2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年10月のゲストは中央葡萄酒【GRACE WINE】代表取締役社長、三澤茂計さんです。
今回は明野農場で造られる赤ワイン「あけの 2019」をジャージー牛のローストに合わせます。
家族のヒエラルキー(?)の話から、最終回にしてまさかの「昆虫食」話に急展開。(全4回 、4回目)
辰巳:10月のお客様は、山梨県勝沼からお越しいただいている「中央葡萄酒」の三澤茂計社長です。
そしていつも通り、この会場の「Villas des Mariiages 多摩南大沢」の井村貢シェフにもご同席いただいてます。
今日は最終回になりますがよろしくお願いします!先ずは乾杯!
全員:カンパ~イ🎶
中央葡萄酒「あけの 2019」
https://www.grace-wine.com/wine_list/50/
辰巳:今日は赤ワインです。今日も井村シェフのお料理と合わせるわけですが、このワインいかがですか?
井村:香りと味わいが一体化されてて、飲み応えのある素晴しいワインですね。
辰巳:いわゆるボルドーブレンドですけど、ボルドーと比べて日本のブレンドはどうですか?
井村:日本の食材に合うタイプだと思います。本場のボルドーのワインに合わせるのは、もっと複雑な要素が必要なんですけど、
(日本ワインの場合は)シンプルなお味の方が合うんじゃないかと。
辰巳:美味しい、けど、イヤな主張はない。それぞれの品種もうまくミックスされていいバランス。これはどういうワインですか?
三澤:メルローとカベルネ・ソーヴィニョン&フランがほぼ同じぐらいの比率。フランは多分、日本の風土に合う品種かなぁと。
辰巳:以前カベルネ・フラン100%のワインありましたよね?
三澤:たまにあります。
辰巳:フランに関しては僕もそう思います。日本人ってあまりガツーンっとした果実味とタンニンたっぷりはね、
少なくとも(日本の)料理には合わせづらい。
三澤:そうですね。タンニンたっぷりはちょっと・・・。やっぱり繊細なタンニンが大事ですよね。
悪くいうわけじゃぁないんですけど、カリフォルニアワインなんかはアルコール度数も含めてやっぱりガツーンとします。
でも最近はカリフォルニアワインもずいぶん変わってきましたけど。
辰巳:食の世界の流行も人の好みもでしょうけど、変わってきましたよね。
三澤:僕がいちばん感じたのはオーパス(ワン)ですよ。昔に比べると今は(ガツーンから)若干離れて、
食の方に寄せてくると同時にタンニンがいい意味で我々と近く(繊細)なってますよね。
辰巳:アメリカなんかでもミレニアム世代は「アロマ系白が人気がある」と聞いたことがあります。
三澤:今ソーヴィニョン・ブランの樽使ったのがけっこう出始めてますね。
「ジャージー牛とキタアカリのソテー エシャロットのソース」
辰巳:シェフ、今日のお料理は?お肉ですよね?
井村:八王子のジャージーのランプ肉です。ジャージーはちょっとクセがあるので、
この甘いエシャロットのソースとワインとのマリアージュを考えてみました。
辰巳:王道のローストですね。このワインの渋みとピシっときて収まりがいい。
三澤さん、ワインを造る時には「どういう料理を合わせたい」とかイメージするんですか?
ワインをアッサンブラージュするときもですが”目指すもの”は?
三澤:それはワインと一緒で「美味しいものかどうか?」ですよね。
辰巳:でも人によって感覚違うじゃないですか?
三澤:でも前回も言った通り”美人”もそうですよ笑。
辰巳:特にそうです笑笑。
三澤:そりゃぁもう主観。その人の主観って「どれだけ持ってるか」の積み重ねだけですよ。
辰巳:今はもう後継の彩奈ちゃんに任せてるんですか?それともアッサンブラージュだけは「オレがやる!」?
三澤:「関所」って知ってますか?もう最近はね、僕は「明野の『関所』を越せない」笑。
辰巳:そうか、明野は彩奈ちゃんが完全に護ってるって感じでお父さん入っていけない?
三澤:うん。。。入っていくんだけど口出せない爆。でも娘賢いですよ、「これどうだっ!?」ってちゃんと見せますから。あれは偉いよね。
辰巳:息子さんの計史(かずし)くんが北海道の「*千歳ワイナリー」を任されてますけど、こちらはどうなんです、お父さんとの関係?
(*北海道中央葡萄酒・千歳ワイナリー:http://www.chitose-winery.jp)
三澤:これはいいです笑。
辰巳:千歳ワイナリーの方はお父さんが行って全部やってたり?
三澤:いやいや、ぜんぜんやんない。だってもう人生短いんだから、そんなに拘っちゃいけないですよ笑。
辰巳:個人的に興味あるのは三澤家のパワーバランス。
三澤:私んところはね、まず犬がいるんですよ、犬が、笑笑。まず犬が上にいて、そいで次が多分、家内。で、次(最後)が私、、、なんですよ。
(←ほぼ別居している長女、長男はカウントしてません)
ここレストランだからあんまり言いたくないんだけど、ワタシ実はゴキブリとかハエとか蚊とか大事にしてるんですよ。
辰巳:!!!!!
三澤:そりゃそうですよ、下の者を大事にしないとワタシ最低になっちゃう。わかります?爆。
辰巳:ちょ、ちょっっと待ってください。三澤さんの上に奥さんもお嬢さんも息子さんもいるわけですね?
三澤:んーーーーー。
辰巳:そんなはずはないでしょ?
三澤:ゴキブリなんかは未来食っちゅうの?昆虫食の代表格だし。
辰巳:ぁ、あの、ゴキブリ食べられます?
三澤:食べたことない笑。
辰巳:昔映画ありましたよね、「パピヨン(1973年)」っていう。スティーブ・マックィーンが監獄の中でゴキブリ食べた。
あれ子供の頃観てホントにショックでした。
三澤:ショック?蜂の子は?(←どんどんエスカレート)
辰巳:蜂の子は仕事で食べざるを得ない状況で・・・。
三澤:僕は大好きなの♡
辰巳:あれは信州の食文化ですけど?
三澤:我々もアシナガバチの巣から蜂の子を。
ハエのうじの子は似てるんだけどちょっと違う。(←周囲、さずがにドン引き)
辰巳:ぃ、井村シェフ?
井村:こ、昆虫食は周りにやってる人もいて、これからやらなきゃいけないんでしょうけど・・・
ちょ、ちょっっっとムリです笑笑。
辰巳:蜂の子とかは食べたことあります?
井村:ぁ、ありますけどちょっっと・・・。
辰巳:イナゴは?(←どこまでいくんでしょう?)
三澤:イナゴなんて僕はチョイチョイ食べてますよ。僕が好きなのはイナゴと蜂の子とあとスズメ驚。
辰巳:スズメはたまに(聞きますけどね)。「いやぁ、イナゴとこのワインよく合いますねぇ」、とかなってきたりすんのかな?爆。
井村:なるかもしんないですね笑。(←心は否定してます、多分)
辰巳:時代が・・・。
三澤:そ。もうそこに求めないと多分食料はまかなえませんよね。
辰巳:・・・だんだん話がおかしな方向にいってますが笑、’お口直し’にリクエスト曲を聴いてみたいと思います。今日は何を?
三澤:まずいよね~、今までの会話は笑。
辰巳:いや、ゴキブリにちょっと抵抗感があっただけで。。。
三澤:昆虫食ね笑。(←また話が元に戻りそう)
辰巳:だから!(リクエスト曲)どうします?
三澤:じゃ、ハイファイセットの「フィーリング」。
辰巳:どうして?
三澤:どうしてかって”青春の歌”でしょ。(私が)30代の頃。
辰巳:結婚前か後かどっちかなと笑。(←三澤さんのご結婚は31歳)
三澤:ムムムムムー笑。(←けむに巻きました)
辰巳:では聴きましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=gf6paF1fx2E
辰巳:この曲、僕は大学時代でしたけど三澤さんは商社時代。
三澤:多感な頃ですね。
辰巳:毎日スーツにネクタイ締めてたんでしょ?今もオレンジっぽいジャケットでとても洒落てる。
三澤:でも当時は毎日白いシャツでしたからね。
辰巳:さっきから話しながら飲んでるこのワインがどんどん開いてきてる。柔らかくなってきてー。
三澤:やっぱりそういうところに熟成の価値があるんですよね。瓶熟させてますけどまだ若い。
辰巳:これ、10年ぐらい熟成させるともっと良くなると思います。
三澤:保管さえ良ければね。
辰巳:今日は10月27日ですが、収穫は通常終わりの頃ですか?
(収録は9月の下旬でした)
三澤:メルローは1ヶ月前に終わってます。
辰巳:今年はカベルネ(・ソーヴィニョン)が特に遅いって聞いてますけど?
三澤:カベルネはいつも遅いんですよ。明野ではいつも11月手前ぐらい。だから今日の放送日ぐらいです。
今年はブドウの状態が悪くないんですけど、ただ、雨が小刻みに降るんです。
雨に濡れないブドウも収穫したいんで、昼夜関係なく、雨の降らない時間を狙うんですよ。
辰巳:雨が降る直前に収穫?
三澤:もちろんブドウが熟してないとダメなんですけどね。そうなると、本来の「ナイトハーヴェスト」とはちょっと違うんですけど
(そんなような趣旨で)赤ワイン用ブドウでもやってます。
辰巳:でも雨降られちゃったら収穫できないでしょ?雨降っても収穫するときもあるみたいですけど?
三澤:そりゃやっちゃいけない。わずかでも凝縮感のあるブドウを獲りたいわけですよ。
(雨の中収穫するのもありかもしれませんが)それは”ワイン造りの思想”からは外れますよね。
辰巳:このワイン(ブドウに)は傘かけてます?
三澤:かけてませんけど、フルーツゾーンにレインガードはかけてます。
辰巳:これは全部明野の畑?
三澤:そうです。
辰巳::甲州なんかは畑の畝を高くしたりしてましたけど?
三澤:あれは特別なロットです。これは普通の垣根栽培。
辰巳:そういえばブドウ栽培、ワインの話、ほとんどしてませんでしたね。
三澤:白も赤も”標高が高い”のが面白いんですよね。白ワインは標高が高いと有機酸、中でもリンゴ酸がけっこう残るんですよね。
これはこれで面白い。一方で赤ワイン。これはタンニンが繊細になるんですよ。荒くないんですよ、標高が高いと。これも面白い。
辰巳:それこそ大学時代に高分子の研究なさってた方。タンニンはポリフェノールですけど、それが細かいんですかね?
三澤:細かいかどうかわかりませんけど。タンニンは昔「切られる」って言われてたんですけど最近は「ねじれる」。
だから今は「タンニンの”ねじれ”は味蕾に強い刺激を与えてる」、とも言われてます。
辰巳;どういう風にすると単にをねじることができる?
三澤:それは私らにはわからない。でも標高によって”繊細な結果”が得られるのは確かです。
辰巳:明野農場の一番高い標高はどれぐらい?
三澤:一番上は700mぐらい。
辰巳:それを12ha お持ちで。これからもっと増やすんですか?
三澤:いやいや、これからはどう品質を上げるか、ですよ。
辰巳:でも、「日本ワインの量はまだまだ少ない、生産量も消費する量も少ないからもっともっと増やさないとダメだ」と
おっしゃってたじゃないですか!?今日本ワインの消費量って6%ぐらいでしたっけ?
三澤:まだ、5%やっと越したぐらい。
辰巳:まだそんなもんか。それには「ブドウ畑をもっと増やさなくちゃいけない」っと以前熱く語られてたことがありましたよね。
自分とこはもうこれでいいんすか?笑。
三澤:いいっちゅうか、これからはもっと品質を上げて、、、。
辰巳:品質は大事ですけど、でももっと量あげないと?
三澤:人間の能力ってね、限られてるんですよ。今は品質上げることに努力しなきゃいけない。
辰巳:ワイナリーの立場によって違うでしょうけど?
三澤:大きいところは”もうちょっと畑を増やさなきゃいけない”し、我々はどっちかっていうと”今ある畑の中でいかに品質を上げるか?”ですよ。
例えば明野。12haありますけど、実はブロックによって全然味が違うんです。これを今後やっていきたいですよ。
辰巳;ブルゴーニュのように?
三澤:ブルゴーニュだったり、オーストラリアの「ペンフォールド」だったり。
辰巳;ペンフォールドはまた違う発想じゃ?
三澤:発想は違うけどあそこは畑ごとに瓶(違うブランド)出してるじゃないですか。でも大雑把に言ったらブルゴーニュじゃなきゃダメですよ。
辰巳:ピノ・ノワールは?
三澤:昔造りましたよ。
辰巳:今は?
三澤:北海道で。
辰巳:畑は?
三澤:契約ですけど、自社で。2008年に余市にすごいいい畑ができたんですよ。それで明野にあったピノを全部切ったんです。
辰巳:「やっぱ余市だ!」って思って?
三澤:さっきの「関所問題」じゃないんだけど、娘がまたねー、明野でスパークリング(ワイン)造ってたんですよ、ピノで。
その木を切っちゃったもんで、それから5年間はできなくて。今はブラン・ド・ブラン造ってますけど。
今は人によっちゃ「Salon」か(うちの)「Grace Blanc de Blancs」か。と言ってくれる人もいるんですけど。
辰巳:まだまだお話お聞きしたかったのに時間が来てしまいました。また少し間開けて来ていただこうかな。
三澤:僕がボケてなければ笑笑。
辰巳:いや、まだまだボケてられないと思います。まだまだやりたいことが・・・
三澤:あの、茂計の’茂’は(音読みで)’モ’。それに点々つけると’ボ’なんです。それに計算の’計’で『ボケ』笑笑。
辰巳:おあとがよろしいようで笑笑。
10月のお客様は山梨県勝沼、「中央葡萄酒」社長の三澤茂計社長でした。
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
中央葡萄酒株式会社【GRACE WINE】
https://www.grace-wine.com
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2022年10月27日放送回
- ワイナリー
中央葡萄酒株式会社【GRACE WINE】
https://www.grace-wine.com- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/