今回のゲストは大分、三和酒類(株)安心院葡萄酒工房 ヴィンヤード・マネージャーの古屋浩二さんです。この業界に入るきっかけはカクテルから?ちょっとムフフな動機、いい大人の男子トークです。全2回前編
辰巳:今回のお客様は大分からはるばるこの番組のためにお越しくださいました、安心院葡萄酒工房の古屋浩二さんです!
辰巳・古屋:よろしくお願いします!
辰巳:名刺には工場長・ヴィンヤードマネージャーって書いてあるんですけど。栽培から醸造までやってるんですよね?(古屋:頷)
安心院ワイナリーに入って何年になるんですか?
古屋:ワイン造り始めてから、、、んー、何年ですかね。24歳からですから25年目ですね。
辰巳:ご出身は?
古屋:福岡です。福岡の古賀ってところです。ご存知ですか?
辰巳:少し北九州の方・・・。
古屋:そうですそうです、福岡のほんとに田舎町で・・・。
辰巳:学生時代は何を勉強してたんですか?
古屋:ちょうどコンピューターが流行ってた時代で、ITIT言われてたころ。IT方面に進んでいれば今は違った世界観があったでしょうね。
辰巳:じゃ、大学は特にワインの醸造とかではなく?
古屋:いや、でも微生物をコンピューターで制御するような、そういう世界を学んでたんです。
辰巳:!!!(かなりビックリしてます)どこの大学!?
古屋:九州工業大学。福岡の飯塚に情報工学っていうのがあったんですよ。
辰巳:飯塚って言えばもう「山」じゃないですか。
古屋:ヤンチャな所笑
辰巳:炭鉱のね、「青春の門」みたいなところ笑。そんなところに生まれ育って、どうしてワインの世界に?
古屋:大学時代に「カクテル」っていうトム・クルーズの映画がありまして、リキュールをクルクル回すバーテンダーの。カクテルが流行ってた時代なんですよ。で、自宅にリキュール買い集めてお酒に興味を持ちつつ、、、。大人になる第一歩ってお酒に魅力感じないですか?笑笑。
辰巳:ままま、俺はねー小学校の頃から・・・ゴニョゴニョ。だからあんまり大人ってイメージはなかったけど。
古屋:爆
辰巳:まぁおおっぴらにお酒を飲めるようになった頃のことですよね?
古屋:そうです笑。で、リキュールいろいろ混ぜて味の調節するじゃないですか、シェーカーで。
辰巳:俺も高校生の時にマイシェーカー持ってやってました。原点はやっぱりカクテルかなと。古屋さんもそうだったんですね!学生時代バイトとかしてたんですか?
古屋:バーテンのバイトはないですけどね。自宅で自分で作れるカクテルのリストを作って、、、笑。
辰巳:カクテルって言ってもシェークするものやステアするものいろいろありますからね。
古屋:なんとなくねぇ、格好いいじゃないですか?女性とバーに行ってね「どんなのがいい?」「じゃぁこんなのはどぉ?」とかね笑。
辰巳:若い頃は興味だったり自分の決断だったり、いろいろあるけど
(その理屈の根底には)”女の子にモテたい”ってのはあるよね?
古屋:それはやっぱり男の本能じゃないですか笑笑?
辰巳:それがやっぱり正直でいいと思うし普通だと思うし笑。それがない男って俺はどっか信用できない。
古屋:ですよね!幾つになっても魅力的じゃなきゃいけないですよ笑。
辰巳:今も?
古屋:それはこのワインを飲んでもらってから笑笑。
(古屋さん、この場をなんとか凌ぎました)
辰巳:じゃぁ、ワイン飲みましょう!安心院ワインさんのアルバニーリョお持ちいただいたんで、これを飲みながらお話ししたいと思います。
ワイン登場(古屋さんが抜栓します)
安心院 アルバリーニョ 2019
古屋:アルバリーニョ、魅力的ですよ非常に。
辰巳:ですよね♡ではカンパイしましょう!
辰巳・古屋:カンパイ!
辰巳:アルバリーニョってのはスペインのガルシア地方のブドウ。スペインって雨があまり降らない地域なんですけど、ここは割と雨が多い地域、日本と似たような地域なんですよね?魚も食べるし。。。ま、そこで造られている品種。だから日本の食生活にも合うんじゃないか、ということで増えてきたんですけど、これを安心院に導入するきっかけって何だったんですか?
古屋:辰巳さんのおっしゃるイメージなんですよ。何を植えるかと考えた時に、現地で植わってる感じをイメージします。こういうアロマティック、かつ、温暖なところに育つっていう品種を選定しようとするとなかなか難しい。温暖かつ降水量。。。そういう面で考えたらアルバリーニョって抜群にいいんじゃない?ってなった。
辰巳:何年から植えてるんですか?
古屋:2011年です。
辰巳:今新潟でも結構造られてますよね?カーブドッチさんとかフェルミエさんとか。その新潟からの情報を得てからですか?
古屋:その直後ぐらいですね。
辰巳:そのあと富山のセイズファームさんですもんね。
今までブドウ栽培していた中でアルバリーニョでいいのかな?っていうのはあったんですか?
古屋:アロマティックな品種を求めてたんで。ヴィオニエとかも植えたんですよ。実は一時期アメリカでワインを造ってたこともあってですね、その頃アメリカではヴィオニエが話題になってて、いろんなワイナリーが造り始めた。そのタイミングで日本に帰ってきたもので「ヴィオニエちょっと植えてみよう」と一生懸命頑張ったんですよ。ところが(安心院の地では)なかなか栽培の特性合わないというか、実がつきにくいというか、、、。それで新潟のカーブドッチさん、フェルミエさんのアルバリーニョを試飲した時に「これだろう!」ってね。
辰巳:そうなんですか。ブドウってね、何の品種をどこに植えるって大事な話で、10種類も20種類も植えてテストしながらやるわけじゃないですか?安心院さんでもこういうことやってある程度絞ってきたって感じなんですか?
古屋:そうですね。実は地元のブドウ100%でワインを造ろうと決めたのは2006年からなんですよ。それまでは外国からの輸入原料も入れて造ってた。その国産ブドウだけで造ろうとなったあたりからちょうど農家さんの減少ってのが始まって、、、。これはマズいとなって2011年に自社畑を広げたんです、隣接地の雑木林を全部開墾して。このタイミングでいろんな品種を植えてみて、そっから優秀な品種を選抜すればいいなということで。さらにおととし去年と2年かけて10ha増勢しました。
辰巳:!? 今(自社畑)どのぐらい?
古屋:15haですね。
辰巳:じゃぁこれまでの倍ぐらい新たに?
古屋:そう、全部安心院町の中に。なおかつ今15ha増勢してる最中、これも安心院の中。
辰巳:つまりこれから30haを持つワイナリーに生まれ変わろうとしててるってこと?(古屋:頷)すごいですねぇ。
安心院ワイナリーさんは「いいちこ」で有名な三和種類っていう日本有数の焼酎メーカーの傘下で、こう言っては失礼かもしれませんが「儲かってる」。そこが地元の農業を応援しようということで元々は立ち上がったんですよね?
古屋:でも実は焼酎よりワインの方が古いんですよ笑。
辰巳:えぇぇ!?それは知らなかった!だって三和ってのは元々3軒の日本酒蔵があって、そのあと1軒増えて、4軒で始めた日本酒蔵でしょ?
古屋:その後が実はワイン事業なんですよ、焼酎の前に。
辰巳:つまり日本酒蔵の中にワイン製造ラインを作った?
古屋:そうそうそう。
辰巳:ワイン造り始めたのは?
古屋:1971年です。
辰巳:!?えっ、そんな古いの!?えっ、もうすぐ50年?
古屋:そうですそうです。
辰巳:古屋さん生まれてないじゃない?
古屋:私1971年生まれなんでまったくおんなじなんですよ。なーんかねー、運命を感じながら笑笑。
辰巳:そうなんですかー。で、三和の中でワイン造りを始めてもなかなかうまくいかなかった?
古屋:まぁねぇ、71年ですからねぇ。まだ消費量も増えてないし。
辰巳:で、古屋さんは(入社して)ワインやりつつ焼酎を始めた?その時造ったのが「下町のナポレオン」でそれが当たった。。。あ、そういうことか!それもあってワイン造りに投資もできると。(古屋:頷)それで本社から離れてワイナリーを作った。
古屋:2001年、それがワイン事業の転換期ですよね。
辰巳:古屋さん何年入社ですか?
古屋:94年かな?
辰巳:もうそんなに?最初に入った時からワイン造ろうと思って?
古屋:1年だけ焼酎造ってますね。そのあとはずっとワインの関連に入ってます。
辰巳:その時から焼酎造るよりもワイン造った方がモテるんじゃないかなって思ってました?
古屋:笑。っていうか、新しいことやりたいタイプなんですよ、何でも。会社で何か洋酒部門の開発をしたいという話をしてて、、、。
辰巳:(唐突に)血液型は?
古屋:AB型です。変でしょ?だけどAB型にはAB型が集まってくるんですよ、周りに。
辰巳:安心院にも?
古屋:安心院は変人ばっかりですからね笑笑。
辰巳:今(ワイナリーのスタッフは)何人ぐらいいるんですか?
古屋:店舗のスタッフ入れたら15名ぐらいですかね。
辰巳:その店舗にカワイイ女の子いましたよね?
古屋:いました、、、けど、多分想像されてるかたは今本社の方に移動しましたね。
辰巳:結婚した?
古屋:してないしてない、よく覚えてますねぇ笑笑。
辰巳:大分って結構キレイな人多いんですよね。
古屋:ね♡
辰巳:その彼女なんか”安心院の看板娘”にすればよかったのに、真面目な話。
古屋:イベントなんかにも結構同行してんですけどね。でも会社なもんで異動があるし。
辰巳:そうなんですねー。まぁその話は置いとくとしてー。
今日は「日本のワインを愛する会」の藤森副会長がオーナーの店、日本橋「ヴィノシティ」さんで収録させてもらってますが、私けっこう酔っ払ってます。(古屋;笑笑)
この前に「ピノ・ノワールサミット」というイベントが浅草でありましてー。そこで50~60種類、おそらく1本半分ぐらいのワイン(日本のピノ・ノワールだけ)を飲んでます。安心院さんのピノ・ノワールも飲ませていただいただきましたが、実際ピノ・ノワールってどうなんですかねー?
古屋:やっぱ難しいっちゃ難しいですよねー。うちはピノ・ノワールを植える理由は、スパークリングワインを狙っていきたいんですよ。
辰巳:安心院のスパークリングワイン、特にシャルドネは非常にレベルが高くて、日本ワインファンの中でも認知度、評価が高い。
古屋:だからいい年は赤ワインも仕立てて、ちょっと寒冷な年は早めに収穫してスパークリングワインの原料にしたり。まぁ二刀流と言っちゃあれですけど、いろんな方向性ができるんじゃないかと。
辰巳:ピノ・ノワールってそういう”潰しが効く”ブドウなんですね?
古屋:まぁそういう見方をしながらまずはやってみようと思ってます。
(話アルバリーニョに戻します)
辰巳:これ何年目ですか?
古屋:2011年に植えて、ワインリリースは2014年からです。
辰巳:5年目6年目ぐらいですよね。評判もいいでしょ?
古屋:あ、いいですね。醸造の仕方によって香りのニュアンスが変わってくるんですよ。このアロマティックな香りをいかに引き出すかってことで、わざわざ果汁を2つに分けて発酵させてますんで。
辰巳:どういうことです?
古屋:アルバリーニョの特徴は「テルペン香」って言ってね、リースリングにも入ってる香りなんです。「グルコシラーゼ活性」っていう酵素を持ってる酵母じゃないと出てこない香り。難しい言葉どんどん並べますよー笑。
辰巳:ちょっとオイリーだったり?
古屋:まぁそういう感じもありますね。そういう”香りを出す仕込み方”と、あとは”味わいを出す仕込み方”の2種類に醸造を分けて、後からブレンドして仕上げてるんです。
辰巳:はぁぁぁ・・・(感嘆)
この続きはまた次回お伺いしますが、なんか日本ワインのバリエーションの中でとても面白い存在です。
古屋:ありがとうございます!
辰巳:古屋さんってなんか大人しそうなんだけど、大阪弁で言うと実は”いちびり”な方ですよね。
古屋:どう言う意味ですか?わからないですねぜんぜん笑。
辰巳:ちょっと目立ちたい人、変な人笑。
古屋:ヤンチャです、自分で言うのもなんですけど笑笑。
辰巳:今日は安心院ワイナリーの古屋浩二さんにお越しいただきました、次回もよろしくお願いします!
古屋:ありがとうございました!
*この収録のあった同日の前には、辰巳さんの発言にもあった通り浅草で「ピノ・ノワールサミット」というイヴェントがあり辰巳さん、古屋さんも仕事ながらけっこう飲んでまして。ワインの話はさすがながら、いい大人の思わぬ男子トーク盛りとなりました。
News Data
- 八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」
2020年3月5日放送分
- ワイナリー
*三和酒類(株)安心院葡萄酒工房
1958年設立の大手焼酎メーカー。iichikoブランドで名を馳せているがワインに着手したのはそれ以前の1971年から。安心院町にワイナリーを構え、その近隣に自社畑を増植しながら品種の可能性と品質向上に取り組む。
http://www.ajimu-winery.co.jp