2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年7月のゲストは兵庫県から「一般財団法人 神戸農政公社 神戸ワイナリー」大西省三さんです。
関西弁強化月間の最終回です。”神戸”というブランドの活用、”熟成”の必要性など、直面する理想と現実について
時には真面目にディスカッション。(全4回 4回目)
辰巳:もう7月も終わり、早いですねぇ。今月のゲストの最終回になります、神戸ワイン・・・。
実際には「一般財団法人 神戸農政公社 神戸ワイナリー」の「経営企画部 販売戦略・企画連携マネージャー」と
名刺にはちっちゃく書かれてます大西省三さんです。
(いつも通りこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)
全員:よろしくお願いします!
辰巳:神戸ワインを引っ張って、そして苦労された。という話を先週までお聞きしてきました。
でももうそろそろ入られて30年近くなるわけですから、ワインに対する愛し方とかは変わりました?
大西:だいぶ変わりましたね。年数重ねるごとに「お世話になってる会社で給料もらってやってる」、のもあるんですけど、
最近は朝からブドウ畑に入ってるから(日焼けで)手足真っ黒。
辰巳:ゴルフやってるんちゃうかなぁおもてたんですけど笑。
大西:ちゃいますよ。朝まず畑来て、今だったら誘引が終わって先端カットの所なんですけど。そっから着替えて通常業務。
夕方も時間あったら畑入ってます。
辰巳:それは畑好きやからですか?それとも人手が足らんからですか?
大西:ま、ダイエットもあるんすけどね笑笑。畑入ると7キロぐらい痩せるんですよ。
辰巳:そうなんですか。じゃ、今健康体ですか?
大西:いや、そうでも・・・お酒飲んでるんで笑。
辰巳:お酒飲むために畑で働いてる?
大西:ハハ、そうかもわからへんです。
辰巳:大西さんとは同い年ですからね、醸造やってた高坂(こうさか)拓郎さんも同い年で。
大西:いなくなって寂しいですね。
辰巳:そうなんですよ。十何年前に伺った時「いずれは定年とかなんとかでこのブドウとも別れなくちゃいけない」、
とか切ないなぁな話をしてたの覚えてます。今はフライングワインメーカー的な感じであちこちのワイナリーに行ってらっしゃいますけど。
金沢ワイナリーも、河内ワインも高坂さんの息がかかってますよね。
大西:そうですね。
辰巳:神戸ワインさんはこのコロナ禍を抜けてイメージを刷新して
これから再スタートのタイミングじゃないかと思ってるんですけど。やっぱり”神戸”ってブランド強い、っと思いません?
海外なんか行くと”神戸ビーフ”、松坂じゃないんです。あとは料理との組み合わせかと思います。
これからどんどん海外にも出て行くポテンシャルがあるワイナリーとして期待してるんですけど。
さて、今日は赤ワイン、「ベネディクシオンルージュ」。ではこれで乾杯したいと思います。
全員:カンパ~イ🎶
神戸ワイン「ベネディクシオンルージュ 2019」
https://onlineshop.kobewinery.or.jp/?pid=128844808
辰巳:しっかりとしたタンニンのある本格派の赤ワイン。まだ若い感じもしますけど。ぁ、2019年だ。
大西:そうなんすよ。先週の(ベネディクシオン)ブランの相方ですが、これも*渡辺佳津子さんが造ったもの。
(*今は北海道の「農楽蔵」でワイン造りをされています)
これも大変苦労して造ったんです。これ全部*ブーハーで絞ってないんです。全部手(←足)絞り。
その時期みんなで足踏みして果汁絞るので、その果汁があちこちに飛んで真っ赤っか。そのフリーランの果汁だけで造ってる。
それと、もともとブドウに付いてる野生酵母を使いたいということで培養酵母と半々にして造ってるのがこれなんです。
(プレス機の一種 参考サイト:https://firadis.net/column_pro/201707/)
辰巳:人の重みだけで絞った?
大西:で、その時に選果台も入れたんです。もともと圃場でいいブドウだけを選んで収穫してるんですけど、
その上にまた選別するっていうものすごく手間はかかってます。
辰巳:これはおいくらなんですか?
大西:ブランと一緒で3080円。
辰巳:税抜き2800円でしょう?これは値打ちありますよね。シェフ、このワインどうですか?
井村:今はタンニンの効いたパンチのあるワインですけど、飲んでるうちに喉の奥にドライフルーツの香りだったり、
複雑な香りが潜んでる感じがします。
辰巳:カベルネ・ソーヴィニョンとメルローがほぼ半々だということですけど・・・。あと10年寝かせましょう。
大西:ですよね。そうしたいんですけどね、もともとアイテムが少ないんでどうしても先行して出してしまう。
数字に追い込まれてるというか、「待てない」。営業の悪いとこです笑。
辰巳:ほんとにポテンシャルを感じるワインです。この2019年というのはどういう年だったんですか?
大西:そんなに悪くはない年ですよ。
辰巳:最近でいうと何年がいいとか?
大西:最近は少ないんですよ。やっぱり温暖化の影響が出てるんかなぁ。
去年も大雨で300t予定してた収穫量が100tになってしまった。契約農家さんの信濃リースリングは去年は収穫してない。
どれだけ寂しいか泣。
辰巳:(ぶどうの木の)病気で?
大西:そうなんです。雨がずっと続いてベトやバンプ。山梨もそうだったと思うんですけど、日照時間もないし赤は色も来ない。
白は皮が柔らかいんで、雨が降ると玉が膨らんできてパァンと割れてそっから病気が・・・。農家さんホント苦労してますよ。
申し訳ないとは思うんですけど天候には勝てない。
辰巳:(雨除けの)ビニールはかけないんですか?
大西:今年園内の方は若い女の子が入って一所懸命やってくれてますが、契約農家さんの圃場は広いし年齢も高くなってきてるので
そこいらにも問題あるんですよね。問題山積です苦笑。
辰巳:んー。農業ってのは大事な産業ですのでもっともっと応援したいなと思います。
お料理がやってまいりました。お肉です。
「豚肩肉の煮込み モロッコ風」
井村:はい。ワインが渋みが効いてますので料理は甘みを効かせてみようということで、玉ねぎをたくさん使いました。
まずは豚肩ロースと玉ねぎを煮込んで、香草パン粉を乗せて焼いてあります。下は飴色になるまで炒めた玉ねぎのリゾットと
ソースはすこーしだけカレー味。
辰巳:美味しぃ♪なんか洋食系ですね。ご飯が食べたくなる系ですけど(←下にリゾット敷かれてますやん)
ワインとはどうでしょ?
井村:若いタンニンとを楽しんでもらえれば。
辰巳:軽いカレー粉の風味とね。
大西:うちの神戸ワインの中ではこのワインはフルボディなんですけどね。
シェフから言わせればこのワイン、軽めなんですね?笑。だからさっき辰巳さんがおっしゃった”熟成”要るんかなぁと。
辰巳:でもフルボディってそんなに果実味は必要ないんですよ。日本ワインの良さ、料理の合わせやすさってそっちじゃない。
これは熟成させたらもっともっと複雑味が出てくると思います。
こちらのお料理と神戸ワインのマリアージュは、こちらにお越しいただけましたら2ヶ月間お召しいただけます。
ぜひお越しください。
辰巳:ということで。最後のリクエスト曲は何にしましょう?
大西:あいみょんの「マリーゴールド」。
辰巳:皆さん、あいみょんも「マリゴールド」ももちろん知ってるんですよね?(←周囲のスタッフ全員大頷き&失笑の嵐)
なかなか曲が覚えられなくてねぇ。
これは何か思い入れがあるんですか?
大西:この子自体が西宮?だったか兵庫県の出身で、見た瞬間「好み♡」。単純にそれだけ笑笑。
辰巳:いくつぐらい?
大西:まだわっかいですよ(27歳でした)。
辰巳:最近の曲?
大西:ぇw、辰巳さんホンマに知らないんすか?
辰巳:だってこんな若い子の歌どこでどうやって知り合うんですか?
大西:ものすごく歌唱力もあって、曲自体・・・どないいうたらえぇんかなぁ、ものすごく優しい。何より本人がものすごく可愛い♡。
辰巳:ではお送りしましょう。あいみょんで「マリーゴールド」。
あいみょん「マリーゴールド」(2018年)
https://www.youtube.com/watch?v=0xSiBpUdW4E
辰巳:なるほど、こういう曲だったんですね。昔の「傷心(大友裕子)」から最近のポップスまでなかなか幅広い。
辰巳:今月は神戸ワインの大西省三さんにお越しいただいていろいろお話伺ってますけど今回が最終回。
なんか言っておきたいこととかありますか?
大西:(井村)シェフのおかげで関東でもうちのワインを扱ってもらえてものすごくありがたいし、
辰巳さんにもこういう番組にも出させてもらえて感謝してます。
「神戸ワイン」は神戸の”ブランド”なんです。これは「ずっと残していかなければいけない」と会社にも言ってるんですよ。
今いろんな企業を引きずり込んで(←失礼な言い方ですみませんとおっしゃってました)”連携”をお願いしています。
それで賛同いただいたところと継続した取り組みをやっていくと。そうすると双方が安定した経営になれる。
そういう企業をどんどん増やしていきたいと思ってるんで、これからもいろんな企業さんからも応援していただきたいし、
消費者の方にももっと「神戸ワイン」を知っていただきたいというのが本当の気持ちです。
辰巳:やっぱりワインってのはグローバルなお酒ですし世界共通の文化なんですが、
その中でこういう100万都市で大きなブドウ畑があってワイン造ってるって世界的にも珍しいと思いますし、
KOBE BEEFもありますし・・・ちょっとしたことだと思うんですよね。
僕はもっと在庫したほうがえぇんちゃうかと思いますよ、ワインはもっと熟成させてから出した方が。
もし神戸市長を紹介していただければ今度掛け合いますよ笑笑。
大西:ぜひお願いします!
辰巳:まだこのウィスキーブームの前にサントリーさんにも掛け合ったことがあって。
在庫があるもんだから工場のポットスティルを止めてたことがあったんですよ。
ウィスキーって何年でも持つもんだしね、時間かけるほど価値も上がるし「いずれ売れる、造った方がえぇんちゃいますか」と。
でもしばらくそのままで。で、今ウィスキー足らんでしょ。ワインも同じだけど商品になるまで数年以上かかかる。
だって飲んでしもたらそれで終いですからね。
大西:うちのブドウの樹齢は30年越えてます。1本も抜かずに残ってるのはうちぐらいちゃいかなと思ってます。
辰巳:そうですよね。その当時から畑は減らしてないんですか?
大西:いや、生産調整して減らしてるんです。
辰巳:それももったいない、日本の宝ですからね。日本ワインラヴァーの皆さん、これからこの「神戸ワイン」注目した方がいいと思います。
今月のお客様は「神戸ワイン」の大西省三さんでした!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
神戸ワイナリー
https://kobewinery.or.jp
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2022年7月28日放送回
- ワイナリー
一般財団法人 神戸農政公社 神戸ワイナリー
https://kobewinery.or.jp/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/