰巳:(春の)雰囲気、それはなんとなくわかりました、。ちょっと儚い感じ。(←でも曲はやっぱり知りませんでした)
風間:東京で酒販店さんに勤めていて、
辰巳:どちら?
風間:「ワイナリー和泉屋」さんっていうところに3年ぐらい。そこ辞めてちょうど山梨に帰るよっていう時に流行ってた歌。
辰巳:ちょうど別れの季節に流れてたと。
ちょっと話戻しますけど、このロゼ。これは何本ぐらい造ってるんですか?
風間:毎年セニエの量とかにもよるので本数は変わるんですけど、だいたい1000本から2000本ぐらい。
辰巳:メルローとバルベーラ。この両方を作ってる農家さんって日本では少ないんですけど、バルベーラには何か思い入れはあるんですか?
風間:最初にバルベーラに出会ったのは、和泉屋さんにいた時代。酒販店なのでワイン飲む機会があって、イタリアの「Luciano Sandrone」っていう造り手のバルベーラ飲んで感銘を受けて。山梨でもやってみようかなと思ったんです。
『自分の好きなブドウと自分の好きなワインしか造らない』と最初から決めていたので、マスカット・ベーリー・Aとか赤ワイン品種はいろいろあったんですけど、僕は「自分の好きな品種しか造らない」。
辰巳:ルチアーノ・サンドローネってね、「神の雫」でも13の使徒でも登場してたけど、それは確か「バローロ」で。
これをバルベーラ(バローロの品種、ネッビオーロのちょっとカジュアル版的位置付け。イタリアピエモンテ地方の地元品種)にしたのはどうして?
風間:バルベーラの「ワインとしての”安さ”」。当時で3000円ぐらい。あとは”酸味”がすごくキレイ。
山梨は(風間さんがワイン造りに加担するようになってから)少しあったかくなり始めたんですよ、。
そこで、”酸味がしっかり残る品種”って何かなぁって思った時にバルベーラ、が、もしかしてくるんじゃないかなぁと。
辰巳:実際作ってみてどうでした?
風間:えーーー。新しいワイナリーさんとかにも「バルベーラってどうですか?」っていろいろ聞かれるんですけど、「ぜひやったほうがいいっ!」って勧めてます。「僕みたいに苦しんだほうがいい」爆。
辰巳:苦しんでますかー?
(ダァっ!)
風間:苦しんでますー笑笑。
辰巳:ピノ・ノワールもみなさん苦しんでますけど、バルベーラも苦しいですか?
風間:苦しいです。色がノラないんです。サンジョベーゼもネッビオーロも。(←イタリア品種を日本で植えた場合、多くみられる現象でしょうか?)
だから赤ワインが造りづらい。赤ワインは自分が納得いった年にしか造らないんです。
辰巳:だからロゼを?
風間:そうですね、でもこの年は赤も造ってます。
辰巳:他にはどんなブドウを作ろうと、あるいは諦めたとか?
風間:諦めた品種はないです。メルローは続けてます。
辰巳:あとは?
風間:興味ないです爆。
辰巳:だって酒販店にいたんだったらいろんなワイン飲んだんでしょうに?
話戻りますけど、今お父さんはお店番してるらしいですけど、総一郎さんが店番してたら絶対売れますよ。
なんだか落語の風情があります。
風間:ワイナリーのツアーみたいのをやってるんですけど、それは僕がなるべくやるようにはしています。
それをすると、ずーーーーーっとしゃべってますね。お客さん帰りたそうな顔してました笑笑。
辰巳:でも、どうしても”オチ”つけたいこの非常に落語家っぽい感じ。そっちいったらいい感じしますけど笑。
話外れまくりの今回でしたが、この続きはまた次回ということで。
全員:ありがとうございました!!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
甲斐ワイナリー株式会社
https://kaiwinery.com
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年4月13日放送回
- ワイナリー
甲斐ワイナリー株式会社
https://kaiwinery.com- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/