
2025年6月のゲストは長野県小諸市の(株)テールドシエル代表取締役池田岳雄さんです。
還暦で前職(起業した会社)を辞してのんびり農業を、と探した土地はまさに天空の大地(テールドシエル)でした。
(全4回 1回目)
辰巳:6月1回目の放送です。この6月で番組5年目ということになります!シェフ、なんかあっという間ですねぇ。
井村:ですね〜。
辰巳:今日も素敵なゲストをお迎えしております。長野県小諸市の「テールドシエル」社長、池田岳雄さんです。
ようこそお越しくださいました。久しぶりですね。
池田:よろしくお願いします!
辰巳:確か4年前にワイナリーにお邪魔したんですよね。すごくいいロケーションのところで。標高はどれぐらいですか?
池田:950m。
辰巳:浅間山の山裾ぐらいのところでしたっけ?
池田:そうですね、でも浅間山はちょうど後ろに控えちゃってますので、どちらかというとあの地域は富士山がよく見えます。
辰巳:そうかそうか、絶景ですよね。
池田:そうです、”自然豊かな里山”です。浅間山の麓っていうか、もう後ろに(浅間山が)控えてるから我々からは見えないんです。
(←近すぎて)
辰巳:もう浅間山の中腹に住んでる、みたいなもんですね。
小諸から東御にかけてどんどん新しいワイナリーが出来てきて一大ワイン産地になろうと、
池田:特に小諸の糠地(ぬかじ)治区という小さい集落なんですけど、9人の移住してきた方がブドウ栽培をされていて、そのほとんどがうちで醸造をしています。
辰巳:それがすごい話。小諸市にはあと3軒ワイナリーがありますけど、糠地治区の(畑の)オーナーみんながブドウを作って、(テールドシエルに)持ち込んでると。年間どれぐらい生産してるんですか?
池田:ドメーヌもの(自社畑)に関しては12000本、あとは危険防止のために新潟県境の高山村がブドウ栽培が盛んですので、そちらの契約農家8軒からブドウを買って”デザインシリーズ”として約8000本。
辰巳:それだけで20000本、プラス?
池田:ワインラヴァーの皆さんが立ち寄ってゆっくりできるハブ拠点があればいいなと思って、2022年に買い取った施設(「糠地ワインハウス」)がありまして、その周辺のブドウと小諸の生産者の余ったブドウで出来た「「メゾンシリーズ」。これが2700〜2800本ぐらい。あと委託醸造が7000本ぐらい。
辰巳:個人の施設としてはだいぶ立派だと思います。だいぶ人気のワイナリーですよね。
池田:おかげさまで。栽培醸造責任者の桒原一斗(くわばらかずと)がすごいこだわりを持った醸造方法で”野生酵母、無補糖無補酸、無濾過、無清澄”という「ブドウがなりたいワイン」を生み出しているので。
辰巳:だって全部手徐梗なんでしょう?手で押し付けたりバラバラにしたり、、、
池田:そうなんです。年間約300名の収穫ボランティアが全国各地から集まって来られるんですが、どちらかというと、その手徐梗作業のほうが皆さんやりたいというので、収穫と徐梗は交代でやっていただいてます。
その方達はリピーターになって、毎年友達を連れてきてくれることになって、
辰巳:そういう意味でも人気なんですよね、なかなか手に入らないし。
シェフも初めてでしょ?
井村:そうですね。初めて聞く名前です。
辰巳:この番組の後に毎回持ち寄りのワイン会やるんですけどね、ここのワインは持ってきた人いたかなぁ(というレベル)。
池田:いやいや、お出ししてるんですけど、どこに消えちゃうんですかねぇ笑。
辰巳:ではどこに消えちゃうかわからないワインを今日はご用意していただきました。まずは乾杯!
全員:カンパ〜イ🎶
【シャルドネ 2023】
https://cercle-store.jp/?pid=184234742(←参考サイト)
辰巳:いい香り、まず甘い香りがします。
井村:おっしゃるように甘い香り、花の蜜みたいな香りがフワァっときたあとにすごくしっかりとした飲み応えがあります。
辰巳:でもその割にはアルコール度数はないんでしょう?
池田:これは12%です。
辰巳:So2もそんなに使ってない?
池田:このヴィンテージの時だけは若干、瓶詰めの時におまじない程度に入れてます、約10mlppm。
辰巳:2023年の「テールドシエルシャルドネ」。
池田:原則としてうちは「亜硫酸塩は入れない」。
辰巳:1ppm は1000000分の位置ですからね。このワインのSo2 もごく僅かな量ですね。
こちらのワインに合わせたお料理はなんでしょうか?今日も西麻布のエネコ東京からお送りしております。
こちらの「プリオホールディングス総料理長」井村貢シェフ?
井村:はい、ブロッコリーをヴルーテにしました。ブロッコリーと野菜のお出汁だけ。杏とディルというちょっと清涼感のある香草を浮かべて、このワインの香りを合わせてみました。
全員:いただきます!!!
【ブロッコリーの冷たいヴルーテ あんずのコンフィ添え】
辰巳:うわぁ、野菜の青い香りがいいですね。ワインの香りに負けてない。
池田:そうですね。私の圃場のある糠地治区っていうのが、日本でも有数のブロッコリーの産地なんですよ。
高原野菜の中でもブロッコリーはスゴイ🥦
辰巳:それを知ってのブロッコリー?笑。
井村:運がいいんで合致することがよくあるんです笑笑。
池田:運良く私も今回野菜でテロワールを感じられるのはすごく嬉しいです。
井村:ありがとうございます!
辰巳:ちょっとしたアプリコットの酸味も効いてて、このシャルドネにも合って美味しいですね。
これはおいくらですか?
池田:税込で5500円です。
辰巳:この強気なお値段なのに笑、あっという間に売り切れてしまうという。だってほとんど在庫ないでしょう?
池田:そうですね、このシャルドネに関しては生産本数は1800本ぐらい。なんですけど、やはりシャルドネを欲しいお客さんが多いので🙏
辰巳:これは樽には入ってます?
池田:古樽に7ヶ月ぐらい入ってます。
辰巳:発酵容器として?
池田:はい。
辰巳:樽としての嫌味がまったく感じられない、かつ、自然派の揮発酸系もほとんど感じられない、ものすごくクリーンなワインですよね。
池田:ありがとうございます!
辰巳:元々こういうワインがお好きだったんですか?
池田:そうですけどやはり、栽培責任者の桒原のこだわりが、、、
辰巳:では桒原さんの話は後ほどするとして、その前に曲を聴きましょうか?
今日は何をリクエストしましょうか?
池田:八神純子の「みずいろの雨」。
辰巳:懐かし〜い。
井村:これは知ってます。
辰巳:では聴いてみましょう。
八神純子「みずいろの雨」(1978年)
https://www.youtube.com/watch?v=M3-K4knCeLE&list=RDM3-K4knCeLE&start_radio=1
辰巳:テールドシエル。(フランス語で)テールは土、シエルは空、ですよね?これはどういう思いを込めて付けられらんですか?
池田:私が還暦を迎えた頃、どちらかというと、人間関係にくたびれてしまって笑。「第2の人生は”土と親しむ」、農業をやってみたいと思ってたところ、本屋さんでエッセイストの玉村豊男さんの「千曲川ワインバレー 新しい農業への視点」っという本を立ち読みしたんです。
辰巳:立ち読み・・・笑笑。
池田:💦最終的には買ったんですけど・・・。その本の中に「シルクからワインへ」っていうサブタイトルがありまして。
昔長野県は養蚕業が盛んで、
辰巳:長野といわず全国的にもね。昔は桑畑だったって所多いんですよね。
池田:その養蚕がダメになって桑畑が荒廃地になって。そういう荒廃地をなんとか手を入れてブドウ畑にしたそうなんです。
辰巳:その「シルクからワインへ」っていう言葉に反応したんですか?
池田:それもありますけど、やはり”(自分の)第2の人生”という部分。第1の人生は、まず家族を養っていかなければいけなかったけれど、第2の人生は10年ぐらいゆっくり農業をやろうと。思ってたのに一番慌ただしくなってしまいました笑。
私の人生の中で、還暦過ぎてから72歳の今がかつてない忙しさ。ただ、やりがいはあります。
辰巳:その還暦までは何をされてたんですか?
池田:通信関係の会社をやってました。
辰巳:会社を経営されてたんですね?小諸で?
池田:となりの佐久市で23年間。でももうボチボチいいだろうと。
辰巳:製造関係だったんですか?
池田:docomoの携帯を利用した、ガスや水道の自動検診、ナースコールなんかをやってました。
井村:へぇぇ!
辰巳:わりと新しいシステム。
池田:そうです。当時の通商産業省(元経済産業省)のモデル事業でスタートしたんです。
辰巳:それはおいくつの時?
池田:平成8年、私が40歳ちょい過ぎぐらいの時。
辰巳:起業したんですね。そのころのどっちかというと認知産業みたいなもの、社会福祉に役立つみたいな感じだったんですね。
その会社は今どうしてるんですか?
池田:後継者がいますんでね。親族じゃなくて、しっかりした者がおりますんでそちらに任せて。私はゆっくり農業をやろうと思ったのが間違いでした笑笑。
辰巳:かなりの財産はあった?
池田:看護職をしていた家内の退職金と、私の老後資金全部を費やしまして、65歳まで無給でも、そこから先は年金でも、贅沢しなければ暮らしていける。だから(60〜65歳までの)5年間の蓄えのほかは全て投資しました。
辰巳:その投資はかなりの額でしょ?
池田:はい、いくら荒廃地とはいえ、土地を所有するんですから。あとは最初に買った農機具のバックホー。
辰巳:クレーンみたいなやつですか?
池田:そうです。他に購入したチェーンソー4台ぐらいでどんどん木を切り倒して、そのバックホーで根っこを引っこ抜く。
辰巳:ほー!標高が高くてまったくのブドウ畑でなかったところに!?なんでそこにしたんですか?勝算は?
池田:自分自身も不思議に思う。小諸の街中に住んでたんですけど、家族とたまたま土地を探しに行った時、糠地地区を登っていったら下に雲海が広がっていて、今所有している土地だけが浮かび上がってたんですよ。
辰巳:はぁぁぁ!’天空の城’みたいになってた?
池田:そうですそうです、’天空の大地’。それで会社の名前を(フランス語で)テールドシエルにしたんです。土地に惚れたってことですね。
辰巳:最初からいい話。絵が見えてきそうな感じがします。出会いですね〜。
池田:そこの地権者は8名いたんですけど、集積をしないと効率が悪いですから、2年間かけて約3.2ヘクタールの土地を購入しました。
辰巳:3.2ってなかなかなもんですよ。
池田:東京ドームより若干小さいぐらい。今はおかげさまで5ヘクタールになりました。
辰巳:ちょっと時間が来てしまいまして、盛り上がってるところ残念なんですが、この続きはまた来週!
全員:ありがとうございました!!!
News Data
- プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2025年6月5日放送回
- ワイナリー
テールドシエルワイナリー
https://www.terredeciel.jp- 収録会場
エネコ東京
https://eneko.tokyo/