ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2024年6月20日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年6月のゲストは山梨県甲府市の「シャトー酒折ワイナリー株式会社」常務取締役・チーフワインメーカー、井島(いじま)正義さんです。
関西出身の2人が大阪の会社で知り合い遠距離恋愛の末結婚。今はすっかり甲府の人になりました。今回はその甲府の自社畑のシラーで乾杯!
(全4回 3回目)

辰巳:6月3週目。お客様は山梨県甲府市からお越しいただきました、シャトー酒折のチーフワインメーカー、井島正義さんです。そして「VIllas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まずは乾杯しましょう。今日は赤ワインです。

全員:カンパ〜イ🎶

【エステート シラー 2022】
https://www.sakaoriwine.com/product/エステート-シラー/

辰巳:このワイン飲んだことないなぁ。どんなワインでしょうか?

井島:自社農園で収穫したシラーです。

辰巳:シラー?作ってましたっけ?

井島:2007年から植えているんですけど、なかなか収穫量が少ない品種、そして獲れる年と獲れない年がある。

辰巳:でも樹齢はもう20年近いでしょ?

井島:そうですね。

辰巳:ではいただきます。ん、やっぱりシラーの黒胡椒の香りはします。井村シェフ、いかがでしょうか?

井村:個人的にはシラーが好きなんで、このスパイシーな香りが力強さを感じるんですけど、でもなんか柔らかくて優しい感じがします。

井島:我々もシラーを植えた時に世界で有名な2大産地、(フランスの)ローヌかオーストラリアのどっちに寄るか?。山梨の(特に甲府の)暑さを考えた時にオーストラリアかな?っと思ったんですけど、結局”どちらにもいかないシラー”になった。っということは、「シラーというブドウは産地に反映するブドウなのかなぁ」と今は思ってます。(この地で出来るのは)『エレガントなシラー』。

辰巳:育てるのは大変ですか?

井島:大変です。まずは花芽がつきにくい、だから収量も上がらない。当社にはクローンが2つ入っていて、1つはキスヴィンの荻原さんがどっかから持ってきたクローン。これがギュッと詰まってて割れちゃう時があるんです、が、着色が非常に濃い。
もう1つはどっかの苗木屋さんから購入したクローンなんですけど、これが逆。房がスカスカで太陽の光が入るんですけど、着色はあまり良くない。

辰巳:山梨県内でもシラーはだいぶ増えてきましたよね?これからどうなるんすかね?

井島:うーん、これから”日本の風土を非常に反映してくれるブドウ’なので、続けていきたいとは思います。が、栽培の難しさが・・・。

辰巳:今酒折さんは年間何本ぐらい?

井島:だいたい10万本ちょい切るぐらいです。毎年新酒が出るのが3万本ぐらい。私が最初に造ったワインは5000本ぐらいでした。

辰巳:じゃぁ醸造免許取得には届かない量。当時は年6000kl(醸造)が必要でしたからね。そしてだんだん量を増やしてきて?

井島:はい、今はもうブドウが足らないぐらい。

辰巳:赤ワインブームの時は?

井島:うちは2000年からマスカット・ベーリーAやり始めたんです。それまでは甲州、と、海外のワイン(バルク、濃縮果汁含め)をブレンドして造ってました。(←今でいう「日本ワイン」ではなく「国内製造ワイン」だったんですね)でも今は100%日本ワインです。

辰巳:お料理の紹介を忘れてました。シェフ、今日のお料理はなんでしょう?

井村:牛頬肉を赤ワインで煮込みまして、じゃがいもとケールを一緒にタルトにして、人参とポテトのピューレを添えてあります。

【牛頬肉のラグーとケールのタルト】

井島:(お肉の)脂身が非常に穏やかなんで、”日本のシラー”には非常に合うかなと。

辰巳:このシラーのためにお料理に手を加えたことは?

井村:シラーが非常に柔らかかったので、煮込み料理でもちょっと野菜の比率を上げてみたんです。あとはナッツで複雑味を出してみました。

辰巳:へぇぇ。そうするとちょっとワインの味わいも変わりますね。

辰巳:このお料理を味わいながら曲を聴きましょう。今日のリクエスト曲は?

井島:サックス奏者、デイヴィッドサンボーン。こないだお亡くなりになっちゃったんです(5月12日)泣。そのオマージュも込めまして「スマイル」。


 David Sanborn「Smile」(1976年)|
https://www.youtube.com/watch?v=6nQNy5NwF0g/

辰巳:なんかいいですねぇ。これも昔から好きだった?

井島:そうですね。我々の世代の”アイドルサックスプレイヤー””唯一無二の音を出す”人でした。

辰巳:ナベサダさんなんかと同世代?

井島:(ナベサダさんよりは)ちょっと下(←享年78歳)。

辰巳:ご冥福をお祈りします。なぜこの曲にシラーを合わせた?

井島:「音が丸くない、まだ非常に元気」。このシラーも「まだ若々しくて成熟しきってない」。

辰巳:成熟しきってない?このワイン2022年ですよね?ヴィンテージ的には?

井島:年的にはまぁまぁ普通のヴィンテージではあります。

辰巳:過去のヴィンテージも含めて日本の、海外でもいいや。ワインで何がいちばん好きですか?って聞かれたら?

井島:えーっと、それねー、私の場合、、、好きな品種がなかったんです。

辰巳:まさかの”梅”ですか笑笑。(←入社当時は青梅で梅酒造ってました)

井島:この品種を植える時も「社長と井島さんが植えたい品種は何?」って聞かれた時に、「特にー、でも難しくないやつ」。つまり、『栽培・醸造が難しくないやつ』。っていう話をしたらシラーは「収穫が早い」ということで、今までカベルネ・メルローだったところを植え替えた。
そのカベルネ・メルローってのは台風に当たる、し、収穫時期がちょうど甲州にも重なる。そうなるとワイナリーのマンパワーが足りないから。今はシラーは”やなきゃいけない品種”。飲むので好きなのは”ピノ(ノワール)”ですけど。

井村:僕はこの番組やらせていただいてからは(マスカット・)ベーリーA。

辰巳:井島さんはどうやらお好きじゃないようで笑。(←そんなお顔だった、ような)

辰巳:ぁ、そうそう。先週途中で終わっちゃったんですけど、ワイナリー作り始めた頃に奥様と結婚されたそうで?

井島:そうです。奥さんも関西の人。

辰巳:昔から付き合ってた人?

井島:いや、会社の後輩です。木下インターナショナルの。

辰巳:ほぉ、社内恋愛?笑笑。

井島:それも遠距離恋愛ってやつですね。青梅時代の途中から・・・。それで(関西に)帰るのがだんだんめんどくさくなって・・・。当時奥さんは明石に住んでいて、大阪の会社に通っていて。僕は実家は宝塚だけど(一応)東京の青梅に住んでて月1回か2回関西に帰る生活。立川から夜行バスです。

辰巳:夜行バスかぁ、若い頃よく乗ってましたねぇ。京都から東京に芝居を観に行くために。

井島:疲れますよね。

辰巳:疲れますけど、でも若い頃はそんなこと考えなかったしお金なかったし笑。で、結婚生活は?

井島:最初は青梅の方で生活して、甲府に移り住んだのが1995年。

辰巳:新婚旅行はどこにいかれたんですか?

井島:ニュージー・・・いや、ごめんなさい、フィジー(島)でした笑。

辰巳:シャレてますね、行ったことない。今お子さんは?

井島:いないです。だから好きなことをできる環境ではあるんです。

辰巳:奥さんは?

井島:パートやりながら、最近はヨガやってますね笑。

辰巳:関西人2人が甲府にお住まい、と。どうですか、甲府住まい?

井島:暮らしやすい街かと思います。

辰巳:今はだいぶ変わったとは思いますが、山梨には美味しいものないしー、、、とか昔は思ってましたけど?

井島:ん、でも野菜は美味いですよね。だから農産物直売所には毎週末必ず行ってますよ。

辰巳:直売所!人気ありますよねー、道の駅とかも。

辰巳:関西には帰ってない?

井島:まだ母親が宝塚に住んでるんで、年末だけ帰るようにはしてます。

辰巳:もうどっぷり山梨の人に?

井島:そ〜ぅですね。この先どうなるんでしょうかね笑。

辰巳:酒折でベーリーAを始めたのが2000年?

井島:そうです。

辰巳:池川(仁)さんと会われたのは?

井島:最初に仕事をしたのが2005年。でもまぁその前からうちのワイナリーに来ていただいたりはしてたので交流はあったんですけど。

辰巳:山梨は買いブドウも多いですけど?

井島:自社畑はありました。設立当初から0.5haと小さいですけどヨーロッパ系品種が。

辰巳:今現在はどれぐらい?

井島:現在も増やしてない。0.5ha。

辰巳:じゃ、今日のシラーもそこの?

井島:はい。今はそこにベーリーAとシャルドネとシラーが。

辰巳:よくワイナリーやってるとだんだん’自分の畑が欲しくなる’って言いますが。今は池川さんとタッグ組んでから自社畑の必要性を感じなくなってる?

井島:そうですね。でもこれがあと10年先になったらー、っと思うとまた考えなくてはいけない時期に入ってるんですけど。今のところは「池川さんのところで畑を増やしていただく」という方針で。

辰巳:何度かお邪魔してますけど、(同じ山梨でも)勝沼とはちょっと違う甲府のちょっと高台にあっていいところ。ここ数年行ってないですけど変わりました?

井島:コロナの時期にショップ内を大改装したんですよ。だから今はとても眺望のいいワイナリーになってます。レストランは残念ながら未だやってないですが。

辰巳:また伺いたいなという気持ちがじわじわとあります。今日は時間がなくなってきましたのでまた来週。

全員:ありがとうございました!!!

【お知らせ】
2020年7月から4年間、会場を提供していただいた「Villas des Marriages 多摩南大沢」が6月末、惜しまれつつ閉店されました。なお、番組は「プリオホールディングス(https://prior.co.jp/)」系列の店舗に会場を移して継続されています。
引き続きお楽しみください。

シャトー酒折ワイナリー株式会社
https://www.sakaoriwine.com/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2024年6月20日放送回

ワイナリー

シャトー酒折ワイナリー株式会社
https://www.sakaoriwine.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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