ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年3月31日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年3月のゲストは社会福祉法人 サン・ビジョン「サンサンワイナリー」シニアアドバイザーの戸川英夫さんです。
最終回はシードルでカンパイ!日本でのシードル造りにはまだ珍しい「バージニアクラブ」という品種のリンゴを使っています。
これにはテッパンのガレットで舌鼓。回(杯?)も重ねること5回。ほろ酔いトークで締めくくりです。(全5回 5回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:3月は5回に渡って出演していただいてます、「日本ワイン界のレジェンド」戸川英夫さんです!
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいてます)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:来月(4月)傘寿を迎えられる戸川さんですが。まずは乾杯しましょう。

全員:カンパ~イ🎶


「サンサンサイダー ペルレドール 2019」
(サンサンワイナリーのリストはこちら:WineList)

辰巳:こはく色といいますか、黄金色。ラベルにはリンゴの絵が描いてありまして「ペルレドール」とあります。
”ペルレ”は泡、あとは真珠って意味ですよね。

戸川:”ドール”は金。

辰巳:「金の真珠」。これは初めて飲むんですけど・・・シードルなんですね。

戸川:そうなんです、ぜひ利ていただきたい。

辰巳:樽熟成と書いてあります。まぁ現地(フランス?)では大樽で仕込んだりそう珍しいことではないかもしれませんが。シェフ、このシードルいかがですか?

井村:リンゴの”いい部分”だけを抽出したようなクリアなシードル。シードルっていうと”泡”っていう印象があったんですけど、これは「凝縮された味わい」です。

辰巳:リンゴは何を?

戸川:お耳馴染みないかもしれませんけど「*バージニアクラブ」という品種です。クラブというのは英語でカニ(蟹)なんですけど、このリンゴは「姫リンゴ」なんですよ。
(*バージニアクラブ 参考サイト:http://malus.my.coocan.jp/apple_Crab/VirginiaCrab/VirginiaCrab.htm)

辰巳;バージニアって言うぐらいだからアメリカの品種ですか?

戸川:そうです。

辰巳:最近は日本でもちっちゃいリンゴを使ったシードルが増えてきましたよね。

戸川:シェフのご指摘のとおり、この凝縮感ってのは(リンゴが)ちっちゃいところにあるんです。
このサイズでブドウより酸っぱいってありえない。それが「バージニアクラブ」の特徴なんです。

辰巳:日本でシードルを造る場合「ふじ」が多いじゃないですか。それだと酸が少ないんで補酸したりとかしてますけど。

戸川:補酸・補糖なしです。

辰巳:これは素晴らしいです。アルコール度数が9%もありますよ、濃縮もせずに?

戸川:そうです。小ぶりのリンゴだから糖度高いんです。これを塩尻で栽培されている方がいらっしゃいまして。
こだわりの方でフランスのノルマンディーまで見に行ったりする。

辰巳:へぇぇ、じゃ、その方に美味しいシードルを造るためにお願いしてこの品種を植えてもらってる?

戸川:そうです。このリンゴはちょっと真似できないですよ。ちょっと絞って醸しただけでこの色が出てくるって・・・。

辰巳:でも少しは酸化の色もあるんでしょ?

戸川:それもあります。

辰巳:果汁自体はこんなに濃くないんじゃ?

戸川:そうなんですけど、マセレーションを皮ごとやってますんで。樽には3ヶ月ぐらい入れてますし。

辰巳:新樽じゃないでしょ?

戸川:違います。

井村:美味しいです♡ビックリしました。

辰巳:さぁそのシェフ、今日のお料理なんですがシードルだから?

「プロヴァンス風そば粉のガレット 八王子野菜と一緒に」

井村:そうです。やっぱりブルターニュの合わせ技、「シードルとガレット」。ま、王道ではあるんですけど今日はプロヴァンス風のガレットです。
通常はハムとかチーズを使うんですけど、アンチョビと野菜をたくさん使ってハーブ(ミント、バジリコ、セルフィーユ、ディル)のペーストを添えました。シードルにも負けないように。

辰巳:ではいただきます!

戸川:卵がサニーサイド♡笑笑。

辰巳:(モグモグしながら)これ、「合わないわけがない」。ラジオをお聞きの皆さんも
このシードルとガレットの組み合わせをこちらのお店で召し上がれますので是非お越しください。
(コロナ禍の緊急事態宣言でワインもたくさんストックあるようです。詳細は直接お店にお問い合わせください)

戸川:このガレットはそば粉ですよね?(井村:頷)これは健康的だ笑笑。

井村:たっぷりの野菜も地元の八王子のもの使ってるので。

戸川:このガレットのカリカリ感がたまんないすよ。

辰巳:先週までマンズワインで36年勤め上げて、安曇野ワインに行って、信濃ワインに行って、オーナーと合わな・・・漏笑。
いや、もっと自分のしたいことがあってというお話でしたが。その次が山辺ワイナリーですか?

戸川:そうです。長野県松本にあるワイナリーで農協傘下。

辰巳:そこが立ち上がった頃すぐ?

戸川:いや、何年か経ってからですね。でもまだ真新しいし、

辰巳:(ワイナリー)綺麗~~~、ですよね。戸川さん綺麗好きだし。「美味しいワインはサニテーションから」。
多分戸川さんに最初にお会いしたのこの頃ですよね?

戸川:そうだったと思います。

辰巳:もうね、ピッカピカに磨き上げたワイナリーでした。

戸川:あのワイナリーに入った時から「土足でワイナリーに人入れない」、っということにしました。

辰巳:今では普通になりましたけどね。そうだ、あの時は取材も兼ねてツアーで観光バスで行ったんだった。

戸川:綺麗なお若い女性いっぱい引き連れていらして笑笑。これも若さを保つ秘訣だと思います笑。

辰巳:でもそういう時の方が戸川さんも元気になって説明にも熱が入る笑笑。山辺ワイナリーはけっこう長かったんですか?

戸川:2年半ぐらいです。

辰巳:そこも喧嘩したんすか?爆。

戸川:ん・・・まぁ・・・それに近い・・・(←ぇw、ホントに?)

辰巳:戸川さん血液型は?

戸川:A型です。

辰巳:マイペースというよりも、自分の筋を通すタイプなんですね。

戸川:そうですね。(山辺ワイナリーは)親が農協、そのボスだった方が後任で来られるので
「君、お願いだからあまり革新的なことはやらないでくれ」。目新しいことやるとやっぱりいろいろ問題が起きると。
それを聞いて「ワタシ辞めます」。

辰巳:でもその頃山辺ワイナリーの質も上がって注目されるようになったでしょ?

戸川:えぇ。最初にバレルファーメンテーション(樽発酵)のシャルドネを造ったらエラい評判が良くて。
長野でシャルドネのバレルファーメンテーションはこれまでなかったんで。

辰巳:けっこう評判高かったですもんね。原産地呼称(長野県のGI)にもなったし。

戸川:それと赤のアイスワイン。

辰巳:コンコードのやつ?

戸川:はい。あれも初めて造ったってことで奨励賞かなんかいただきました。

辰巳:だってこういう”革新的なこと”がしたくて入ったのに。でもお辞めになって次は?

戸川:その次は安曇野ワイナリー、*オーナーが変わってリニューアルされてからですね。「ドライ真空ポンプ?」
それを作る会社の方がワインに非常に興味があって「ワイナリーをやりたい」と。
(樫山工業株式会社:https://www.kashiyama.com)

辰巳:っていうことはかなりの投資もあった?

戸川:ありました。名前、ブランド含めて2桁(億)のお金を・・・。

辰巳:じゃぁ戸川さんも’移籍料’あったんじゃないですか?笑。

戸川:笑、それはないですけど。とにかく行って(旧ワイナリーに)あった酒(主にお土産用ワイン)は全部捨てちゃいました、
大胆にも。

辰巳:建物も変えましたしね。

戸川:理解あるオーナーだったので。

辰巳:ここは何年?

戸川:2年半。

辰巳:ここも2年半!?全部短いですねー。

戸川:やっぱりパートナーというか、相棒と一緒に仕事して育ってくると「もういいや」と笑。

辰巳:ぁ、加藤(彰)さん。あともう一人いましたね。

戸川:今はスイス村(株式会社あづみアップル)に行ってる内方(知春氏)。

辰巳:あ、彼も信濃ワインにいたんですよね?

戸川:えぇ、彼も一緒に出てったんです。加藤さんは山辺ワイナリーから一緒、「じゃぁ一緒に行こうか」と。

辰巳:なるほど。そしてそれぞれが独立した、、、。

戸川:3年4年経つとやっぱり自分でワインを造りたくなる。そこにいつまでもいて上から指導されるだけじゃ彼らも面白くない。
で、『そろそろ失礼します』。

辰巳:すごいな、この辺の喧嘩にしろなんにしろ、引き際というか・・・。テンポいいっすね。
ちょっと曲を聴きながらまたお話伺いたいと思います。さ、最後の(リクエスト)曲は?

戸川:”先生のお気に入り”「Teachers Pet 」。

辰巳:5週ずーーーーっと懐かしの洋楽で攻めましたね。

戸川:そうです。映画観たときあのそばかすのドリス・デイとクラーク・ゲーブルが・・・。

辰巳:ではお聴きいただきましょう。

「Teacher’s Pet」(1958年)
https://www.youtube.com/watch?v=wc7g96GYBx0

辰巳:曲を聴きながらプロヴァンス風のガレットいただいてましたがホント美味しい♡

戸川:信州ではお蕎麦が有名で「蕎麦に合うワインはないか?」とずいぶん言われてて、無理して合わせたりしてたんですけど、今日は合いますね。なんなんでしょ、これ笑。

辰巳:(井村シェフに)これから塩尻に弟子送り込んで(ガレット)やってくださいよ笑。

戸川:これはいけますよ。まさにそうしてください!

辰巳:さ、話が大詰めになってきましたけど、現在のサンサンワイナリーに行かれたのは2014年ぐらい?

戸川:2012年。立ち上げから参加してました。試験栽培から1年経った時に入ってワイナリー建設は2015年でした。

辰巳:そうでしたか。で、「ここで骨を埋めよう」ってな話も聞いたんですけど笑。

戸川:失敗をいろんなところでやって、自分の集大成をここで爆。

辰巳:サンサンワイナリーでは完全に任されて?親会社は名古屋の方の福祉関係でしたっけ?

戸川:はい、社会福祉法人の「*サン・ビジョン」。
(*社会福祉法人サン・ビジョン:https://sun-vision.or.jp)

辰巳:サン・ビジョンはサンサンワイナリーを子会社に持ちつつ、塩尻の駅前にマンションも持っていて。

戸川:そこに住んでました。

辰巳:そこは介護付きマンションですか?笑。

戸川:そうなんです。(←辰巳さんのジョークかと思いきや本当でした)

辰巳:そこに住まわれて”終の住処”だっておっしゃってましたよね。

戸川:オーナーに「アナタの部屋はここ」っと入れられて笑笑。いやぁ、快適でした。景色もいいですけど、いろんな方を見るっていうのは楽しかったですねぇ。
ま、最終的には”介護”という仕事の大変さも見ましたけど。

辰巳:でもご自身的にはまだ介護は要らなくて?

戸川:段階がありまして、私はただ入っていただけなんで(介護要らず)。朝食だけは作っていただいてましたけど
あとはもう自由、社宅代わりですね。

辰巳:今もまだそのお部屋はあるんですか?

戸川:いや、もうありません。

辰巳:ぁ、出ちゃったんですか?また喧嘩したんすか?笑笑。

戸川:いえ、ハッピ~リタイア♪77歳でここをやめようかとなった時に相棒の女性、石田芳江さん
(前アシスアントゼネラルマネージャー)が亡くなっちゃいまして。

辰巳:それから若い人を育てることが使命・・・。

戸川:それがいちばん難しいんですけどね。

辰巳:でもそれが楽しいんじゃないですか?

戸川:難しいし楽しいし。

辰巳:傘寿になってもそういう生きがいがあるわけですね。あれ、奥様は?

戸川:山梨に。

辰巳:奥様と一緒に塩尻に住もうってわけじゃなかったんですね。

戸川:それはないですね。

辰巳:結局奥様の元に戻ったってことですね?

戸川:本人から聞いたわけじゃないですけど「もうちょっと(塩尻で)お勤めした方がいいんじゃない?」(、と思ってるような)爆。
そのまま辰巳さんにお返ししたいんですけど、いかがですか?

辰巳:笑、家にいるとケンカばっかりですよね~、離れたとこで仕事した方がゼッタイいい笑笑。

戸川:そういう経験をさせていただきました爆。

辰巳:そろそろ時間がなくなってきましたが。サンサンワイナリーのワイン、最近ますますよくなってきてますしこれからが楽しみですね。
3月5週にわたってお話を伺いましたのは、サンサンワイナリーシニアアドヴァイザー『日本ワインのレジェンド』
戸川英夫さんでした。本当にありがとうございました!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

https://sun-vision.or.jp/sunsunwinery/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年3月31日放送回

ワイナリー

サンサンワイナリー
https://sun-vision.or.jp/sunsunwinery/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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