八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」2020年5月7日放送分

今回のゲストは東京ワイナリー代表の越後屋美和さん。東京都内で初めてのワイナリーを興したきっかけとは?選んだ土地が練馬の大泉学園だったわけは?自社畑「鉄塔ヴィンヤード」からお届けする全2回前編!

辰巳:こんばんは~っていってもまだ夕方なんですけどね。東京都練馬区のブドウ畑に来ております。コロナ騒動で三密を避けるためもありまして、今日は「東京ワイナリー」の鉄塔ヴィンヤードというところで収録しております。
本日のゲスト、東京ワイナリー代表、越後屋美和さんです!

辰巳・越後屋:よろしくお願いします!

辰巳:越後屋さん。越後屋っていうとねー、なんとなく「水戸黄門」とかね笑、よく言われたかも、、、。本名ですか?

越後屋:そうです、はい!

辰巳:新潟出身ですか?

越後屋:笑。生まれたのは新潟なんですけど(ぁ、本当でした)、新潟には”越後屋”姓はいなくて、父方の北海道の姓ですね。

辰巳:へぇぇ。北海道はどちらですか?

越後屋:詳しいことはよく分からないんです笑。生まれは新潟で、育ちはほとんど横浜なので。。。

辰巳:そうですか。「東京」という名前を背負ったワイナリーを作ったのは6年前?

越後屋:そうですね、6年目になります、はい。

辰巳:2014年の秋に免許がおりて、醸造初めて2004,5,6,7,8,9と6ヴィンテージのワインを造ってる。大泉学園駅から10分ぐらいの住宅地「こんなとこにワイナリーがあるんだ!?」っていう。
東京では初のワイナリー?

越後屋:そうです。

辰巳:今4軒、もうすぐ5軒目ができるのかな?
どうして東京にワイナリーを?

越後屋:よく聞かれます。私はもともと東京の大田市場(野菜の卸売市場)で野菜の販売をしていて、東京の野菜を扱っていたんですけど、その時に東京の農家さんと出会って。当時は横浜在住だったので「都会で野菜なんてできるの?」「その野菜は美味しいの?」って思ったんです。それで初めて出会ったのがここ、大泉学園の農家さん。
その時はキャベツを食べさせてもらったんですけど、もうこれが美味しくて。感銘を受けたんだけど「あれ、もしかして東京で野菜を作ってること、こんなに美味しいこと、みんな知らないんじゃない?」って思った。

辰巳:そうなんですよ!10年ぐらい前、都の番組をやってたんですけど、練馬区は東京の中でけっこういろんな野菜作ってるんですよね。一昔前までは田園風景だったらしいですね?今でこそ住宅地ですけど。実は大泉は我々にとって近しいところで。東映の撮影所があってよく通ってたんですよー。だからなんとなく親近感笑。
横浜に住んでて、東京には縁がなかったのにこの大泉でワイナリーをやろうと?

越後屋:農産物、農業、、、人の根幹、食の仕事をしたいなぁって思うようになって。「東京にも農業があるんだ!?」って知ったこの大泉学園で何かできないかな、ここで農家さんと一緒に何か盛り上げるようなことできないかなと。もともとお酒が好きで、ワインが好きで。。。(ワインは)何かを食べながら飲むお酒だと思うんですけど”その土地の野菜とその土地で造ったワインを飲む贅沢”を届けられたら面白いなと。23区の中でも農地が多いこの地だからこそ!のここでやりたいと思いました。

辰巳:で、東京に引っ越して来た。プライベートなんですけど、、、ご結婚は?

越後屋:ぁ、してます。

辰巳:ダンナの方は?お仕事は?

越後屋:連れて来たって感じです笑。大田市場で働いているので前住んでいたところからは若干遠いですけど、ここの野菜をレストランさんとかにダイレクトに運べたりもしますので。

辰巳:逆に生産地に引っ越して来たってことですよね。

越後屋:そう、いい意味では!笑

辰巳:ワインの勉強はそっから始めたんでしょ?

越後屋:そうですね、こちらに越してくる前からいろんなワイナリーさんとか飲食店さんに顔だして勉強させてもらったりだとか準備はしてはいたんですが。

辰巳:うち(日本のワインを愛する会)のボードメンバーの大滝(大滝恭子氏)の生徒さんだったとか?

越後屋:そうですそうです!多分7年前ぐらい。(自由大学「日本ワイン学」の)9期生なんですけど、その時に「(ワイナリー)作りたいんです!やりたいんです!」「応援してるよ~」なんては言ったりしてたんですけどね。ほんとにやるとは多分思ってなかったかも笑。

辰巳:授業で印象に残ったことってある?

越後屋:笑笑。いちばん覚えてるのは”大滝さんのパワー”、かな笑。

辰巳:あのおねぇさんパワーありますからねー笑笑。

越後屋:今でも講義がある最中はうちのワイナリー使ってくれたりだとかするので、長~いご縁ができたことも良かったと思います。

辰巳:僕はね、ワイナリーができたばかりの時に番組のロケできたのが最初なんですけどね。当時はブドウ栽培の方はやってなく、他の県から買ってきたりしてたんですけど、徐々に東京産のブドウを増やしていってね、今日はこの練馬ヴィンヤード、鉄塔ヴィンヤード?すぐそばに高圧線の鉄塔が立ってましてねー。この鉄塔の下でこれからブドウが育っていくんだろうなーっていう非常に楽しみな場所で今日は収録しております。
ちょっと飲みましょう!
今回はワインではなくシードルです。これはどちらのりんごでしょう?


群馬県沼田市産醸しシードル 2019

越後屋:群馬の沼田のりんごを使ってます。フジ主体なんですけど、外で飲むにはいいかな~と思って。

辰巳:群馬県沼田市産かもしシードル!醸した、つまり皮とか一緒に?

越後屋:普通シードルはりんごをジュースにしてから造るんですけど、これは皮とか実とかを2週間ぐらい一緒に発酵させてそれから絞っているんです。

辰巳:丸ごと?

越後屋:荒く砕いてって感じですかね、千切りみたいな。スライスです。

辰巳:ちょっと抜きますね。

(抜栓・注ぎます)

辰巳:ちょっと遠いんですけど乾杯しましょうか。

辰巳・越後屋:乾杯!

辰巳:うま~っ!やっぱり屋外で飲むと美味しい!
近くで消防車?救急車?が走り回っててめっちゃ臨場感ありますけどね笑笑。昼間暑かったからねー。

越後屋:ホントですねー、夏日だったらしいですから。

辰巳:少し色が茶色っぽくなった、りんごが少し酸化した感じで、色も透明じゃないんですよね。微発泡、アルコール度数7%。補糖はしてない?

越後屋:はい、してないです。ちょっとコクがありますよね、奥に。

辰巳:日本のリンゴは食べても美味しいけど、シードルにするとちょっとシャバっぽくなるんですよね。「旨味、甘味が全部アルコールに変わってしまうから日本のシードルは苦手だ」という声が以前はよくあったんですけど、最近は美味しいのでてきましたよね。

辰巳:この畑(鉄塔ヴィンヤード)の広さは?

越後屋:700㎡、1反ないくらい。

辰巳:えー、もっとあるんじゃない?ホントに?幅が20mぐらいでしょ?で長さが40mだとしたら、ぁ、800㎡か。

越後屋:こっからここまで(長さ)で50m・・・。

辰巳:じゃぁ20×50で1000㎡、10Rですよね?

越後屋:笑笑。

辰巳:東京にしたら広いけど、ブドウ畑にしては小さい。

越後屋:東京だと住宅が迫ってしまってどうしても日陰になってしまう部分があったりとか障害はあるんですけど、ここはないんです。歩いてる人がよく声をかけてくれるんですよ、「何植えてるんですか?」って。「ワイン用ブドウですよ」って答えるとすごく楽しみにしてくれる。街の中にブドウ畑がある風景ってなかなかないので、それはすごくいいなぁって思ってるんですよ。

辰巳:まだ葉っぱも少ないんですけど、一面クローバーも生えてるし、ポピーもダーっと生えててなかなかいいとこですよ、ここ。そして隣が交通公園、、、。よくこんなとこ見つけましたね。

越後屋:たまたま縁があって。賃貸の法律も変わって農業者でなくても借りられるようになったのが去年の秋、まだ半年です。

辰巳:つかぬことをお聞きしますが、どれぐらいで(賃料のことです)?

越後屋:笑笑。それはチョットーーー笑。内緒です。

辰巳:お安いんでしょ?

越後屋:そうですね、ありがたいことに。

辰巳:タダじゃないんですよね?

越後屋:はい、一応お支払いはしてます。

辰巳:この土地買ってワインなんて造ったら5000円も1万円もしちゃいますもんね笑。

越後屋:ホントですよね笑。

辰巳:ブドウはなんですか?

越後屋:いろいろ植えてるんですけど、メルロー、シャルドネ、今年植えたのはシラー、アルバリーニョ、小公子、ベーリー・アリカント。まだ何が合うかがわからないのでいろいろと植えてみて、ここで合うものをと。あとは、単一品種というよりも、この土地を表すワインを造りたいので、いい所のブレンドで”地域が生きた”ワインになればいいなと思っています。

辰巳:今東京都下には4軒、ここが最初で、フジマル醸造所、深川ワイナリー、ブックロードができましたよね?現在コロナの関係で少し遅れていると聞いてますが、渋谷にできますね。どうですか、この街中にワイナリーができる、作るっていうこと?

越後屋:6年やっていろいろ思うところもあるんですけど「お客さんに近い」っていうところで応援してくださったりお手伝いしてくださったりすることは、励みにもなるし作業性も上がる。面白いなぁって思います。うちは”都心”ってほどでもないので「練馬区に畑がある」っていう特徴が出せるワイナリーになれればなー、っていうところでちょっとずつやってるところではあります。

辰巳:さっきも7~8人お手伝いに来られてましたけど、皆さんボランティア?

越後屋:そうです。皆さん自転車でパァっと来てくれる感じですね。

辰巳:全く無償で?

越後屋:お茶ぐらいは出しますけど笑笑。作業の仕方だとかをお話しして知識で返せるようなことをやってますが、皆さん楽しくやってくださっているようなので、私も嬉しく思ってます。

辰巳:今現在何本ぐらい造られてるんですか(年間生産量)?

越後屋:1万本ちょっと超えるぐらいですね。広くはないのであまりたくさんは出来ない。

辰巳:タンクは1kl?

越後屋:600(リットル)ですね。それが5基。

辰巳:それを使い回してる。ブドウはどうしてる、冷蔵庫で保管?

越後屋:いえ、そのまますぐ仕込みます。

辰巳:ぇ、でも2回転?3回転ぐらいしないと・・・。

越後屋:小さいタンクで保管することもありますけど、うちは”にごりワイン”っていう形でやってるので、出来て1ヶ月もしないうちに新酒でバンっ!と出しますね。回転率のこともありますけど、フレッシュなものを楽しんでもらうことができればなと。

辰巳:ワンシーズン3回ぐらい使うってことでしょ?

越後屋:使います使います!入れては瓶詰めして出して、入れてはタンクに移して、また出して、みたいな感じ。いつブドウが来る(収穫できる)っていうタイミングがわからず”予定を組む”ってことができないのでけっこう大変です。どこのワイナリーさんもそうなのかな、とは思いつつ。。。

辰巳:そりゃそうですね。基本的には女手一つで?他従業員は?

越後屋:いないです。たまにお手伝いしてくださる方がちょくちょくと。

辰巳;すごいですね、そこらへんの人間力というか・・・。

越後屋:皆さんに支えられて、です。”1人で”って言ってますけどね、やっぱり1人ではできないので。たくさんの(ワイン造りに)興味あるボランティアさんたちが手伝ってくれてるスタンスは6年前から変わってないです。

辰巳:越後屋さん、フランクで楽しいですよね。なーんかこういう人がワイン造ってるんだっていう驚きとともに「こういう人が造ってるからこういうワインなんだ」っていう。自然派っていうわけじゃぁないとは思うんですけど、なんかアットホームな感じのね、優しいワインが多いですよね。

辰巳:このシードルも良かった。こちらはおいくら?(この日はハーフボトルを開けました)。

越後屋:こちらは1100円です。

辰巳:ま、東京ですから若干高めかもしれませんけど、これは値打ちあると思うなー。
次回はブドウで造った方のワインをいただきながらお話を伺いたいと思います。
本日のゲストは東京都練馬区の大泉学園にあります、東京ワイナリーの代表、越後屋美和さんでしたー。

辰巳・越後屋:ありがとうございました!

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八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」

2020年5月7日放送分

ワイナリー

*東京ワイナリー
「東京の農業をもっと元気にしたい!」と2014年に東京初のワイナリーとしてスタートした。「手作り」感にこだわったホームメイドマイクロアーバンワイナリーとして、気軽に来て楽しんでもらうことを目的にしている。
https://www.wine.tokyo.jp

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